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投稿者:Sota - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもながら、木原作品には、ハズレがない!
今回は、ペドフィリアという、新しい単語を知りました。
出口のない性癖をどこにぶつければ良いのか、解決策は見つかりませんが、問題提起をすることで、そういう人も居る、という認識を持つことが出来ました。
雑誌掲載作品は、読んでいましたが、書き下ろしも、興味深い作品でした。
圭祐が倒れたのは、伊吹と会った直後なのかな?
人から見れば、ごく一般的な生活をしているように見える大貫目線なのも、良かったですね。
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投稿者:かなぶん - この投稿者のレビュー一覧を見る
小児性愛、ペドフィリアをテーマにしたお話です。
正直、小児性愛者を気持ち悪い、と思っていました。
ですがこのお話を読んで、小児性愛者であること自体は罪ではない、
ことに気づきました。
だからといって、実際に行動に起こしてしまうと罪である。
では彼らは一生欲望を抑えて生きなければいけないのか。
もし自分の子供が小児性愛者だとしたら・・・?
今まで考えたことがない問題を考えるきっかけをもらえたことに感謝しています。
強烈な衝撃と問いかけ
2020/07/05 11:20
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投稿者:み - この投稿者のレビュー一覧を見る
LGBTなどマイノリティに対して、入門編とも言えるような優しい物語もあれば踏みこんだ作品もあります。この作品は生易しさを許さず踏み込み、ペドフィリアに対して(その人とその周囲で生きる事とに)自分はどう考えるのか闇の底から見つめられるような暗さと怖さと強迫性がありました。
普段木原さんの作品を読んでいる方も驚くのではないでしょうか。★5は内容的に悩みますが、人生に何度も出会えないような本当に凄まじい作品だと思いました。
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苦しくて切なくて、やるせない。
だけど、それでも、三話目では不快感もあったりする。それがなおさら、彼らペドファイルと呼ばれる人たちのどうしようもない思いを強く感じさせる。エピローグがまたなんとも言えないやるせなさを……。
服の表裏、という表現がとてもすとんと胸に落ちた。
伸さんも、なんか、やるせないなぁ。
啓介が、どうか、幸せでいてくれますように、と、方法もわからないのに願ってやまない。
町屋くんも、どうか、次は素敵な人と巡り会えますように。
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木原センセの一般文芸作品。BLじゃないのにすぐセンセの作品と分かる匂いがしました(笑)すばるに対する何の媚びもないいつもの木原節になぜか安心感。
雑誌掲載作3編に書き下ろしを収録した、ペドフィリアが主題のお話です。
墓場まで持って行く秘密。
そんな重大な隠し事とは、犯罪とか禁断の諸事情など人それぞれでしょうが、こちらは世間からは忌み嫌われる最悪な性癖でした。
町屋は久瀬の性癖を知りながらも、ほのかな恋心により愚かにも期待してしまいます。恋は盲目というけど、まさに町屋はこれでした。それが相手を傷つけ、また自分も惨めに傷つくことになるとは思わず、絶望のどん底に突き落とされた町屋。痛すぎました。…救いがない、辛い結末でしたが、これが現実なんですよね…
「あのおじさんのこと」は、「ラブセメタリー」と視点を変えてリンクするストーリーでした。
久瀬の甥で、出版社の契約社員の伊吹が、死亡した伸さんという男がなぜホームレスになったのか、興味が湧いて調べるうちに、次第に闇の部分まで知ることになってしまう話です。
そればかりではなく、気づけば他人事だと思っていたことがそうではなかったという、ものすごい後味の悪さが超絶品物です。問題作。
「僕のライフ」は、その死んだ伸さん視点で描かれた彼自身の物語。彼がどのようにしてペドの闇に堕ちて行ったのかが淡々と描かれていました。
欲望をひた隠して潔癖に「擬態」する久瀬と、対照的に憐れな最期を迎えた森下。
決して褒められた性癖の持ち主ではないけれど、望んでそうなったわけではないのに限りない責苦を負っているという事実が重かったです。
書き下ろしは久瀬がめちゃくちゃ羨ましがられ嫉まれていて、複雑でした。
まあ世間からそう見られるように清廉潔白に努力してるから仕方ないんだろうけど、救われないな…と思ってしまいました。
人の評判、間接的な情報、そして思い込みで形成される人物像はとても曖昧で、善人にもなれば悪人にも成り得ます。誰も知らない裏の顔ってのもありますよね…
善行と悪行の区別って一体どうやってつけたらいいんでしょうか?
つくづく考えさせられました。
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木原節炸裂でした
ペドフィリアというアンモラルなテーマを掲げ
倒錯 犯罪 ノーマルという3つの視点から描く
その心模様のリアルさが木原さんの筆力だなと
自分の中で子供への性欲だけが異分子な二人の男
自分の理性すら信じる事が出来ず性欲抑制剤を処方して欲しいと精神科を受診する男
自らを客観的に見ることができず、自分のペドフィリアを愛だと錯誤し続け誤認に気づいた時には倫理を踏み外してしまった男
彼らの決定的な違いは社会性と抑止力の差だと思った
思想は誰にも取り締まれない
自分の頭の中まで他人の価値観に支配されるなんて生き地獄
と語った精神科医の言葉
欲望を想像で楽しむなら誰も被害にあわないし犯罪ではない
しかし、それを実行した時に外道極まりない犯罪者になる
自分で望みもしなかったオプションが備わってしまった
ふがいない僕は空を見たの一文を痛切に思い出した
私は備わっていなかった
子どもを見ても性的興奮など起こる事もなく
ペドフィリアを知る事もなかった
ペドフィリアと共に生き自らを去勢した男の絶望と虚無
欲望に身を任せ鬼畜と化した男の身勝手過ぎる思考
彼らの思想を克明に書き出すことで知ることのできない世界を見させてもらった
テーマがテーマなだけに腹に据えかねることも多々あるがそれでも読み進める手を止められなかった
設定はご都合主義な部分が多いけど、人を内面を抉り出す筆は健在でした
ノーマルな生活に飽き飽きしてる人間が本当は一番幸せだった
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BL界の巨匠・木原音瀬さんのBL小説ではなく、「小説すばる」掲載された小説です。
ペドフィリアについて、性癖としてくくるのか?犯罪として捉えるのか?
共感する所は無いでしょうが、登場人物の心の葛藤がドラマを生んでます。
賛否両論が分かれそうな衝撃的な連作小説です。
とにかく、読んで欲しい一冊です。
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連作短編3編
幼児にしか性的興味をおぼえないペドファイル,当事者にとっては深刻な問題だが相手になる者たちは幼くて,だからとうぜんお互いを理解し合えないし,セックスも一方的になる.される子供にとっては本当に悲惨なことだ.圭祐や伸春の苦しさはわからなくも無いが,何時もの木原さんの魂を揺さぶられるような感情の昇華といった美しい愛がないのが物足りなかった.
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なんだろうな。
同性愛には寛容になってきているのは、悪いことじゃないと思う。
他のマイノリティが嫌悪されるのは?
小児愛は子供側には愛やら性行為の善悪、判断が出来ないから?
大人側の欲望のみだから嫌悪するのか?
では近親相姦や獣姦は?
双方の合意があっても自分は実際目の当たりにしたら引くなぁ。
でも久瀬の望んでこうなった性癖じゃないっていうのは、気の毒としか言いようがない。
なんだか色んなことを考えさせられた。
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ペドフィリア、ゲイの人たちのお話。ホームレスとか、人の多面性、ひいては人の生き方までが交差してる。
今までの木原さんの作品とはちょっとスタンスが違う気が。問題提起。
とても心にグゥーっときた。読んで良かった。
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ペドフィリア(小児性愛)が主人公
読んでいる間は 共感してしまったりする
大変よく出来た小説だが
やっぱり 駄目なものはダメ
認めるわけにはいかない
これは ある種の殺人
もっとも酷い心も壊す人殺しだ
と思った怖い小説でした
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女性を愛せない、大人を愛せない。持って生まれたからには切り離せない自分の性癖は、そんなに悪なのか。悪だというのなら、なぜ神様はそんな罪を背負って生まれる人間を創ったのだろう。
…小児性愛をテーマに描いた物語は、そのどうしようもない性向を抱くふたりの男性を中心に連作短編の形で描かれていきます。
けしてきっと悪ではない、けれど嫌悪されざるを得ない業を持ったその「愛」は、愛ではないのか…。
否とも応とも言い難い、答えが出るわけのないその問いが、ただただキリキリと迫ってきます。
誰か、を好きになるのではなく、ひとときだけ存在し得るかたちのひと、を好きになるというのは、考えてみれば不思議でもあるように思います。時の経過とともに育む愛ではなく、時とは決して相いれない愛。
時を重ねて生きていくしかない人間に、なんてむごい情の授け方をしたものだろうと、考えてしまいました。
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LGBTは世の中受け入れられつつあって、小児性愛者だけは出口のない迷路をさ迷い続けなければならない。それが社会を守るという正義だから。
衝動を抑える薬を求めにやって来た男。医者の対応はこれが普通なの?あまりに塩対応で…絶望してしまう。
一方、衝動のままに子供に手を出す男。稚児文化がある時代に生まれれば愛して幸せにするのにと。子どもが買える国でとうとう一線を越えるわけだが…これノンフィクションですよね…こんな需要と供給が一致してしまう世界が悲しい。
今日もそのようなネットニュースが流れてきた。自分は大人が恋愛対象の異性愛者で良かったとコメント欄にあった。誰しもがそう願わずにはいられない。いいよなぁいいよなぁが頭のなかを木霊して…その声は久瀬の声になり森下の声になり…
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エピローグを読んで、伊吹が圭祐に感じたのと同じ種類の恐怖を体験した。智の幸せを祈らずにはいられないけれど、圭祐のこれからも苦悶に満ちるであろう人生を思うと、圭祐をひどい奴だと決めつけることもできない。
一話目の智と圭祐の話を読んで抱いた「若いうちはセックスもしたいだろうけど、自分がおじいちゃんになってしまえば日常からセックスを切り離して生きていくこともできるだろうに」という浅はかな考えは二話・三話と読んでいくうちに打ち砕かれた。
小児性愛者への生理的な嫌悪感をかき立てられつつ、でもこの嫌悪感はどこから?誰が「悪」だと決めたのか?と自問自答してしまう。
小児性愛者への嫌悪が消えるわけではないけれど、この本を読んで、軽率に他人の人生や嗜好を断罪できなくなった。
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幼い子供にしか欲情できない、そんな大人たちの話。
こんな性癖に生まれたのは自分の意志なのか、それとも生まれた時にはもうすでに決められていたことなのか。
なぜ、好きなものを好きと思うことに何故疑問を持たなくてはならないのか。好きというだけで、何故犯罪者扱いをされるのか。
ペドフィリア、ゲイセクシャル、ホームレス。自らの性癖や境遇に悩み、過去に何かしらの闇を抱えた彼らを中心に今まで隠されてきた秘密や嘘が親族たちに公にされていく。読んでいるこっちまで心拍が上がるほどいろんな意味でハラハラさせられる展開に胸が苦しくなる。