自分を見つめ直す終わりなき旅
2019/08/01 22:29
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
麻薬斡旋所の見張り役イーストが同世代の少年3人を連れて判事を殺しに行く成長物語。2000マイルの車移動の何気ない自然風景、何もうまくいかない道中の苛立ち、真面目すぎるイーストなりの決着の付け方が引き立ったアメリカらしいクライム/ロードノベルだった。
アメリカの地図を傍らに
2020/11/21 11:05
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投稿者:ひっくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
三年も積ん読しましたが、読了後もっと早く読んでおきたかったと後悔しました。
ミステリー系の受賞歴などからクライムノベルを想像して読み始めたところ、第3部から話は勝手な予想を外した展開に。そして、読み切った時には感動のため息が。
アメリカ各州の位置関係に疎いので、時折地図を眺めながらの読書、いい時間でした。
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ハードボイルトとはいえ、渋いおじ様が主人公ではなく、ハイティーンの少年、それも黒人の男(の子?)が主人公という異色作。
ロスの犯罪エリアで生きる少年たちに下された指令は、組織の審理に不利な判定を下すであろう判事の殺害。少年4人は車に乗り、はるか東の果てへ向かう…。
少年4人のロードムービータッチの小説(ロードノベル)でありながらも、常にメンバーの不協和音が奏でられ、暴力と10代の無軌道な行動がせめぎあい、徐々に悪夢を帯びていくクライムノベルでもある
やがて、単純なストーリーの様であったクライムノベルが、実は少年の自立と再出発の物語と変わる。
どこまでも孤独ながらそれを当然のこととして受け入れ、淡々と生きる主人公の姿が切ないと同時に力強い。
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ある男を殺す命令を受け
車で長旅をする事になったギャングの使いパシリ四人の青年の物語
主人公のイーストと弟のタイ 、その他2名
会話が頭に入ってこない。
ユーモアがとくにない。
イーストが感じてるような焦り
居心地の悪さのようなものはすごく伝わってくるが、面白さがわからない。
多分アメリカで賞を取ったのは
向こうの文化、背景を理解していないと読み解けないのではないか?とだんだんイライラして、久しぶりに読書中読みたくなくなって気分が追い込まれてしまった。主人公もそんな気分だったのなら、すごく伝わってきた。
いっそイーストを脳内で広瀬すずに変換したら読めるかとか色々模索したけど断念…
(数日後)再開、解説を読んでなんとなくまた読む気を呼び起こす。黒人のロードノヴェル云々なんて、知るか!とも思ったが読み進める。
タイ(主人公の弟)が居るせいでイーストはだんだんと広瀬アリスにはなってきた…
徐々に慣れてくる。
「カテゴライズされにくい話」は、分かりづらくて「なんの話だっけ?」と中途半端な印象を受けてダレて読むのを止めてしまうことが多かった。でも解説で「そういう話です」と聞いてたので、だんだん楽しめるようになってきた。ある場面には少し共感出来たし、どんどん意外な方向に転がる。
型にはまってる物語は、それはそれでありきたりに感じてしまうし無い物ねだりになるので、これはこれで良かったのかも(読了)
余談:タイはすずにならず。
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原題は<DODGERS>。言うまでもなく有名なメジャー・リーグのチーム名で、旅に出る少年たちが来ているユニフォーム・シャツに由来する。ドジャースがブルックリンに本拠地を置いていた時代、ブルックリンの住人は行き交う路面電車をかわしながら街を往来しなければならなかった。そこから、ブルックリン地区の人々を 「路面電車をよける (dodge) 人たち」 つまり、 「トローリー・ドジャース」と呼んだ。チーム名はそこから来ていると言われている。
少年時代、ドッジ・ボールが苦手だった。最後に一人残って逃げてばかりいると、味方の外野から「早く当たれ」とやじられる。ゲームが早く終われば、はじめからもう一回できるからだ。後年、「ドッジ」の意味が「よける」だと知り、ひらりひらりとボールをよけていた自分の方が、自ら捕りに行く級友よりも正統的であったことに気づき、留飲を下げた覚えがある。まあ、そんなことで少年時代の苦い思い出は消えたりしないのだが。
クライム・ノヴェルであり、ロード・ノヴェルでもある。ロサンジェルスからウィスコンシンまで、北米大陸を車で東に横断する黒人少年たちの旅と、主人公であるその名もイーストの旅立ちを描く。主人公が十五歳。弟のタイが十三歳、最年長のウォルターでさえ十八歳である。初めは旅を仕切っていた二十歳のマイケル・ウィルソンがラス・ヴェガスでトラブルを引き起こし、仲間から排除されてしまう。それがケチのつきはじめだった。
イーストは、ボクシズ(箱庭)と呼ばれる地区で麻薬業界を仕切るフィンというボスに見張り役として使われていた。ある日、警察に踏み込まれ、組織は打撃を受ける。仕事先の「家」は閉鎖され、失業したイーストは、フィンから直々に、他の三人とウィスコンシンまで行き、自分の裁判を担当する判事を殺せ、という指令を受ける。飛行機を使うと身元が割れる。車で行って仕事をし、終わったらそのまま帰ってくるという筋書だった。
金以外は何も持たずに出向き、銃は現地で調達するはずだったが、四人のはずが三人になったため、銃の取引相手が信用せず、別口で銃を買う羽目に追い込まれる。この辺りの少年たちの困惑と、そこを何とか切り抜ける機転の利かせ具合がなかなか面白い。ひとつピンチを切り抜けるたびに、それまでよく知らなかった相手の頭の良さや口の上手さ、度胸の良さ、危機回避能力などを知ることで、相手をリスペクトするようになってゆく。
口先ばかりのマイケル・ウィルソンが去ると、コンピュータ・オタクのウォルターが、なかなかの切れ者であることが分かってくる。種ちがいの弟のタイは家を出て以来音沙汰がなかったが、組織の雇われ仕事で、銃の扱いに慣れており、いざという時は頼りになる。ただ、何かというと銃を使いたがるので、イーストは扱いに困っている。タイは誰のいうことも聞きはしないのだ。
イーストは、冷静で暴力を好まない。「家」のガサ入れで銃撃戦に巻き込まれて死んだ少女をいつまでも忘れられない。そんな少年がなぜ殺人という依頼を受けたかだが、一つはフィンは父の実弟で、血のつながりがある。もう一つは、組織の危機を招いたのが自分が仕切る見張���チームのミスではなかったかという自責の念だ。さらに言えば、死んだ父の代わりに母に仕送りをしなければならなかった。
廃屋の段ボールの箱で眠り、洗面器で体を洗う少年の暮らしは、人の温みとは無縁だった。そんなイーストが父親代わりに出会うのが、第三部「オハイオ」。請け負った仕事はやり果せたものの、数々の失態から、ついにイーストは厄介者のタイを撃ってしまう。飛行機で家に帰るウォルターと別れ、独り東に向かって歩き出したイーストを雇ってくれたのが、スローター・レンジというウォー・ゲーム場のオーナーだった。
追われる身であるイーストは、このペリーに見込まれ、仕事を任される。模擬弾を使った撃ち合いだが、持ち込まれた弾には危険なものがある。プレイヤーたちが不正をしないか、上から見張ったり、掃除や道具の貸し出しをしたりといった仕事をイーストはしっかりこなした。客からも信頼され、オハイオでの暮らしにすっかりなじんだ頃、ペリーが死ぬ。そんな時、思いもかけないことに襲撃を受ける。
あっと驚くどんでん返しだが、オハイオでの地道な暮らしに共感を感じていた読者としてはありがたくない不意打ちだ。ネタバレになるので詳しくは書けないが、種明かしめいた展開はあまりいただけない。イーストという少年の成長と更生を願う読者としては、これではまるで、イーストが観音様の掌の中を飛び回る斉天大聖悟空のように見えてくる。いっぱしの大人のように思えていたイーストが一気にただの子どもに戻ってしまうのだ。
「書評七福神」の今月の一冊で票を集めていたので手を出した。これがデビュー作というので名うての評者も点が甘かったのかもしれない。広いアメリカを行く少年の目に初めて見える景色や、土地によって異なる人々の暮らしの様子など、少年であればこそとらえることのできる初々しい視点がある。ロード・ノヴェルの新境地かもしれない。ただ、終始十五歳の少年に寄り添った視点では、いくら大人びていても見えるものは限られている。それが叙述トリックなのかもしれないが、見える世界が限られている息苦しさが気になった。
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彼らは何を見て、何を感じ、何を得るのか?
主人公イーストを含めた少年4人が、殺しの旅に出るクライムノヴェル。
地の文が続く。街。山。自然。車。土地。暮らし。殺人に向かう最中の車からの景色。殺人の緊張感と旅の優雅さ。緊張と緩和。目的に近づくほど、トラブル難題が待ち受ける。
殺人だけの関係。仲間達との旅路。急激な展開に先が読めない。
イーストも仲間も子供だ。それぞれの思惑、深い闇、どう解決していくのか。または過ぎ去っていくのか。見所である。
待ち受けている解放感。清々しい。「シスターズブラザーズ」とはまた違った、沸々と湧き上がる感情のざわめきがあった。次作も決定しているらしい。追いかけたい作家である。
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一部・二部・三部と場面転換ごとに
物語の見方が変わっていくのはよかった。
ただ少しセンチメンタルというか増長な地の文は読んでいて苦しかった。
最初からこの計画はうまくいかないことは目見えているが
事件の裏に隠されたものが、読者に最後まで隠されているので
急に出されても・・・・とはなる。
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序盤はどんな話なんだろうと思いつつ読んでいましたが、読み進めるうちにロードノベル的な面白さに引きこまれていき、後半は一気に読んでしまいました。
テイストが好みが分かれる作品かもしれませんが、登場人物それぞれの個性と、舞台となる場所がどんどん変わって行くところは個人的にはとても楽しめました。
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1話1話、そして登場人物のバックグラウンドも細かに丁寧に紹介しながら長ーいドラマとしてテレビで見てみたい。
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読み出してしばらくはなかなか流れに乗れず、最後まで読めないかもと思った。ロサンゼルスの暗黒街で育った少年が、人を殺すよう指示されて仲間と共に西へ向かう。その道行の始まりからまもなく、最初のトラブルが起きるあたりで、俄然話に引きつけられ、あとは息を詰めて成り行きを見守ることとなった。
文章に独特のクセがあり、好みが分かれるだろうが、危うさに満ち、崩壊の予感を抱かせながら進む物語に、この文体はぴったりはまっている。少年の孤独がひたひたと胸に迫ってくる。ドラッグ売買の見張りをすること以外、何も教えられたことのない少年が、ギリギリの所で保っている倫理観は、何に根ざすものなのか。深い余韻を残す一冊だと思う。
何よりいいと思ったのは、どの登場人物にもリアルな奥行きがあることだ。主要な顔ぶれだけでなく、ちらっと出るだけの電話交換手とかガソリンスタンドのお姉さんにまで物語がありそうだ。続篇があるようだが、「少年のその後」といったストレートなものではないかも。
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各方面で絶賛されているとおり、クライムノヴェルでロードノヴェルでかつ、少年の成長モノで、意外な展開が新鮮な感じだった。
状況についても、登場人物それぞれについても、もっと書き込めそうなのに最小限の情報しか書かないで想像させる、といった感じで、全体的にハードボイルドな、無駄を極力省いたタイトな文章。饒舌な語り好きなわたしとしては、もっともっと書き込んでくれてもよかったかなあと。なんでローティーンの主人公と弟がこういう人間になったのか、とかもっと詳細に読みたかったような。。。
とにかくハードな状況なのでけっこう読むのがつらかった。いつ「成長モノ」っぽさが出てくるのかと待っていたら、ラスト三分の一くらいでやっとそれっぽくなって、その部分がいちばん好きだった。でも、暮らしている町近辺からたぶん外に出たことすらない主人公からしたら、州外に出て、気候も違う土地に行くってだけでも成長なんだろう。
ラストがさわやかな印象で救われた。
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最初から危うい感じの4人組。予想どうりトラブルの連続。だんだん追い詰められていく感じで苦しくなり、なかなか読み進められない。
後半の穏やかな時の流れがよかったが、こんな生活はいつまでも続くわけがなく、やはり旅立ち。
新しい名前で生きていくイーストに、頑張ってと言いたい。
それにしても老成した男の子であった。
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昨年末の「おすすめ文庫王国」で2位だったこのぶ厚い本にしてみたが、ふ~っ、やっと読み終えた。
少年が、組織の命令に従い、他の3人とともに、カリフォルニアからウィスコンシンまで車で人を殺しに行き…というところから始まるお話だが、残念、私には良さが分からなかったよ。
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LAの一角しか知らなかった15歳の少年イースト。叔父が支配するドラッグ組織で見張り役をしていたイーストは、叔父の命令でほかの3人の少年たちと共にバンに乗りウィスコンシン州に向かう。目的はある人物を殺すこと。
犯罪組織に属する癖の強い4人が道中、平和に旅するわけがありません。どんどん問題を抱えていってしまう。仲間との軋轢を重ねながら、今まで知らなかったLA以外の地域、自然、人々を目にしてゆくイースト。
物語の最後になって、イーストは叔父の命令の真意を知ります。LAに戻り犯罪組織で生きていくのか、それとも東(イースト)で新しい自分として生きていくのか。イーストの決断に心を揺さぶられた。
この本、アメリカの地図付きだったらいいと思いました。カリフォルニアからウィスコンシン、そしてオハイオなど地図を辿りながらもう一度読みたい。
アメリカ横断のロードトリップをしたくなります。
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黒人少年の成長物語...
主人公イースト、やっぱまだ少年だけあってタフガイではない。タフガイであることを期待してまうんやけど、実際は弟のタイの方がタフガイ。でもイースト、いいやつ。
オハイオでの生活がもっと長く続けばよかったのに。