電子書籍
興味ぶかい
2017/05/10 19:09
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投稿者:tomo - この投稿者のレビュー一覧を見る
若沖さんの絵は岡田美術館で一度だけ見ました。でもどういう絵師なのかと思い興味深く読みました。同じ時代の他の絵師もでてきますので、日本画が好きな人なら楽しめるかと思います。
紙の本
複雑な深層心理を描いた作品
2021/10/16 16:22
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
なかなか味わい深い本で感想が難しい本です。まず、このタイトルが何を意味しているのか読むまで全く知らず。江戸時代の有名な画家だったのですね。その絵師、若冲の生涯を描いた連作短編ですが、この手の話を読むといつも、読みながら、思わずググってしまいます。今回も鹿苑寺障壁画とか、石峰寺とか、鳥獣図とか思わず調べてしまいました。自分の絵の贋絵を描き若冲を憎む義理の弟、そして憎まれることを糧に名作を生み出す若冲の物語を堪能しましたが、当人たちの心情は複雑で、正直難しく感じました。
電子書籍
妹お志野の心情が一番心にしみた。
2021/08/01 11:20
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近ますます人気が出てきてこの作品にも登場した代表作の一つ「動植綵絵」が国宝指定されるほどになった伊藤若冲の物語。かっちりとした章立てで話を進めて行き破綻がない。しかし亡き妻との生活の思い出が最終章まで殆ど出てこなかったせいか、若冲の心情に今一つ納得共感できなかった。もう一人の若冲とも言うべき市川君圭の心情も同様に納得共感できなかった。語り手の妹お志野の心情が一番心にしみた。
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『講釈師、観てきたような嘘をつき』という言葉があるが、歴史上の人物でほとんど史料のない人物を描くのは至難の業だと思う。
この作品では若冲には妻がいたという設定と、妻の弟、そして腹違いの妹との関係を中心にして私生活がほとんどわからない伊藤若冲の人生を作品と照らし合わせながら描いている。
それは人それぞれの解釈で構わないと思うのだが、人によって作品を観る目が違うのだと驚いた。
私にとって彼の作品は、そのどれもが生きる喜びに満ちているものだからである。
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【若冲の奇妙にして華麗な絵とその人生。大ベストセラー文庫化!】緻密な構図や大胆な題材、新たな手法で京画壇を席巻した天才は、彼を憎み自らも絵師となった亡き妻の弟に悩まされながら描き続ける。
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若冲の生涯が小説になっていたとは知らなかった。あの個性的な絵を描くに至った経緯が妙に納得出来、非常に興味深かった。混み過ぎていて行けなかっな若冲展に次こそ行きたい。
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解説で「史実で証明されていないことは、どのように描いても許される。」と書いてあるが、本編に描いてある若冲の生涯の解釈は好きではない。どんな因縁があろうと、若冲の絵が贋作師を意識し、それによって高められたかのような解釈は納得いかない。もやもやする。
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類まれな伊藤若冲の画風の根底に迫っていきます。
青物問屋枡源の主源左衛門から、伊藤若冲へとなるには、妻を亡くしたこと、姉の仇と憎み続ける義弟の存在があったことが描かれます。
池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁との交流、史実とフィクションが交差しながら、物語が進みます。
読み応えがありました。
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あの若冲の絵はどのようにして生まれたのか?それがなんとなく解るような気分にさせてくれる作品。作中では池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁らとの交流を描き若冲の画業に迫る。
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最初の2、3章はとても引き込まれるものを感じたが、読み進めていくうちに物語の焦点が定まらないぼんやりした印象になってしまった。視点が義妹だったり若冲だったりとぶれたせいだろうか。若冲の人生を史実も踏まえながら、死別した妻がいてその義弟との確執の中で絵への向かい方が変わっていったという物語性を加えたのは面白かったけど、若冲がその内面を突き詰めていくところが理が立って人間性の魅力にやや欠けていたように思う。作者は史学専攻の修士であり、そのためか文章はとても緻密に書き込んでいて、時代背景、絵の様子などの書き込みは漏れがなく、若冲の絵が忠実に文章に再現されているよう。一方で感性的な部分がやや力が弱く感じられてしまう。登場人物の性格設定は緻密なのに、描写が今ひとつ大胆さに欠けているような印象。とはいえ面白く堪能できた。これだけ書き込める学術背景と筆力があるのだから、今後も素敵な時代小説を世に出して欲しい。自分は今年澤田氏と朝井まかて氏のおかげで時代物に目覚めることができた。
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若冲に興味があったので手に取ってみた
8話からなる連編で若冲や異母妹のお志乃目線で物事が語られる
話自体は面白いのだが、
あくまで創作物ということで史実というわけではないとの事
良いか悪いかは別にして、
こういう小説を読んでしまうとこれから若冲の絵を見た時にこの小説に引っ張られる見方をしてしまうんだろうなと思う
あまり関係ないが、
実在の画家をモチーフにした作品を読んですぐにその画家の作品をネットで見る事が出来るのはありがたい事だな〜としみじみ思う
当然実物の感動はないが、おおよその構図が分かるだけでも理解が深まる
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澤田さんが謎に満ちた絵師の人生を描いてくれたことにより、絵に込められた思いを想像(妄想)しながら鑑賞するという楽しみが開けました。
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歴史小説家の著者が、その類いまれな想像力で、昨年生誕三百年を記念する展覧会で熱狂的好評を博した若冲を、鮮やかに浮かび上がらせた。
池大雅、丸山応挙、谷文晁や与謝蕪村等々、当時の名だたる画家が登場し、彼の人生に花を添え、一方若冲の妻=姉の仇と憎み若冲の絵の贋作を描き続ける義弟の弁蔵が異様な存在感をもたらす。
彼の異母妹の眼を通して語られる画家の生涯が、歴史の闇に隠された史実であるかのように、読者に思わせてしまう時代長編。
作中語られる「若冲はんの絵がもてはやされるんは、他の者には考えもつかん怪っ態さゆえ・・・」「世人は・・・知らず知らずのうちにあの奇矯な絵に、自らでは直視することの出来ぬ己自身の姿を見出していたのだ。」に、現代の展覧会の熱狂の要因を重ね合わせてしまう。
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自身の道楽振りに姑達にイビられ自死した嫁を悔いて、ひたすら画業にのめり込む…と孤高を気取ってる割には、市場の縄張り争いとか、結構な俗事に振り回されているような。
義弟から向けられる憎悪を被虐的な程に精進の糧としていたのに、アッサリ降りられて肩透かし…とならなくて良かった。やっぱり主人公でも、他人の人生の主役は張れないよね…って、この下りはフィクションだった。
しかし本当に京都人って、こんなにイケズなんですか?
そこかしこに底意地と根性との悪さや計算高さがひしめいているんですけど、このお話。こっわ〜。
2016年の若冲展、320分待ちだったと解説にある。マジか。おいぼいぼ。
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歴史文学というものは、史実に近い順からいうと、史伝文学、歴史小説、時代小説という区分になると、前に何かで読んだ記憶がある。
その区分で言うと、この小説は歴史小説の体を取りながら、ほぼ時代小説と言えるのではなかろうか。
*史伝文学、歴史小説、時代小説の区分とは
・史伝文学:吉村昭の小説や司馬遼太郎の一部の小説「坂の上の雲」など。
・歴史小説:司馬遼太郎の大部分の小説。
・時代小説:池波正太郎の「鬼平犯科帳」や野村胡堂の「銭形平次捕り物控え」等。
主人公の伊藤若冲の経歴等は比較的残っているようであるが、主要なポイントさえ押さえて、後は作者の自由気ままに物語が展開できたのではないかと思う。
残された資料では、若冲は生涯独身となっているが、小説では「お三輪」が嫁いできて僅か2年にして、土蔵で首つり自殺をしたことから物語の全てが始まる。
小説の展開としては、自死した「お三輪」の弟の弁蔵が生涯に渡り若冲を恨み、その贋作を作ることで復讐し、逆にその事が若冲の奇矯な絵がさらに拍車が掛ると言う設定となるなど、かなり思い切った内容にしている。
また若冲が絵を描くのは、死んだ「お三輪」に対する自分の罪と向き合うためであり、それがきらびやかな絵の中に暗い影を落していると言う作者の若冲の作品に対しての自説を展開している。
また、作者は京都という町の特徴として、若冲のように京都の老舗の出身者には、その先進性を受け入れるが、反対によそ者で出自の卑しい与謝蕪村(土地を持たない水呑百姓の出身)に対しては、陰で軽蔑や差別するなど、京都の土地柄に対して批判的な目で描いている。
全体としては、重厚で面白く出来ているが、歴史小説と思って読むと、少し違和感が残るかも知れない。