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刑罰とは何か。加害者、被害者。そして加害者の家族、被害者の家族。裁くのは罪で有って思想では無い。そうは言っても人は気持ちが動くもの、気持ちで動くもの。やりきれない思いを行動に移してしまった犯人【ネメシスの使者】の気持ちを考えると、辛い。
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中山作品にたびたび登場する埼玉県警の渡瀬・小手川、現在東京地方検察庁の次席検事の岬。
死刑相当と思われるような事件を起こしたが、懲役刑となった受刑者の家族が殺される事件が起きる。そこにはネメシスという文字が残されていた。ネメシスとはギリシャ神話に出てくる女神、復讐の女神という意味か?犯人の目的とは?読み進んでいくと犯人は以外な人物。さらに割とあっさり逮捕されるがそこで話は終わらないところがすごい。死刑制度とは、罪を償うとは、読了後、考えさせられる作品だった。
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難しい。
その一言に尽きる。
連続殺人事件をベースにはしているが、司法関係の用語がかなり多く、読むのも難解。そして、日本における死刑制度の在り方。メインで取り上げられているこのテーマもまた難解。
無残な連続殺人事件を起こしておきながら、懲役刑に罰せられた犯罪者の親族が連続して殺害される。殺害現場には「義憤」の意味を持つギリシャ神話の女神ネメシスの名前が残され、死刑判決を免れた犯罪者たちへの復讐劇とみなされ、埼玉県警の渡瀬や古手川は県をまたいだ捜査に乗り出す…一貫して、司法制度の在り方を問う内容で物語は描かれる。心理技官など、あまり聞いたことがないような役職の人間も描かれ、少し不思議な気がするが、至るところで張られた伏線はラストで綺麗に回収される。
犯人は結構早い段階で分かるが、どんでん返しが得意な作者だけあって、最後まで気が抜けない。今回も今までとは違う趣向のどんでん返しがあり、ましても、やられてしまった…
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犯罪者の量刑が世間的に相応でないばかりに、被害者家族の恨みが加害者家族にまで及ぶ。
んーーーっ、これはなかなかの問題。
どちらかと言うと、私はネメシス容認。
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面白かった。
でも、温情判事の判決理由は、わかったようなわからないような…。再犯って事は不幸な被害者がまた増える。
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【ドンデン返しの帝王が「死刑制度」を問う】無期懲役の判決を受けた殺人犯の家族が殺された。遺族による復讐か、現在の司法に対するテロか……渡瀬刑事が追う。社会派ミステリ。
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今回はどんでん返しの正解を当てることができませんでした。多分、作者の思う壺にまんまとハマってしまったのかもしれません。復讐の手法までは早い段階で予測が付いたのですが、如何せん緻密なコントロールをどうやって行うかが判らず、よもやこういう方法があるとは。ちょっと素人の知識だけでは無理でした。
最近ではあまり騒がれなくなりましたが、裁判員制度といった裁判官の能力の否定や死刑廃止制度、再犯率や容疑者の責任能力の問題もありますね。この様に、日本の司法制度の迷走問題、最近では法務大臣の問題も加わり、更に司法の崩壊に拍車が掛かっています。
私自身も忘れかけていた問題を再度思い起こさせて頂き、とても感謝感謝の気持ちで一杯です。どんでん返しと同じくらいの社会問題再提起を次回作でもお願いします。
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司法に対する反逆的犯罪のミステリー。
現代社会の問題提議がストレートな作者らしいミステリーでした。
途中のエピソードが気になっていたのですが、どんでん返しの伏線になっていたわけですね。
法務業務の裏までわかっていないと推理できそうもないので、僕のような凡人の読者にはハードルが高いですが物語は堪能できました。
ファンには岬検事と渡瀬警部のコラボがうれしい上に、関連するキャラ名が出てくるたびに興奮しそうでしたが、静おばあちゃんの名前が出なかったのは逆に印象的でした。
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速水翔市どこいった?相良はどうする?と思っていたら、なるほどね、と。そういう意味では分かりやすい伏線でした。が、真犯人は意外。そして岬洋介を重要なポジションでリンクさせてくれて嬉しい♪けど、父としては悲しいんだろうな。才能の塊なのに認めてあげられないなんて。渡瀬さんいいなぁ。飾らないしブレない。菜々子の勇気がなければ事件はどんな解決を見たんだろう?温情判事の裏の顔を知れば死刑とは何か、と思ってしまう。でも、それでも死んでほしい気持ちは分かる気がする。私の立場は毎回の事ながら書きません…。
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途中で筋が読めてしまったのにも関わらず、渡瀬警部シリーズの中で一番面白かった。結局人間くさい動機がストーリーを引き締まったものにしていると思った。ここまでやるなんて荒唐無稽と一蹴することも可能だが、嘘くさく思わせないのがやはり著者の筆力。無期懲役は死刑以上の刑罰なのかどうかを考えさせる社会派ミステリだが、何はともあれストーリテリングを味わってください。
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ギリシア神話に登場する、義憤の女神「ネメシス」。
残虐非道な事件を起こしたにもかかわらず死刑判決を免れ、無期懲役の判決を受けた殺人犯の家族が相次いで殺され、犯行現場には「ネメシス」の血文字が・・・。
渡瀬警部と岬検事の出演にワクワクしたけど、死刑制度の是非や被害者遺族と加害者家族それぞれの立場での痛みと苦しみという、重く、答えのないテーマに深く切り込んでいて、読み応えあり。
方法が、ものすごい回り道で、不可能に近いけど一番可能性があり、綱渡りのようにも思え、ここまで感情を持続させることも現実には難しいような気もするけど、こういう状況に身を置かないと生き続けることすら難しいのかもしれないと思うと、本当にやりきれない。
犯罪は個人の罪で、家庭環境の影響がないわけでないが、犯罪者の家族が人並みに生きる権利も当然ある。
だいたい、人間というものは恐ろしいもので、自分の罪過を忘れて、人を見下したがる者なのだ。
そう言う感情がまるでないような人がたまにいるが、そちらが稀なのである。
人は、案外簡単に死ぬ。まったく、やりきれない。
とはいえ、戦争やら、事故やらによって、今日もあちこちで命を落とす人がいるし、加害者、被害者の家族というのもどんどん増えるわけである。
息子が車の運転などして、本人が事故死するならまだしも、人様を巻き込んで死亡させたりしたらと恐ろしい。
利己主義と言われようと、とりあえず、他人によって、家族や愛する人々、親しい人々の命を断ち切られることが無いようにと祈るばかりである。
死刑には反対でも、死刑制度には賛成という立ち位置が一番しっくりくるかな、と考える今日である。
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ミステリーというより被害者・加害者家族苦しみ、死刑制度を問う内容が強い。そして、重い。そんなことで事件の進みはゆっくり、言い回しも癖あるものばかりで内容にくどさを感じる。最後も含め出来過ぎといった感じだ。
残るのものは「げに恐ろしきは人の恨み」ですね。
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お得意のどんでん返し炸裂!
誰も予想出来ない人を犯人にして そこからストーリーを考えてる様な感じ!
『そんな犯人誰も分かる訳が無いだろーー 』と 言いたい。でも、簡単にわかったら面白くないけどね。
それから、今岡菜々子のその後が分かる新たな話が有ったら読みたい
死刑廃止論! 真剣に考える時期が来たのかな⁈
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死刑制度、司法とは何か、何を持って正義というか、歪んだ正義が恐ろしいことを引き起こしかねない残酷さ、色々と考えさせられた。犯罪を起こし、法の裁きを受けた懲役囚、死刑囚が税金によって衣食住が確保される一方で、被害者家族の方は事件の時から時間が止まったまま、失った人、その人と一緒に過ごした時間は戻らないという悲しい現実に向き合って生活しないとならない辛さが物語が伝わるようだった。復讐を企てた法を持って人を裁く側に関連する男の思いと、目的から見えたどんでん返し、司法と人に対する重みのあるテーマと深みがある。
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★2017年8月27日読了『ネメシスの使者』中山七里著 評価B+
ネメシスとはギリシャ神話に登場する復讐の女神のこと。
埼玉県に住む主婦戸野原貴美子は、自宅で鋭利な刃物で刺されて、廊下で息絶えていた。廊下の壁には血文字でネメシスと書かれていた。
続いて、息子が起こした事件から一家崩壊となり、離婚の末、独り身でスーパーに働いていた二宮輝彦は、勤め先からの帰宅途中で何者かに襲われて鈍器で頭を殴られて溝に落ち込んで死亡。ここでもネメシスの血文字が発見される。
埼玉県警の変わり者の一匹狼の渡瀬警部は、物取りではなく、怨恨関係から捜査を開始すると、その事件の背後には予想を超えた深く重い事件被害者家族と犯罪者、それに対する裁判所の決める量刑の問題が存在していた。
いつもの中山七里らしい、疾走感のある作品ではない。しかし、裁判所の判決に対する国民の不信感とその根本にある裁判官の感覚の大きなずれ。それを解決すべく導入したはずの一般国民の陪審員制度で生ずる新たな問題点。そして、国際社会から批判されている死刑判決およびその執行、およびそれらへの国民的に低調な関心。さらには犯罪者に対する人権的な高すぎるくらいの配慮と対照的な被害者家族への過酷な現状。等々を上手に描いて物語として、問題を提起している。それらの意味において、上質の作品と言えると思う。