投稿元:
レビューを見る
面白い。意外性もある。なるほどと思うタイトルだし、骨太な展開。
けれども、同一世界軸を舞台としたらしい作者の世界で、○○界をの根幹を揺るがす事件起きすぎじゃないか? もう民はすぐに過去を忘れるから気にするな、なのか? 登場人物達が年を重ね経験を増やしても、社会がここまで過去を引きずらないと、成長がいまいち感じられない。そして、この人物達がこの世界線で時を刻む必要があるのたろうか、と思ってしまう。
読み終えてぐったりした。
投稿元:
レビューを見る
ネメシスの使者。
中山七里さん。
この国では個人的な復讐は禁じられている。
それをすればわたしたちの側の正義がなくなる。
罪ない人間が死んでいて、
罪のあるあいつが生きてるなんて絶対に変。
死刑か?!無期懲役か?!
死刑の判決のあとの、
冤罪の危険性。
ネメシスは誰の中にも存在する正義の使者。
難しい。
理不尽な殺人者は塀の中で守られて、
手厚く擁護し、終生面倒をみてくれる福祉制度のよう。
加害者家族。被害者家族。は、
殺人者の代わりに、
塀の外で罰を受ける。
物語に入り込みました。
ネメシス。犯人。
さて。誰でしょう。
おもしろかったです。
投稿元:
レビューを見る
クセ者、渡瀬警部、そして岬検事が登場する。
これまで、さまざまな社会問題をテーマに扱ってきた
作家さんの作品で、今回は死刑制度。
死刑を逃れた凶悪犯の家族が惨殺される。
殺害方法は、その凶悪犯がかつて起こした事件を
踏襲したものだった。
現場には「ネメシス」というメッセージが
残されている。
「ネメシス」とは「義憤」を意味するが、
「復讐」と解される場合もある。
復讐なら、過去の事件の関係者による「報復」なのか。
それとも、司法制度に対するテロなのか。
渡瀬と古手川、岬が、犯人、そしてその真意を追いかける。
渡瀬シリーズを読むたびに思う。
彼は、実にブレない。
そのブレなさが、安定感を引き出し、
どんな状況になろうと、安心して読み進めていける。
渡瀬警部に任せていれば、間違いない、と。
事件に巻き込まれなければ、その渦中の人の想いは
分からない。
加害者と被害者家族。
「目には目を、歯に歯を」。
それで、納得というものは得られるのか。
それで、けじめをつけるしかないのか。
それ以上の落としどころはないのか。
どう考えても、答えは出ない。
投稿元:
レビューを見る
評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
ギリシア神話に登場する、義憤の女神「ネメシス」。重大事件を起こした懲役囚の家族が相次いで殺され、犯行現場には「ネメシス」の血文字が残されていた。その正体は、被害者遺族の代弁者か、享楽殺人者か、あるいは…。『テミスの剣』や『贖罪の奏鳴曲』などの渡瀬警部が、犯人を追う。
殺人をしておいて反省も無くのうのうと生きている犯人への憤りは理解出来る。犯人を弁護する弁護士や裁判官が被害者の立場でも犯人を擁護できるのか?と常日頃から国民が皆思って居ることをそのまま小説にしているので思わずのめり込んだ・・・・が・・・最後の最後でえっ?結局自分の為だけの仇討ち?
投稿元:
レビューを見る
渡瀬&小手川コンビ、岬(父)検事など、中山作品ではお馴染みのメンバー勢揃い。
どんでん返し展開がお得意であるのは重々承知しているので、犯人の正体は驚きはしたものの、裏に隠された真の動機については大方予想通り。とは言え、その方法は驚くもので最後まで気を抜けずに面白く読めた。
世界的には廃止の流れであるものの、死刑が最高刑である日本でずっと燻り続けている死刑廃止論。確かに冤罪等の問題があるので、死刑存置を声高に叫ぶことは憚れるが、現状の日本の懲役制度を考えると、重犯罪人に対してやはり死刑失くしては軽すぎるかなとも思う。一方で、今作でも触れられているように、被害者・加害者両方の家族に対する人権等が今の日本で現状きちんと守られている気はしない。その上で、最後の判事の呪いめいた言葉は無期懲役刑の正当性を裏付けるものか甚だ疑問に思う。罪を償うべき本人が死刑だろうが無期懲役刑だろうが苦しむことになるのは一向に構わないが、被害者・加害者家族までもが人非人扱いされる、ならざるを得なくなるのは違うだろう。その意味では最後の判事の言葉は自己満足の狂人の戯言でしかないように思う。
投稿元:
レビューを見る
このどんでん返しには驚いた。
無茶苦茶だけどオモシロイ。タイトルからして叙述トリックと言ってもいいのかも。
この作品で扱われた「司法システムと私刑」については、あくまでも作品上の化粧であって、この作品から考えてはいけない。ここから考えると当然ながら理性的な結論にはならない。
渡瀬警部ものを読むのは初めて。こっちが最初で、光崎教授がスピンオフだったんだね。岬さんの父親も登場し、息子を嘆いてみせることころはご愛嬌ですね。
投稿元:
レビューを見る
何としても仇を取りたい。すごい執念。
でもさ、仇をとったら自分も同類になっちゃうのに。自分でそこまで堕ちなくてもいいように思う。
投稿元:
レビューを見る
最初は温情判事が犯人かと思っていたが、どんでん返しはお見事!渡瀬警部と古手川刑事のコンビも絶妙だし、岬検事も絡めての物語の展開はとても興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りた本。
温情判事によって死刑を免れることができた懲役囚の家族が、犯罪と同じ手口で殺される事件が2件起こった。はんにんは「ネメシス」の文字を残していた。犯人を追うのは渡瀬警部。最後にたどり着いた意外な犯人。しかし、犯人が分かってからさらに数十ページ。
投稿元:
レビューを見る
ネメシスの文字を残す連続殺人事件の被害者は、それぞれ殺人事件での判決が温情と思われる理由で死刑とならず懲役刑になった犯人の親族だった。捜査は難航するが、新たな犯行のターゲットが警察に保護を求め、一気に犯人逮捕、裁判、収監にまで向い一件落着。しかし犯人の真の目的は・・・とう構成だが、登場人物の意味を考えると結末はある程度読めてしまう。
死刑制度をテーマに書かれた意欲作だが、ミステリとしては今ひとつという印象。
投稿元:
レビューを見る
今回のテーマは死刑制度。実は最初にどうしても腑に落ちない部分があり(読後は納得)それを引きずってしまったので物語に入りにくかったのですが、これをシリーズでよく知る渡瀬、小手川コンビが扱い、岬検事まで登場したことでぐいぐいと引っ張られ一気に読んでしまいました。死刑よりも、長く塀の中において反省を期待する、という理屈はわかります。でも大事な家族を奪われた遺族が納得するのは難しい。まして更生が期待できないような悪人の場合は。司法に対するテロ、という帯の言葉が重いです。中山さんらしい社会派ミステリでした。
投稿元:
レビューを見る
時系列的に『テミスの剣』を先読みするのがおすすめ。
渡瀬警部視点っていうところからセット読みだと、より渡瀬警部の昭和の刑事って感じのいぶし銀だったり、狷介さと静謐さが際立つ気がします。
今回のテーマは『死刑制度』。
被害者家族と加害者家族。
死刑制度ひいては死とは果たしてなんぞやという思想の話に。
七里さん作品で加害者家族を描いた作品だと【悪徳の輪舞曲】。
被害者家族のその後であれば【セイレーンの懺悔】を彷彿としました。
七里先生はほんっとうに、人が普段見ないようにしている、自分の内面に巣食っている醜悪な部分を直視させるのがお上手です。
投稿元:
レビューを見る
こういう別の正義を持つ人との対峙、好きなんだよなあ。
誰のための死刑か?日本で死刑容認派が多いのは、「普通に生きていれば、自分が死刑になることはない」と思っているからでは?と思った。
でも、被害者の関係者だったら。冤罪をかけられたら。そのときに初めて死刑制度の重さとやるせなさを知るのだと思う。
人を1人殺しても、たいていは死刑にならない。自分は守られると知っていて人を殺したり、生きていたくないから他人の命を利用したり。人を殺すということは重いことなのに、誰でもいいからとか自分より弱い人を狙うとか、本当に腹立つな。
犯人の本当の狙い、よく読めば伏線気づけたと思うけど先が気になりすぎてずんずん読み進めてしまって気に留めていなかった…!
でも犯人の本当の狙いより、ラスボス感のある最後のあの人の言葉にガツンときた。再犯の多さはそうも捉えることができるのか…
投稿元:
レビューを見る
テミスの剣も良かったけど、渡瀬警部やっぱりカッコいい!
死刑制度な論議は中々難しいけども、それを取り巻く加害者・被害者家族への考え方も難しい。
投稿元:
レビューを見る
死刑が当然と思われた殺人者たちが、温情判事と言われた裁判官の判決で無期懲役や何年かの懲役となる。あるとき、その殺人者の母親が、同じ殺し方で殺され、近くには血染めの「ネメシス」の文字があった。そして、同様の第二の殺人事件が起こる。やはり「ネメシス」の文字があったのだ。これは被害者の家族に代わって、刑務所にいて手が出せない殺人者の身代わりに殺人者の家族に復讐の刃を振るったのか、それとも正義の鉄槌を気取る者なのか。
被害者家族、さらには殺害者家族の塗炭の苦しみが描かれ、死刑制度や裁判員制度の是非にまで踏み込む。なかなか読みごたえがあるのだ。渡瀬警部や岬次席検事などの登場人物も魅力的だ。(岬というと、あれっと思う人がいるかもしれない)お馴染みのどんでん返しもある。最後は、人間の歪んだ思いに震えるのだ。