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投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「患者さんは知らない病院の舞台裏」とのこと。頻繁に病院に通っている人だと、知らないほうが良かったと思うこともあるんじゃないかなあ。
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経済学などの観点から医療を分析した本は
これまでもあったが、文化人類学からの
アプローチ。
現代の、必ずしも「治すための医療」とは異なる
医療が生み出す、複雑な局面を切り取る
意欲作。
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ALS患者が体の機能を一つまた一つと失っていくのはどんな恐怖を感じているのだろう。この病気は原因もはっきりせず治療法もないという。意識も感覚もあるのに体の動きだけが失われるというのは患者の方には申し訳ないが生き地獄みたいなものに思えてしまう。何とか一日も早く治療法が見つかる事を願う。
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文化人類学者の観点から、現代の日本医療について分析する一冊。
内容は多岐にわたるので統一感はないものの、現場の意見が知れて勉強になった。
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春から看護師になるので思わず手に。
きっとこれから白黒はっきりつけられないような問題にたくさん出会うんだろうなと思いながら。
特に身体拘束のところはよく読んだ。
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実際に現場にいても答えのないことばかりだし、evidence全盛とはいえ結局はnarrativeに一例ずつ向き合うしかないのが現状。
手術室でここからは清潔だとそこにいる皆が信じて動くのは呪術なのだという考えは面白い。
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医療人類学者・磯野真穂さんの著書。インタビューを通して、医療者の苦悩や葛藤が描かれていて、人類学的視点から考察されている。
特に気になったのは、医学と医療の違い、そして「患者中心の医療」のこと。
・・・
p163 「医療者の仕事の根幹は、モノとしての人間を徹底的に標準化することで体系づけられた医学という知を、それぞれの患者の人生にもっとも望ましい形でつなぎ合わせ、オーダーメイドの新しい知を患者と共に作り出していくことにある。」
p164 「医療者の仕事は医学を医療に変換すること。」
まさにこれは患者中心の医療のことじゃないかと思って読み進めると、やはりエピローグにもまとめられていた。
p221 「近年いわれる「患者中心の医療」は本人たち自身が主役にならなければ成立しえず、それは私たち自身が自分のカタチをよく見る作業抜きには語れない。」
患者が医療者に「命のアウトソーシング(p55)」をするのではなく、患者は自分自身のことと引き受けつつ、医療者は患者とともに考え、患者の生き方を支えていくことなのだろう。
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「話を聞くだけで看護」という言葉が、何もできない時の逃げ道のようで、好きではなかった。けど、この本でその重要性が説得力をもって書かれていた。
「標準化が不可能なそれぞれの患者の文脈に、医学という知を混ぜ合わせていく」「医療者の専門知と患者の人生の間に、再現性のない知を立ち上げる」「人間の営みが本来そのような再現性のないものである以上、医療という知もまた再現性のなさをはらむ」。
話を聞くというのはその過程で必要なことであり、医学の知と(治療しないことも含めて)融合させるところに目的がある。つまり看護においては、車の片方のタイヤだ。積年のモヤモヤがすっきりした。
あと、手術(科学)と呪術の話、漢方の歴史など、これまでボヤッと存在だけわかっていたものが解説されていて面白かった。
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血圧を下げる薬を飲むことへ抵抗がある患者さん自身が、納得することが大事であるから、最適解である薬を無理に渡すのではなく、遠回りでも別の治療法からアプローチしていく話は、どの分野でも同じ状況にあると思う。
近道に見える遠回りも、遠回りに見える近道もあるのだと感じる。