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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
脳の謎について、興味深く読むことができました。知れば知るほど、奥深い世界があらわれてきて、素晴らしかったです。
脳の誕生について
2020/04/05 00:30
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
受精卵から成人までと単細胞生物からホモサピエンスまでの2つの時間軸で脳の誕生について描いた本。昔どこかで読んだ脳は3歳で完成されて新しいニューロンは作られないとかが最新の研究で否定されて生後もニューロンが作られているということがわかってよかった。
本書はさまざまな物質の固有名詞がたくさん出てきて難しい面もあるがそれだけ複雑な過程で脳が誕生しているということがわかった
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同じ著者の自閉症の本を読んでいて、けっこうおもしろかったという印象があり、本書も広告を見てすぐ購入した。しかしよく考えると、前著も脳に関する記述部分は専門性が高く分かりづらかったことを思い出した。ということで、本書の内容もほとんど頭に残っていない。もっとも、いま少し読み返すとおもしろいし、理解できる部分もあるので、何も頭に残らないのは常に電車の中で読んでいるという環境の問題が大きいのかもしれない。そんな中では、パーカーの「眼の誕生」の紹介が残っている。カンブリア紀、大進化をしたのは、眼の誕生が大きく影響しているかもしれないという仮説。眼がなければ、口をあいて近寄ってきたエサをとらえて食べるだけ。けれど、眼があると自分からエサに向かって進んでいけるし、捕食される側は、相手から逃げることも考える。擬態だって眼があるから意味がある。そんなふうにして、眼の誕生と同時に大きく進化した可能性はある。なかなかおもしろい。そして、ちょっと勝手に考えていたのは、勉強・読書をしてダイエット。脳はけっこうエネルギーを使うし、思考するだけでも基礎代謝が増えるということなので、難しい本を読んだり、勉強してダイエットができるのかもしれない。パートナーにそっと伝えてみたが興味なさそうだった。子どもたちが必死に学ぶ教室はいつも熱気でいっぱいだし。(それは体温の問題かなあ?)
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脳にまつわる過去と現在を,現在明らかになっている事実を用いて明文化する,いうなれば脳史.これらを基に未来が透けて見える.特に,脳の頑健性と高等性とのトレードオフは,今後の研究の方向性に興味をかき立てられる.
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脳ができあがるまでのプロセスを3つの時間スケールに分けた見方で解説している。最初に脳が形成されていく胎児期の30週、次に脳が成長していく成人までの20年、最後に人類を特徴付ける脳に至った10億年。興味深い分類であり解説を楽しみにたどっていくが、最初は基本的な用語の意味から平易に紐解かれていくが、内容が深化するにつれ、専門性が高くなり、取り扱われる情報量が急激にふえる。基礎知識が少ないと初見の単語のオンパレードで溺れる。脳の謎は分子レベルから考察されている段階だが、ニューロンネットワークが紡がれていくこと自体に、究極の謎がある。
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「脳についての一般書はたくさんありますが、脳がどのようにしてできるのかについて書かれたものはほとんどありません」という。本書は、その空白の脳の発生と発達の機構について説明したものである。
本書の構成は次の通り。
第一部は脳の「発生」について書かれ、胚発生から、管組織が区画に分かれて、ニューロンのネットワークを形成していく過程が説明される。
第二部では、乳幼児から成人までの脳の「発達」について説明される。脳の配線から、ニューロンの接続が
第三部は、これまでの章とは異なり、人間の脳がどのように進化してきたのかについて説明する。
各部で説明される、胚発生、脳神経系の成長、脳機能の生物進化、の三つはわれわれの脳にまつわる大きな謎と言えるだろう。著者はこれを、脳の「発生」、「発達」、「進化」と呼ぶ。それら三つの謎は、自然淘汰による進化という中心論理のもとにして互いに絡み合っている。これらが自然淘汰による進化によって今ある状態にまで至ったことはにわかには信じられないが、それ以外の説明がないことは明らかなことである。本書は結果として少しでもその理解に一般読者が近づくことを手助けしてくれるものだ。
脳に関する知識は、これまで自分が生きてきたおよそ半世紀に届こうかという間にも大きく進展した。脳神経細胞は、三歳にピークに達し、そこから増えることはないという説は覆され、ニューロンだけではなく、グリア細胞が脳内でも非常に重要な役割を果たしていることなどは、脳の働きの理解において大きな発見であった。胚発生は、神経版や神経管などの形成や、それを駆動する遺伝子のレベルまで明らかにされつつある。本書でもソニック・ヘッジホッグ(SHH遺伝子)など重要な遺伝子の動きについて言及がある。ニューロンの産生やその適切な場所への移動もいまや説明可能だ。
脳の成熟の過程でも多くのことがわかっている。おそらくは想像される通りだが、系統的に古い脳の方がより早く成熟し、進化の過程の後の方で発達した前頭葉はゆっくり成熟するという。また、脳の成熟には性差があり、女性の方が早いという。この辺りの生物学的な性差、特に脳の男女差については、微妙な問題もあるが、ファクトが積み重ねられるのは、間違いなく良いことだと信じる。
いずれにせよ、もはや、われわれは脳のXX%しか使っていない、というような何をもってそう言っているのかわからない言説はすっかりと影を潜めた。
さらに活動中の脳の状態を観測することができるfMRIなどの最新技術によって、脳内のニューロンの活動について多くの知見が蓄積されている。ここから、ミラーニューロンやエーデルマンの神経細胞群選択説(TNGS理論)、ジュリオ・トノーニの情報統合理論などが生まれてきた。
そして、この脳が生物進化の過程でどうやって今の機能を手に入れたのか、近縁であるチンパンジーとヒトとの差はどこにあるのか。その疑問のいくつかは、ゲノム研究からわかっている。本書でも、FOXP2やHAR1といった違いを生み出している可能性がある遺伝子について、最近の知見として紹介されている。
タイトルの『脳の誕生』は、本の中でも紹介されてい���アンドリュー・パーカーの『眼の誕生』へのオマージュだという。遠い未来から見た場合、カンブリア紀の爆発が「眼の誕生」によって生まれたように、地球における人と人工物の爆発を「「脳」の誕生」と特別に位置付けて捉えられることになるのだろうか。それにしても、日本の新書はレベルが高い、と思うのである。
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『もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4065020549
『ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学』(マルコ・イアコボーニ)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4153200026
『脳は空より広いか―「私」という現象を考える』(ジェラルド・エーデルマン)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4794215452
『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』(ジュリオ・トノーニ)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4750514500
『人体はこうしてつくられる――ひとつの細胞から始まったわたしたち』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4314011645
『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』(アンドリュー・パーカー)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4794214782
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脳がどのように発生し、発達し、進化するのかを概観する。いろいろな脳の領域、分子、遺伝子が出てきて、戸惑うところもあるが、複雑な脳の構造がどのように出来てきたのかがわかる。現在はAIで脳のニューロン・ネットワークを模倣した深層学習が効果を上げているが、コンピュータ・モデルでは到底脳をシミュレーションすることはできないだろうな。それほど複雑に脳は進化しているのだな。
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脳の発生、発達、進化をメインテーマとしている。内容は一部、筆者がブルーバックスから出している「脳からみた自閉症」とオーバーラップしているが、そこでは十分に触れられていなかった発生と進化について特に多く述べられている。
専門用語を極力省き理解しやすいように書かれているのに筆者の努力を感じた。
参考文献はとても勉強になる。