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またすごい小説を読んでしまった。今回はかの岬洋介の父とおなじみ渡瀬警部とのお話。敵は復讐の神ネメシス、いみじくも正義の神テミスとの対決だ。当初から死刑を免れた犯人ではなくその家族への復讐はなんかおかしいなと感じていたらとんでもない復讐計画が仕組まれていたということに。しかし温情判決を連発をした渋沢判事の本当の企みを知ったならばなるほどと納得してしまった、確かに死刑が究極の罪刑ではないのだ、後のことを考えると受刑者にとっては地獄の苦しみが待っているというものだ、そりゃ死刑にしてもらった方が楽かもしれない。
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何度もどんでん返し。ミステリとしてとても面白いけど、反面考えさせられる作品。タイトルが秀逸、と読み終わったときに思った。
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12月-6。3.0点。
渡瀬警部シリーズ。収監中の殺人犯の家族が惨殺される。
死刑を逃れた殺人犯の家族。動機は怨恨なのか、「ネメシス」(義憤)の文字が。
必死の捜査をするが、続けて犠牲者が。
警察と検察のそもそも論の掛け合いが多い。
肝心などんでん返しが、あまりにもサラッと描写された感じ。
まあまあかな。
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中山七里さんの小説は重いものとそうでないものとの差がくっきりで、これは前者。テーマが重く、必然となかなかページが進まない箇所があった。さすが、どんでん返しの帝王、ただじゃ終わらない。ネメシスの執念を感じた。
途中出てきたエピソードは、後でなにか出てくるんだろうなと予想つく。ネメシスはこれまでに出てきた人だろうかと、被害者の弟の大阪に住んでる人かなと思ったが外れた。
岬洋介シリーズはだいぶ前に読んだので覚えてないが、親子のからみはあるのだろうか。
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一人暮らしの女性が殺された。その横にはネメシスの血文字が。
ネメシスはギリシャ神話の義憤の女神。
この犯行の意味は?
殺された女性はかつての加害者の親族であった。
さらに加害者家族が一人殺された。この犯行は正義感から来るものなのか。
三人目の加害者が出る前に逮捕されたのは、驚くべき人物だった。
そして真の犯行動機も。
死刑制度を考えさせられるストーリーだった。
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今作のテーマは死刑制度。
残虐な殺人を犯しながら、死刑を免れた懲役囚の家族が次々と狙われる事件を、渡瀬警部&岬検事が追う。
死刑廃止か存置か。
最近中山さんは社会問題を取り上げることが多いけど、また難しい問題を…。
大切な人の命を奪われた者が、犯人に死刑を望むのは当然の感情。
でも、最後にある人物が言ったように、懲役が内側から人間性を殺していく刑罰なのだとしたら、簡単に命を終わらせる死刑よりも残酷な罰なのかも知れない。
そして、被害者家族の苦しみや哀しみ。加害者家族に向けられる理不尽な悪意。
ひとりの人間が罪を犯したことで、関わる人たちすべてが被害者となってしまう。
死刑制度だけでなく、色々考えさせられる作品だった。
言葉の端々に検事の息子洋介や高遠寺静、御子柴弁護士、他作品の登場人物の影が見え隠れしてて、中山作品のファンには嬉しい限り。
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そろそろ「渡瀬さん」の名前を公表してください。
これはあの事件のことかぁ、とか思いながら読みました。
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重大事件を起こした懲役囚の家族が相次いで殺され、犯行現場には「ネメシス」の血文字が残されていた。犯人の動機は義憤か、復讐か。渡瀬警部が犯人を追う。社会派ミステリ。
日本における死刑制度の存廃がテーマ。作者自身の主張、思いが強すぎたのか、せっかく中山七里作品にお馴染みの刑事、検事、検死医らが登場するのに、肝心のストーリーに魅力を感じなかった。力作だとは思うけど。
(Ⅽ)
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第三者が犯罪者および関係者を追い詰めるのを、義憤でなく
また、決して正義でもなく反論できないのをいいことに、日頃の鬱憤をはらしてるだけの卑怯者って断じる下りが素晴らしい
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超一気読みの作品だった。あいかわらずのどんでん返しだった。最後までも。そして、また深く考えさせられた。日本の司法制度が、加害者の事しか考えられていない事に。日本国憲法の改正論議が盛んだが、もっと身近な法制度を改める方が先ではないだろうか?
最後に、判事の言葉「死刑が極刑ではない」と言うのにも改めて考えさせられる!
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読みごたえがあって、おもしろかった。
☆4か☆5かで迷っての☆4です。
加害者家族と被害者家族、双方の辛苦が読んでいて辛くなり、無残に殺された被害者が哀しすぎです。
重大な犯罪を起こした人間に対する厳罰は死刑か長期懲役か。
死刑存廃論、国民の8割が存続派であるとか、諸外国の風潮は廃止であるとかは、知らなかったのですが、読んでいても気持ちがあっち行ったりこっち行ったり。
犯罪者への処遇は何が正解?
重いテーマですが、渡瀬刑事は良いです。すっきりします。
岬検事も自信満々で隙もなさそうなのに、息子とか部下のことでダメージを受けたりと、魅力あふれる人たちのおかげで読み物としておもしろく読めました。
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ネメシスという名前で加害者の家族を殺していく犯人。非常に不特定多数の容疑者が浮かぶがなかなか絞りきれない。とうとう3人目の被害者が出そうになるところで、渡瀬がおとり捜査をもくろみ見事捕まえる。しかし、犯人の本当の目的はまだその後にあった。伏線も引かれ最後の最後でその内幕がわかる。非常に凝ってしかも理由が明快。落とし方も見事。こりゃこの作者はやはりディーバ-と結構張れるようなストーリーテラーかも。
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岬検事、渡瀬刑事シリーズ。
死刑制度の在り方を問う作品でした。
ある時、無期懲役で服役中の殺人犯の家族が、被害者と同じ方法で殺された。現場にはネメシスという文字が残されていた。
復讐の神であるネメシス。メッセージは何を意味するのか?
捜査が難航している最中、第2の被害者が出た。
同じく全く同じ方法で殺された殺人犯の家族だった。
メビウスの正体に驚いたのはもちろんですが、真の目的は別に有り、、、
人を処刑できるのは神だけだと思う。
神の名を借りて人間が人間を裁くことを、
誰の立場に立って考えようとしてめ答えが出ない。
渡瀬刑事、お見事でした。
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最後までびっくりする展開で面白かった。復讐、加害家族の責任、被害家族の心情、刑罰、死刑制度と重い場面が多くて渡瀬さんと古手川くんの関係性の場面が息抜きになるくらい。読み手に問いかけられているような気分。真の極刑とは何か。司法制度の正解とは。
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ネメシス、どこかで聞いたことがある、と『新・怖い絵』を開くと、ああ、ここにおわします。
しかし......かのような絵姿でないのが、著者のネメシス。
彼女は運命の女神か、それとも復讐の女神か。
本書では死刑制度について読者に問う。
世界が死刑廃止の方向だから?
冤罪の恐れがあるから?
犯罪者を生かす税金は無駄?
更生など望めない?
遺族感情に目を向ける必要性?
クエスチョンマークだらけの議論が、平行線の議論が、ずっと繰り返されている。
学部生の時、私も同じような課題に取り組んだ。
議論をして、論破して、勝ったつもりでいた。
けれどもたくさんの課題がある中で、そのすべてに十分な根拠を述べたとは言えないし、何より加害者の家族に対する考えになどまるで取り組んでいなかった。
自分が見たいものや事にだけ、自分に都合のいい部分しか見てはいなかった。
本作に登場する、温情判事事渋沢の過去に私は一度声を失った。
それでもなお、温情判事と言われる判決を出す姿は神々しくさえあった。
それに比べて、公憤を正義と勘違いする輩の何と低俗な事!
感情だけで動くその姿は大馬鹿者という他ない。
しかし、そんなふうに考えた自分も同じ穴の狢だと思い知らされる。
著者はあの、中山七里氏だ。
単純な善悪だけで終わるはずがない。
神とはそもそも穏やかなものではない。
怒りをたたえた大いなる存在。
神は平気で地上を一掃する。