紙の本
少し古めかしい訳が趣深い
2021/03/08 12:03
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オー・ヘンリーといえば、英語の教科書に載っていた『二十年後』。短い物語の中で人生の明暗が浮かび上がる秀作。一番好きなのは『古パン』。中年女性の淡い恋が砕け散る悲喜劇だが、40歳にして相手を夢想してしまうところなど可愛い。『桃源郷の短期滞在客』も好きだ。上流社会の空間でひとときの夢を味わいたかった女性の気持ちに共感。
この短編集の中で異色なのは『水車のある教会』だろうか。少し長めの物語で、人さらいという悲劇が基になっている。他の短編とは違い、長尺人間ドラマの趣がある。長い別離を経て父と娘が巡り合う場面は感動。
オー・ヘンリーの作品は数多く翻訳されているが、本書の少し古めかしい訳はとても好きだ。
紙の本
ますますもっと読みたい、O・ヘンリー
2003/09/01 23:24
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投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る
「O・ヘンリー ミステリー傑作選」で好きになったO・ヘンリー、本書を読んでますます好きになった。
「…ミステリー傑作選」での私のお気に入り「二十年後(After Twenty Years)」と「改心(A Retrieved Reformation)」は、本書にも載っている。私だけでなく、多くの人が認める名作なのだろう。
もちろん、超有名な「賢者の贈り物(The Gift of the Magi)」と「最後の一葉(The Last Leaf)」も載っている。
それ以外の話も、どれもおもしろかった。ひねりの利いたプロット、軽快な筋運び、ユーモアとアイロニー、そして人間と人生に対する何とも言えぬ暖かさがすばらしい。
オチは、内容的にはもちろん、書き方もすばらしい。話の始まりや途中はどうでもいい事をゴチャゴチャ書いている場合も多いが、オチはどれも簡潔で、ビシッと決まっている。最後のパラグラフ、いや最後の一文で決まる話も少なくない。
たとえば「最後の一葉」は、その気になればどこまでも感傷的に書ける話だが、“最後の一葉”の正体を知らせるところで終わっている。「改心」も、主人公の決断とそれに対する刑事の対応がサラリと書かれていて、かえって深い印象を残す。
なお、今のところ私にとってのベストは、「二十年後」と「改心」。これらを超えるものはなくとも、本書掲載作品と同等のものはまだまだあるだろう。ますますもっと読んでみたい。
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
「賢者の贈り物」「最後の一葉」は言うまでもなく名作だけど、大人となった今はお金の力を承知してそれを有効に使う、あるいは投げ出す「千ドル」ののらくら青年と「マモンの神」の老実業家が好きだ。
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「ユーモアとウィットとペーソスと意外な結末」というオー・ヘンリーらしさを、すべてに感じる短編集だった。彼自身が順調な人生を送ったわけではないので、弱者の気持ちも非常によく捉えていて、暖かさと優しさを感じる作品ばかりだ。
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俺はどういうわけか自分の手でお前を捕まえられなかったのさ
-20年後
この贈り物は私たちには分不相応すぎるからとっておこう
-賢者の贈り物
なんでこのドアを開けたの?
-緑のドア
中学の頃から一番好きだった話たち。
心が温まる
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英米文学に進むからには……と古本屋で購入。英米文学、ぶっちゃけミステリーとファンタジーしか読んだことがなかったという……名前だけならなんとか
「賢者の贈り物」は絵本で読んだことがありました。他の話もそれなりに、学校の長文問題、ああいう感じの話を日本語訳するとこうなるよ。って感じです。ブラックユーモアなオチもあるしさらっと読めました。原典読んだ方が良さが伝わるような気が。せっかくだし自由多読の授業用に探そうかなあ
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社会的弱者の気持ちを捉えながら、温かくも滑稽な物語に仕上げるスタイルが好み。古きアメリカの町並みや生活を伝える独特の文体も心地よい。
「賢者の贈り物」はアメリカの本で比喩的に引用されるくらい有名。
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オーヘンリーといえば物語の最後に現れるドンデン返しが思い起こされるが、改めて読んでみるとその文体もとても素晴らしいものであることに気づいた。
陽気な人、悲しい人をこれほど上手く表現する作家はそういない。
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サウンド文学館・パルナス「O・ヘンリ」
1 「賢者の贈り物」 小沼丹・訳
昔読んだ時はわからなかった。二つしかない宝物を手放してしまった二人を、どうして「賢者」と呼ぶのか。今では分かる。最高の贈り物は相手のことを真剣に想う心情なんだ。
髪はまた伸びる。以前よりももっと美しくなるだろう。時計を手放したことで、新しい時計を手に入れる余地ができた。
2 「最後の一葉」 小沼丹・訳
パロディは見たことがあるけど、元ネタはこれだったのか。
3 「マディソン・スクェア千一夜物語」 大津栄一郎・訳
この画家はもっと評価されるべき
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先日読んだ小川洋子さんのエッセイで、
彼女にとって短編小説の存在がどういったものであるか、
このように書かれていた。
「素晴らしい短編小説に出会うと、
自分だけの宝物にしたくなる。
小さいけれどしっかりした造りの宝石箱にしまい、
他の誰も知らない場所に隠しておく。」
そして、「何かの都合で立ち上がれなくなる位疲れてしまった時、
その宝物が役に立つ」と。
私にとっては、この一冊がまさにその宝物なのだと思う。
約一週間前、私達の住む国は大きな天災に見舞われ、
多くの人々が生命、財産、最愛の人を喪った。
そして今も連日、悲しみや不安を突きつけられるニュースが
流れ続けている。
「自分にとって今こそこれが必要だ。絶対読まなくては。」
と思って、昔から大好きで何度も読んでいる
この短編集を手に取った。
人間は弱いものだ。
だけど温かくて愛しい。
人生って皮肉だし、哀しい。
だけどそれだけではないはず。
誰かの強くて温かな手が、
困っている貴方の前に差し伸べられる事もあるのだから。
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好きな話は『二十年後』と『ハーグレイヴズの一人二役』
訳が正しいかどうか分からないけど、少なくとも読み取りにくい文はままあった。
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大体1話で10頁程度のショートストーリー。予想がつくものもあるけれど、ラスト5行でのどんでん返しが軽快で楽しい。『最後の一葉』が気に入ってます。
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「ねえ、ジョンシー、あれがベールマンさんの傑作なのよ――最後の一葉が散った夜、あの人はあれをあそこに描いたのよ」
‘The Gift of the Magi’と‘The Last Leaf’は有名
オチが分かるやつと分かんないやつがあった
そもそもすべてがオチてるかは分かんないけど
翻訳の仕方なんだろうな、もっと読みやすいとよかったのに
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「最後の一葉」、「賢者の贈り物」しか知らなかったのでハートーウォーミングな話が得手の人だと思ってたら結構黒かった。「シニカル」っていうんですかね。メモ:懐中時計の鎖⇔櫛
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1998/01/--
「賢者の贈りもの」は有名である。自分の大切なものを売ってまで、相手に物を贈る気持ちは私にはもちろん、今の人もないと思う。「忙しい株式仲買人のロマンス」は「馭者台から」と同様ラブロマンス。「献立表の春」は心和むハッピーエンド。でも、「警官と賛美歌」はせっかく更正した不労者を最後になって刑務所に入れるなんて・・・。