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週に一回程度は本屋をのぞく。やはり本屋さんが推してくる本は面白く、ついつい手に取る。最近は本屋のPOPで推されるのを読む本が多いので、この本の並びを見れば、私の行きつけの本屋がどの本屋かわかってしまうのではと思ってしまうくらい。これもそんな一冊。
台湾が舞台。軍役に付くのが嫌で大学を目指す主人公。主人公の祖父が殺されてしまい、祖父の過去を調べていく話。戦後数年後の時代背景、台湾風景と共に物語は語られる。
祖父が戦争の世代であれば、私と同年代か。私の場合はすでに教科書や本で知る世界だが、主人公は今なお引きずる戦争の傷跡、こんな風に後世に影響してしまうのか、遺恨を残してしまうのかの悲しさ。じわじわ共感と共に考えさせられる感が読んでいて良い。
【心に残る】
友人が人生最大の危機に瀕しているのに、もしここで傍観などしたら、私はこれから先、臆病さを成長の証だと自分を偽って生きていくことになるだろう、それくらいなら死んだほうがましだと思う。人には成長しなければならない部分と、どうしたって成長できない部分と、成長しては行けない部分が有ると思う
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直木賞受賞作を、文庫化に当たって入手。本作者の作品は初めてだし、タイトルからはジャンルすらも想像つかず、情報ほぼ皆無からの読書体験。結果、いわゆるノンジャンルとも取れるような、色んな要素を含んだカラフルな作品でした。台湾史もあり、青春コメディもあり、ミステリ的要素もあり。どれもがこなれた態で紡がれるから、読みながらに感じられる安定感も抜群。クスッとさせられる場面も多いし、かと思えばバッチリ決まるセンテンスもあちこちに散りばめられていて、ハイライトといえる箇所が盛り沢山。総じて満足度高かったです。
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1975年17歳の葉秋生と親友趙戦雄が繰り広げる無鉄砲な日々、恋人毛毛(マオマオ)との別れのエピソードを編み込みながら、日中戦争時代の因縁の人間関係(復讐)が全編を貫く。
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馴染みのない中国人名に苦戦しながら、ものすごく時間がかけて読み終えた。
1人の青年の様々なことへの葛藤と青春の物語、とでも言おうか。祖父を殺した犯人は誰なのか…基本はそのひと言に尽きる。
読んでいる最中は、「この出来事はどんな意味があるのか…」と、何が言いたいのかよく分からなくなることもあったけれど、最後まで読み終えてみて初めて面白いと思ったし、やっと物語が1つの形になって完成したような安堵感と感動があった。
満場一致の直木賞受賞作品、というのも納得。
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最近よく思うのは、慣れない作品ほど一気読みすべし、ということ。
話題になった直木賞当時はそれほど興味なかったのだけど、並んだ文庫のあらすじが気になり購入。
結果、意外とよかった。
蒋介石が台湾へ渡った当時の中国、台湾の生活、そして内戦の痛ましさを要所に見せながら、孫の主人公の青春を織り交ぜた感じ。
冒頭のトイレット事情や、ゴキブリ、幽霊のくだりなど思わず笑ってしまう表現もあり文化の違いも面白く呼んだ。
ただ、登場人物皆中国、台湾人なので解りにくすぎで、途中で誰がだれだか。。
ま、でも他の作品も読んでみようかなと思える作家。
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半分ヤクザの祖父が殺された!酷い殺され方だった。
主人公の葉秋生は祖父が殺された事で悩み考え自分の人生が非常に目まぐるしくなり、ヴァイオレンスでエキサイティングな青春時代を過ごす事になる!
自分の祖父の死の真相を追いながら台湾から日本へそして大陸へと流れて行く!
↑これは一般的な解釈による粗筋です。
私はこう思います↓
葉秋生は暇だった何に熱中することもなく唯々流されるままに生きる。兵役が嫌だから大学に行こうとするが受験の為の勉強が嫌で嫌で、外をほっつき歩くからトラブルに巻き込まれる。祖父の死を言い訳にし好き放題流れに身を任せ青春時代を謳歌する!
読んでて痛快な青春小説!!!
何故か私には村上龍の【69sixty nine】とこの小説が被ってしまう!?
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ジャンルは、ハードボイルド?
この作者の書いた逃亡作法があまり面白く感じられなかったので、期待せずに読んだのだが、かなり面白かった。
40年前の台湾の混沌とした雰囲気の中、主人公の成長が描かれており、ミステリーを主軸にしつつも、青春小説として仕上がっている。
普段、あまり読まないジャンルの本だが、この作品で直木賞をとったというのは、納得できる。
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台湾を舞台の小説。国共内戦の結果出来上がった社会と家族。その中で生きる主人公が学生、兵士、社会人へと意識の変化と成長を遂げる。
私は自身の生活で変化する日々と向き合うことを避けた。主人公はつまづきながらも変化に対応していく。
羨ましさを感じる。
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第153回直木賞受賞作。文庫化された時に買ってそのまま積読。やっと順番がきて出張の機内で読みました。
舞台は台北と祖父の出身地である山東省。今では大都会の台北だけど、昔は下町の雑踏感が強かったんだなと思いながら読み進めました。
途中で、話のオチが読めた時に、そういうことかと思わずつぶやいてしまった展開。うーん。
大陸と台湾、共産党と国民党の関係、歴史もちょっと勉強になった。
またいつか台湾に行けるかな。
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その時代に生きる人の躍動感と人間臭さが文章の行間から味わえる作品だ。
プロローグから始まってエピローグ迄の中で、話しの軸となる部分が有りそれに幾つかの物語が加わっている。
祖父の死について犯人を真実を捜していく事に目がいってしまいがちだが、読んでいくにつれこれは一人の青年の成長を描いている作品だと納得した。
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重い。
一族という考え方は
今の日本人はあまりしないと思うけれど
やっぱり人それぞれ一族の物語を背負ってるんだなぁ。
当然のことながら教科書に載るような歴史ではないけれど、本人たちにとってはより、現実的で身近な歴史を生きているということに気づかされました。
子や孫でなくても、誰かに受け継げる何かしらがあるのは素敵なことです。
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直木賞受賞作。
受賞した時に本屋で見て、「読みたいなぁ」と思った作品。
直木賞の選者の評価も高く、期待して読み始めました。
いつになったら物語が始まるのかなぁ?と思っているうちに、ページは進み、気がつくと後半に(^_^;)
思っていたより話が軽い印象なのは、一人称の文体によるものか。国家や党、その歴史の重みとダイナミズム、呪縛、人々の暮らしのエネルギーや猥雑さ、描かれてはいるけれど、何か物足りなさを感じます。
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台湾が舞台。歴史のことをあまりよく知らなかったので、背景が最初分かりにくかったですが、ちょっと歴史の勉強にもなったような・・
登場人物もそれぞれキャラが立ってよかった。
ユーモアのある文章も好き。
どんどん物語に引き込まれて、あっという間に読んでしまいました。
ただ、最後の一文がいまひとつ。「?」って感じ。
もうちょっと違う感じで締めてほしかったな。
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政治的には一つの中国を世界が認めている中、現実には台湾は存在する。そんな台湾の青年達の気持ちと大陸での戦争を経験した老人世代の感情。
台湾の人々の複雑な事情と感情をリアルに感じさせてくれた。
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舞台は1970年の台湾。
成績優秀だが悪ガキの主人公が激動の台湾社会の中で生き、成長する様を描く。
1970年は1940年後半の国民党・共産党の戦争に従軍した兵士たちも存命で、いつ戦争が再燃するかわからないピリピリした時代。
その中で主人公は祖父の死を境に思いもしないような人生を歩み始めることになり、物語の最後では戦争が家族を擂り潰す悲しさがある。
フィクションだとわかりつつもカオスと国の成長がまぜこぜになった当時の台湾と青春時代がまざまざと想像できました。