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紙の本
やっぱり古本は面白い!
2004/04/07 23:12
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「まえがき」によれば「約五十年間の古書収集過程で掘りだした、奇想小説とは無関係のものも含む、大爆笑・信じられない内容の珍本・稀本・説明不可能な本、あるいは体験などをリアルタイムで笑い話中心にまとめたもの」(pp.3-4)とのこと。
まさにその通りである。私はほとんど読んだことのない、明治・大正・昭和の戦前までの本が中心だが、それをここまで面白く紹介する本の選び方と文章のうまさは、著者ならではだと思う。古本好きにとってはたまらない本です。
例えば「『?』の本の読み方」(pp.240-245)。H.G.ウエルズの『透明人間』の、おそらく本邦初訳の表題が『?之人』であったという話。それも訳者の『見えない人』という案が出版社の希望で差し替えられたらしい。
こんなエピソードが次々と登場してきて、一気に読んでしまった。
ただし、旧かな旧漢字の文章にアレルギーがないことがこの本を楽しむ上で重要かもしれない。引用する本が旧かな旧漢字の場合は、原則としてそのままで引用されるので。
紙の本
ハチャハチャ小説をやめたら、ヨコジュンは只の小説家になってしまった。それが今ではさらに進んで、ただの古本マニア、でもないか。ともかく荒俣宏の凄さには及ばないし、何より愉悦がないんだよね
2004/03/20 22:25
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年で58歳になる横田が、1994年から2003年もでの9年間にわたって雑誌〈本の窓〉に連載したという古書に纏わるエピソード集。そうか、ヨコジュンは1945年、それこそ何にもネー佐賀の生まれか〜!と思う。で、この本は考証を目的にした本ではなくて、あくまで気楽に読んで笑ってもらうのが主旨だから、繰り返しや記憶違いがあっても許してねと、「まえがき」のようなもの、の中で逃げを打つのである。もう、典型的団塊の世代の態度である。
で、この本はその第一巻にあたり、連載45回分が出ている。最初に文句を言っておくと、全部で何冊になるかくらいはどこかに書いておいていいのではないだろうか。まさか9年x12月=108回を45で割って、2余り18だから最大三巻と読者に計算しろとでも言うのだろうか。奥付でも、まえがきでもどこかで触れればいいのにと思う。
内容は、横田が手に入れた古書、その入手の経緯や内容、自分の作品との関係に、それこそ軽く触れていくのだけれど、有名な本というよりは、あくまで横田が興味を持つジャンル(早稲田関係や野球、押川春浪など)が中心なので、殆ど知らないことばかり。そのせいか、短い記事でも読むのに時間がかかる。
とりあえず面白かった項目を挙げると、帝国軍人の殺人鬼ぶりに怖気がよだつ「元憲兵が書いた本」、横田の作風の変化を教える「鬱病の特効薬」、山田風太郎の奇想小説を思わせる「衛生小説がいっぱい」、本の表紙が沢山出ている「柳文庫の恐怖と不思議」、ノスタルジックな漫画を楽しめる「『思ひつき夫人』は偉い!!」だろうか。
ただし、横田のまえがきにも拘わらず、少しも笑えない。いったいどうしたことだろう。それから、横田は自分をSF作家、エッセイストみたいな書き方をしているけれど、少なくともこの10年、SFと言えるような作品は少しも書いていないのではないのだろうか。やはり明治時代を描く小説家、とでもしておいたほうが妥当な気がする。
それにしても、あの昔懐かしいハチャハチャはどうなってしまったのだろう。駄洒落もあんまり見ることは無いし、そのキレも現在の田中啓文に遠く及ばない。どうしてかなあ、と思っていたら、中に躁鬱病で、どちらかというと鬱の傾向が強く、その三度目で最大のものからやっと脱したばかり、という記述があった。無論、そこから脱するきっかけになったのが二冊の古書を手に入れたこと、というところがワンダーランドというタイトルにふさわしい。
横田の場合は、本を書くための資料そのものまで原稿にしてしまうという部分があって、その使い回しが気になるところもある。たとえば、自分の失敗作を今回は堂々と発表までする部分は、あれ?とは思う。でも、それはほんの一部、そういう使い方も出来ない本などを沢山あつかっている。とくに、旧軍人が人を殺して喜ぶ自伝などは、さすがの横田も辟易しているのがよく分かる。
それにしても、文章の半分近くは入手した本からの引用。手抜きとは言わないし、身に覚えはないわけではないけれど、こういう本作りには限界がある。これじゃあ、やっぱり笑えない。
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