金融ものが好きな方へ
2017/09/25 18:31
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投稿者:本都ユーザー - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本ではほとんど知られていない国とファンドの暗闘。
国の債権を買い占めて支払いをせまるあたり、なるほど「法律書を持ったハイエナ」とは言い得て妙である。
作者の著書には専門用語が多く出てくるし、またそれらが絡み合ってくるので読み進めるのに簡単ではない部分もあるが、それが世界観の奥深さを作り出している。
人は何をするのか
2016/12/28 21:14
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
金融の世界とはあまり縁がない生活をしている身としては、この本は驚愕の一言だ。倫理観はなく、法律論を悪用しているだけの知能犯にしかみえない。債務国にある2つの問題、国家のリーダーたちの汚職と腐敗、そしてそれにつけ込むヘッジファンドと係わる弁護士たち。人間の頭脳がこのような場面に浪費されるとは嘆かわしい。
国家のGDPを上回る売り上げ企業、資金力をもったファンドは国家を蹂躙し、操る。資金力にものを言わせて、民主政治の議員や政府を思いのままに動かしてゆく。
政治家がしっかりしなくてはいけない。真のリーダーを要請するシステムはないのだろうか。
黒木ファンなら満足の一冊
2017/03/30 17:49
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投稿者:ブレーブス坊や - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品はほとんど読んでいます。
「トップレフト」の衝撃や、「法服の王国」の堅さはなく、「排出権商人」の意外と知られていないビジネスを丹念に調べて物語に仕立てた作品だと思います。
著者の作品から得られる知識や視点は私にとってはとても貴重で、いつも楽しみにしているので、今回も裏切られず満足感を得られました。
ストーリーや登場人物は、以前の作品と重なるところがあるので、次の作品は少し変化があれば良いなという気もします。
ただ、黒木ファンやグローバルに活躍されている方なら満足の一冊ではあると思います。
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腐敗した国家VS法律を立てにしたハイエナファンド。金融の世界にはつくづく人間の営みはないなと感じさせる本。定年位ストーリーを追い読む気が起きなかった。最後は読み飛ばして終了。非はテーマにあるのか?ストーリーか?自分の知識&読解力か?
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破綻国家の債務を二束三文で手に入れ、欧米で債務国相手に訴訟を起こし、投資額の10倍、20倍のリターンをむしり取る「ハイエナ・ファンド」、事実に基づいた小説。『ヴェニスの商人』のシャイロックも真っ青だ!
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破綻した国家の債権をタダ同然の安値で手に入れ、額面に金利や遅延損害金を含めた全額を払えと米国や英国の裁判所で訴訟を起こし、投資額の十倍、二十倍のリターンを上げる『ハイエナ・ファンド』をテーマにしたノンフィクション。彼らは、債権を回収するためにフランスの大手銀行を米組織犯罪規制法で法廷に引きずり出したり、債務国の原油を積んだタンカーを差し押さえたりもする。
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なんとか読みきったけど、訴訟中心のストーリーで、期待したハラハラドキドキ感やダイナミックな展開はなかった。
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面白かったんだけど、読み切るのが大変だった。
一応ハイエナファンドとアルゼンチンの和解で決着したという話だけれども、よくある小説のように特にオチがあるわけでもなく、いくらで合意に達したかという感じだった。専門用語も多いので全部理解しながら読むのが難しい。
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ソブリンとNGO、ハイエナファンドの三つ巴の闘い。
随所にみられる沢木容子氏に対する筆者の敬意と、パンゲア・カンパニーの効果的な背景説明が、いかにも黒木氏らしい。
リスクとリターンで成り立つ金融の世界において、誰かがリスクを取らねばカネは回らない。だからといって、ジェイコブスのような存在を無制限に認めるのは道義的な疑問が残る。
最近の言葉でいえば”グローバルサウス”の指導者が、とてもリアリティあふれる形で描かれており、そこも見どころ。
個人的にNGOのタフネスには敬意を表しつつ、何かを絶対悪と定めて声を上げる手法は、それはそれで危ういのだろうとも再確認。
取り残されるのは、いつも大多数の声なき声である。
近々開催される黒木亮ファンの集いのため、再々読。
黒木氏の作品は大体拝読したが、この作品より後、日本の企業に焦点を当てた作品が多くなった印象(『アパレル興亡』、『島のエアライン』)。どちらかといえば、国際金融場裏を舞台とした物語が私にとっては好みであり、その意味でも『国家とハイエナ』はとてもとても興奮させられる一冊。