紙の本
幸せな孤独
2018/05/20 06:37
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後の日本を体現したかのような、ひとりの女性の生きざまが感動的でした。自分らしい最期を迎えることについて考えさせられます。
紙の本
味わい深い作品
2018/02/08 20:35
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投稿者:ポッター - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初は、ちょと読みづらいのかなと思いましたが、主人公の過去が語られてからは、一気に読んでいました。微妙な心が東北弁で描かれ、それが心地よく響いた。
紙の本
玄冬小説
2019/02/28 23:37
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投稿者:千那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからお察しのとおり、主人公の桃子さん、なかなかの東北弁でございまし
た。
玄冬小説というジャンルは初めて知りましたが、なるほど、年をとるのも悪くないか
も。
紙の本
温かい気持ちに
2018/09/28 09:54
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投稿者:まおり - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひらがなの続く文章に年老いた主人公の心が表れていた。
孤独のようで切ない思いだったが最後の章ですべてがほっこりした。
自分の老後、家族、これからどう付き合おうかと考えさせられた。
電子書籍
おらはどこへいぐのか
2018/02/06 21:16
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投稿者:ヨッシー - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年イチニを争う 話題作「おらおらでひとりいぐも」読了。テーマは「おら」なのか「おらひとりで」なのか、「いぐも」なのか?読み始めは東北弁につっかえていたが、読み進むうちにそれにも慣れる。最近は比較的ライトノベル中心に読んでいたのだが、久しぶりに骨のある作品を読んだと感じた。ラストは言えないが、最終的に「どこへいぐのか」がテーマと感じた。
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斎藤美奈子氏の『桃子さんは私のことだ、私の母のことだ、明日の私の姿だ』という文藝賞選評は圧倒的に正しく胸を打つ。
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51)それが贖罪だど言ったら、おめはんは驚くだろうか。母さんは正司の生きる喜びを横合いから手を伸ばして奪ったような気がして仕方がない。大勢の母親がむざむざと金を差し出すのは、息子の生に密着したあまり、息子の生の空虚を自分の責任と嘆くからだ。
母親は何度も何度も自分に言い聞かせるべきなんだと思う。自分より大事な子供などいない。自分がやりたいことは自分がやる。子供に仮託してはいけない。仮託して期待という名で縛ってはいけない。
94)従属して目を伏せて、自分ばさておいで男に尽くす。でどうなったが。男を呑み込んでしまったのす。後ろから操る。内面を支配する。男は女の後ろ盾無くしては不安で仕方がねぐなった。恐怖の二人羽織状態。余興として見る分にはおもしれが息苦しい。
97)46億年の過去があった。つづく未来もあると思いたい。周造、おらどは途上の人なのだ。それでも人は変わっていく。少しずつ。だから未来には今とは想像もつかない男と女のありかたがあるのだと思う。
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第158回芥川賞受賞作。
岩手弁から滲み出る強さと物哀しさと少しばかりの感傷が作者ワールド(選考委員の言葉を借りると思弁的)で強みを帯びている。
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東北弁が読めないというレビューをamazonで散見したが東北の人間なのでさして苦もなく読めた。
本屋のPOPで「初めから大爆笑!」みたいなコメントを寄せているおじさんがいたけど、この人絶対読んでないなと思った。
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言葉のうずの中でぐるぐるぐるぐるぐる。こんな感じ久しぶりな気がする。
夫に先立たれて一人で暮らす高齢者の、独り言。
なんていうか、独り言の世界がこんなにも豊かで奥が深くて生き生きとしているなんてほんと驚き。
宮沢賢治の詩からとったタイトルの「いぐも」は「逝ぐも」であり「生ぐも」なんじゃないか。生きるんだ、まだまだまだまだ。
おらはおらでひとりで生ぐんだ。
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東北弁には独特のグルーヴ感がある。
母が函館の出なので、耳馴染みがある。
やり場のない、ぐるぐると回るような呟きにも。
諦念をにじませた、ややシニカルな現実認識、は北国が育んでしまうものなのだろうか。そんなことないか。
女性のライフコース、地方と中央、新興住宅地の終わり、老いた親と子ども、母の呪い、差別の内面化、問題は山積だけれども、それらを我がこととして引き受けていくすがすがしさ。
彼女たちの尊厳に敬意を払うこと。
引き継いでいくこと。
難しいけれど、やっていこうと思う。
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早くも「今年一番の収穫かも」と思わせる傑作と出合いました。
昨年の文藝賞受賞作。
作者は63歳の新人、若竹千佐子さんです。
どんな作品かと言うと、「老いるのも悪くないかも」と思わせてくれる作品です。
なんて書くと、お涙頂戴の感動物語だと思われるかもしれません。
のんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのんのん。
全力で否定します。
東北弁が唸りを上げて炸裂し、柔毛突起どもが暴れまくるのです。
何のことか分かりませんね?
順を追って説明いたしましょう。
主人公の桃子さんは75歳。
既に最愛の夫を見送り、2人の子供を育て上げ、都市近郊の新興住宅街で一人ひっそりと暮らしています。
代わり映えのしない毎日ですが、桃子さんの頭の中には様々な人格が棲みついていて(これを「柔毛突起」と呼んでいます)、しょっちゅう井戸端会議を開いています。
しかも、東北弁で。
何故、東北弁かというと、桃子さん自身が岩手県の出身だからです。
桃子さんは田舎にいたころ、農協に勤務していました。
農協の組合長の息子と縁談も決まっていましたが、東京五輪のファンファーレに押し出されるようにして故郷を飛び出したのです。
そして、既に他界した夫と運命的な出会いを果たすのです。
老境にある桃子さんは、愛とは何か、自分の人生とは何だったのか、としきりに問い詰めます。
手垢の付いた回答を引き出すと、柔毛突起どもが途端に暴れ出します。
「おめだば、すぐ思考停止して手あかのついた言葉に自分ば寄せる。何が忍び寄る老い、なにがひとりはさびしい。それはおめの本心が。それはおめが考えたごどだが。」
いや、このやり取りが実に愉快で、痛快なのです。
ほぼ全篇、こんなふうに賑やかな東北弁で饒舌に語られます。
取り立ててドラマチックな展開はないですが、頬の緩む場面あり、吹き出す場面ありで、「ああ、この世界にずっと浸っていたいな」と惜しむような思いでページを繰っていくと、最後は「あれ? 俺、もしかして泣いてる?」ってなるんだから、実に鮮やかな手並みと言うほかありません。
それに若竹さんたら感性が実に若々しくて、擬音の使い方も思い切りがいいし、はみ出すことを恐れない、というか積極的にはみ出していくんですね。
作中の冒頭で紹介される、ジャズを聴いているうちに丸裸になって踊っていたなんてエピソードは、これは若者の感覚でしょう。
ほんと脱帽です。
これだけの才能があれば、もっと早くデビューできたのではないかと思ってしまいますが、若竹さんの中では本作を著すまでに一定の年月が必要だったんでしょうね。
まさに「機が熟した」というべき、その一瞬を捉えて放った閃光のごとき作品です。
若竹さんがこれからどういう作家人生を歩まれるかは分かりません。
ただ、この作品を世に残せただけでも、生まれてきた甲斐があるというもの。
羨ましい限りです。
これから日本は高齢化社会の長い長い下り坂を下って行きます。
下り坂なんて書いたら、「失礼な」と思われる向きもあるでしょう。
あのさ、そういう「常識」をいったん脇へ置こう。
下り坂はネガティブだっていう思考が前提にあるから、そう思うんよ。
そうじゃない。
下り坂の先には、確かに雲はないけれど、道々、野に咲く花や味わい深い石を見つけられる悦びがあると思うんだ。
さあ、希望を持って老いよう。
桃子さんと一緒に。
※蛇足ですが、本作は、今度の芥川賞ノミネート作。
ぜひ受賞して欲しいものです。
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芥川賞受賞インタビューを見てとても興味を持ち、受賞発表の翌日慌てて購入した。
東北弁と標準語のコントラスト、リズミカルで生き生きとした文章が読んでいて楽しい。
74歳のひとり暮らしの桃子さんの心の中の、大勢の声達の井戸端会議には笑えた。
実家の母も桃子さんと同世代。
うちの母もこんな風に心の中で井戸端会議しているのかな。
そしてそう遠くない将来、私も桃子さんのように…。
桃子さんは次々にわき上がる大勢の内なる声達をジャズのセッションに例えていたけれど、私にはロックのように思えた。
一見控え目に見えて見事に己の言霊をハードにぶつけてくる。
ぶつけられた言霊が私の中をグルグル巡る。
一度読み出したら止まらない。
すっかり桃子節に取り込まれてしまって、とってもいい気分。
「老い」を孤独ととるか自由ととるかはその人次第。
でもこの作品を読み終えた今の私は並々ならぬパワーをもらえた。
おらの今はこわいものなし、なのである。
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第158回芥川賞受賞
東北訛りがきついから読みにくいのかな、と最初懸念したがすごく読みやすい。なんだろ、リズムがよい。文藝賞受賞作家って若い子が受賞するイメージですが最年長受賞なんですね。そのまま芥川賞受賞も納得するほど、おもしろい。
玄冬小説流行るかな?
年をとるのが怖くて、老いがこわくて必死にしがみついているアラサー女の私も、こうやって年をとるのは悪くないかもしれない、って思わせてくれた。
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自分の人生、これでよかったのか?
自分は満足できたのか?
悔いが残っているのか?
人生に正解などあるはずもなく、いくら考えても答えは出ないのでしょうね…