紙の本
表紙の意味がわかってくるまで読むとこみ上げる感慨
2018/05/04 04:31
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
→ 上巻から続き。
前作が<ゴーストストーリー×超能力>ならば、今回は<吸血鬼(のようなもの)×超能力>。
ダンが大人になっている場面には衝撃を受けた! というか、どん底にいるある人のくだりを読んでいて、それが少年ダニーののちの姿であるとわかったときの驚きときたら!勿論、作者はその効果をわかったうえで書いているんだろうけど、まんまとやられました・・・。その物語はひとまず終わりを告げるかもしれないけれど、そのあとは読者が思う以上にハッピーとは限らない、という哀しさを見せつけられ。だからダンが立ち直っていく様、彼が自分が思うところのそれなりの人に近づいていくのがうれしかった。
この物語的にはアブラの存在が結構大きく、ダンの出番が少ないのでは?、と思える部分もあるものの、かつてジャック・ハローランがダニーを導いてくれたように、今度はダンがアブラのメンターになる番。人生はそういう順送りですよ、というのがしみじみと感じられ、時間の経過と読者である自分も年をとったという感慨があります。
今回の敵<真結族>は<かがやき>を持つ子供たちを極限まで痛めつけ、最後に吐き出される<命気>をエネルギー源とする種族。勿論、そうされた子供たちは死んでしまうので(場合によっては被害者は子供でないこともあるが、命気の純度は子供のほうが強いから)、吸血鬼的なイメージで。上巻のはじめのほうで<真結族>がある人間を自分たちの仲間にする儀式の様子が、あまりにも邪悪すぎるポーの一族という感じで心底ぞっとした(そう思うとキング・ポーは優しかった)。が、そんな<真結族>も物語が進むにつれて無敵ではないことがわかってくることで、逆に悪役として魅力的に見えてくる面白さ。
ダンとアブラの出会いが偶然にしてはできすぎていると感じても、本編では「偶然と呼べることは何もない」と繰り返され、すべてが必然であったかのように読者も感じてしまう。
キングの初期作品にあったものにくらべ、中期以降の作品は<語り>の勢いが強くなって、「ときにはちょっと無駄な部分もあるんじゃないの?」と思ったりもするんだけど・・・本書『ドクター・スリープ』にもその傾向は多々あるんだけど、その無駄にも見える過剰な語りが独特のリズムを産み、結果的に読まされてしまうという。多分、それは私が慣れてしまったからで、これからスティーヴン・キングを読む人はそれこそ『シャイニング』や『デッド・ゾーン』あたりから入ったほうがいいかもしれない。
実際、私は子供の頃はキングが苦手だったのだが(理不尽に子供が死ぬから、という理由で。子供の頃の私はまともだった)、高校生で映画『デッド・ゾーン』を観て感銘を受け、原作を手に取って苦手意識がなくなった。キング作品の映像化には当たりはずれが多いが、きっかけとタイミングにはなるので・・・キューブリック版の『シャイニング』をキングは今も許してないみたいですが、まぁ映像化を許してしまったのだからそういう部分はあきらめるしかないかと。
で、今回は普通に読んでいたのですが・・・エピローグに当たる「眠りにつくまで」でまさか泣かされるとは!
電車の中で読んでいたのにあふれ出る涙を抑えられず、大変でしたわ。
ちなみに『ドクター・スリープ』も連続ドラマ化決定だという話・・・確かにおいしいキャラクターが多いから、ドラマのほうが描きやすいとは思うんだけど、バトルシーンは映像化が難しいと思う。
やっぱりこれは、小説だからこそ成り立つ物語。
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"かがやき"を食糧にして存在する者たち。彼らを許せないアブラとダン。二人は立ち向かうことを決意する。そして戦い。許せないけれど、その行く末に心が痛む。
面白かったので、前後するけど『シャイニング』も読んでみようかな
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何という感動。ハラハラ、ドキドキ、止まりません。怖すぎるし、大人なのに。そして、クライマックス、心がとても暖かくなるんです。さすが、キングです。また、時間が経ったら再読したい。
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「シャイニング」の後の話。
惨劇から生き残ったダン少年だったが、その<かがやき>ゆえに、というか、事件のトラウマゆえというか、彼そのものの気質のせいか、苦難に満ちた人生を歩んでいく。
というのが、前半で、つらい。
もうどうしようもない感じで、坂道を転がっていく様が、淡々と描かれるのでさらに救いがない。というか、ダンが本気で救われようとしてないんだよね。でも、それをせめるということもなく、かといって憐れむでもなく、一定の距離をおいて書き進めていけるのは、キングの筆力なんだろう。
なので、小さな女の子の存在に結構癒されるのである。
とはいえ、彼女アブラも<かがやき>の持ち主で、色々トラブルにあうのだけど、彼女の場合両親とその周りがしっかりしていた。
アブラが成長していく過程を読んでいくたびに、ダンの父の弱さが浮かび上がってくる。
同時に、弱さを受け継ぎ、それに屈してしまいそうになりながら、あがくダンの姿も明瞭になってくる。
光を目指しているような二人の姿の陰に、<かがやき>を食べて生き続けている一族が近寄ってくる。
これはこれで始終暗い。
ようするに、色々な対比、というか対立の話なのだろう。
対立は、他者と自分であるのは当然だが、自分自身の中にあるものとの対立も常に存在する。自身の中のものはどちらがが勝つとか負けるとかではなく、バランスなのだ。バランスであるということを、受け入れることが重要なのだ。
後半の戦いは、一気読み必至です。
でもってキングも丸くなったねぇ、って感じ。
結論、キングは最高!! なのだ。
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この巻から映画とは全くの別物になり思いっきり楽しめた。
映画で受けた衝撃はなくマイルドに進んでいくのねと思いつつ読み進めたら、そことそこが繋がるの!という別次元の衝撃が!もう、最高です。
真結族が完全なる生物ではないとこにものすごい悲哀を感じ。
本編でもう少し真結族のメンバーの背景に触れられるのかと期待したけどそこはあんまなかったので肩透かし。
ローズ達がどうしてそういう存在になったのかを描いたスピンオフを読んでみたい。まぁ、この作者は書かんだろうな。
シャイニングの続編ということで若干の不安はあったがそんな不安があったことすら忘れるくらい楽しめました。
大満足です。
訳者あとがきで触れられていた「YOU」はネトフリドラマの「YOU」の原作なのね。
また、読みたい本を見つけてしまった。
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恐怖小説では無いな~。でも、面白かった。
シャイニングの続編だけど、ダニーの話として独立した物語
だと思う。
続編として、自分が思うのは何かの理由で「オーバールック」が再建されており、そこへダニーが行って悪霊達と対決するような話が読みたかったな~。
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映画とは異なった結末だった。
映画も原作もとても面白かった。
特に〈真結族〉とダン、アブラの攻防はとてもワクワクした。
前作『シャイニング』で登場したオーバールックの住人や、なによりジャックの登場に「あー、粋なことするなあ」と感じずにはいられなかった。
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『シャイニング』で幼い子どもだった主人公が中年になり、同じく超能力をもつ少女とともに、子どもたちの命を狙う一族との闘いに挑む。
あのダニー坊やがアルコール依存症になり、すさんだ生活をしている序章は、読んでいて気分も下向きに。でも、どん底の暮らしぶりがあったからこそ、その後の少女とのかかわりや一族との闘いにも説得力が加わっり、深みが出ている。
『シャイニング』を初めて読んだのは数十年前。
逃げ場のない閉鎖的な空間で、徐々に追い詰められていく恐怖は圧倒的で、しばらくは物語の世界をひきずって、動物の形の植え込みにぎょっとしたり、出張先のホテルでバスルームをのぞくのが本気で怖かったのを覚えている。
以来、何度か再読するほど、キングのなかでは好きな作品だ。
そんな前作とはまったく趣が異なるけれど、これはこれでおもしろい。思いもよらなかった設定に驚かされ、後半のスピーディーな展開にはらはらして。全体的に人間味のある温かさも加わって、心地のよい余韻が味わえた。
そのうち映画も観てみようかな。時間があれば、『シャイニング』のほうも、また本と映画を見比べてみたい。
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映画を全て見て、原作へ。
誰も死んでない、えっ誰も死んでないんだけど
なんで映画殺したの???キューブリックへのリスペクト???そんなリスペクトはいらない!!!(でもあのダニートランスはホテルを燃やす誘導が出来なかったダニートランスだもんな)
敵の弱さ、見通しの甘さは下巻になっても健在。それでも、物語を読み進めてしまう。実際、ローズにとって自分と同じ力、またはそれ以上の力を持つ者なんて何十年?生きてても出会わなかったわけだし、彼ら全体で言うならローズ以上に何百年も生きて続いてきた人々がいたわけで…今まで無かったのだからこれからも無いって慢心はあることは違和感ないわな…いやでも病気は…どうなんだ?でも最後癌を持ってきたことはドキドキした。
そして異母兄弟ね!!!映画でそんなこと1mmも触れなかったからびっくりしすぎてめっちゃ声出たよ!!!
終わりが良すぎて、映画版なんであんなに死んでしまったの。そしてなんでお母さんなの(キューブリックの続編でもあるから)って気持ちが強いから映画見た人はみんなちゃんと原作読んで…。
ダニートランス、彼の生涯がこの先も幸せでありますように。
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映画が墓場に持っていきたいくらい素晴らしく、とても大事な映画になったので『ダークタワー 』シリーズマラソンを一時中断して読んでいた。
ダン・トランスがアルコール依存症から立ち直り、アブラやビリーと出逢って心から大事にしたいと思える人に出逢えて良かった。
ずっと父親の陰と自分が犯した過ちに悩み続けていた彼が、ある戦いをきっかけに折り合いをつけるところが良かった。
ダンがアブラを愛しい、大事にしたい、と読んでいて恥ずかしくなるくらい感情を表すモノローグが結構ある。
ビリーに対してもそうなのだが、心の中でとはいえ、恋愛関係が生じていない、相手を「愛しい」と思う気持ちをこれだけ繊細に描ける作家は今まで見たことない。
ダン・トランスはこれからもアルコールと縁を切った、ただのダン・トランスとして、そしてドクター・スリープとして大事な人達と時間を過ごしていくのだろうな。
終章は感極まって涙ぐみながら読んでいた。
とにかく素晴らしかった。
因みに、小説と映画は大分展開が違う。
それは映画版『ドクター・スリープ』がキューブリック版の『シャイニング』を踏襲した展開だからだ。
しかしながら、キューブリック版の『シャイニング』と同じくらいスティーヴン・キングの原作を大事にしており、喧嘩し続けていた映画と小説、原作者を全て結び、見事に仲直りの握手をさせた脚色はお見事!としか言えない。
展開は違っても根っこの本質は同じだった。
そこが本当に素晴らしかった。
是非、キューブリック版の『シャイニング』を観た人は安心して『ドクター・スリープ』も鑑賞してほしいし、なんならこの原作本も読んでほしい。
私もこれから『シャイニング』読みます。
こんな体験は一生に一度しかできないと思うので。
勿体無くてずっと読んでいたかった。
素晴らしい時間を有難う。
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2020.7.9
やっと読めた〜!!
映画と流れはほぼ同じだけど全くの別物、別作品だなと思った。
映画ではアクションシーンやホテルに戻って闘うシーンが楽しかったけど、原作ではそもそもホテルがもうないからホテル跡地のキャンプ場で闘うんだけど、そこはやっぱちょっと物足りなかったな。
頭の中のマッシー夫人は消滅してるし、解放させたホレスダーウェントも大した活躍を見せず。。
唯一楽しかったのは、映画だと秒で死ぬアブラの父親とビリーと、一瞬しか出てこないジョンドルトン医師がめちゃくちゃ活躍すること。
アブラの父親とジョンドルトン医師とダンの3人で真結族を殺しまくるシーンはめちゃくちゃ楽しかった。
ていうか映画で、なんでダンとアブラが実は血縁者だったっていうとんでもなく重要な設定をなくしてしまったんだろう…
あのジャックトランスの孫なんだぞアブラは……
だからこそダンとアブラの絆は強いのに
まあ思ったのは、映画版のドクタースリープは、うまいこと映画シャイニングと原作ドクタースリープを繋ぎ合わせてる。すごい。原作ファンも映画シャイニングファンも楽しめる仕様になってるなということ。
もう一度映画観たくなったな。色々考察できるし読み応えのある作品でした…( ˘ω˘ )
読み終わるのがすごく勿体なかった。
多分もう一度シャイニングを読んでから、もう一度読みます。
やっぱり映画も原作も、大好きな作品。
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先に映画を見てしまってそれなりに面白かったけど納得いかんわ〜って部分もあったのが、やっと原作読んでスッキリしました。あくまでも原作は原作の続編。映画は映画の続編てことなのね。どちらも好きだけどやはり原作のが好きだな〜。
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満足度高いです。読んでよかった。先に映画を観ているのでそこで感じたもやもやは結構晴れました。
…どうしてこの方向で映画化しなかったんだろう、という新たなもやもやは生まれたけれど。
ダンとアブラの絆が、〈かがやき〉持ちだけでなく、実は血縁関係があってふたりともジャック・トランスと同じ癇癪持ちなのはかなり重要でした。アブラにとってはダンは導きの人だけれど、ダンにとってのアブラは救いだなぁ。きっと。
キューブリック版シャイニングしか観ていない知人との会話で「オーバールックホテルは焼失している」が食い違ってたのですが、そうかこれ小説版だけの展開だったのかと思いました。この作品では跡地をキャンプ地として利用している。でも、良くない土地は良くないものを引き寄せる、というところはちゃんとありました。
ダン側の陣営が一人も死なないのも好きです。
ローズとのラストバトルでダンを救ってくれたのが誰かわかったときに込み上げるものがありました。悪霊になってなかったんだね……
ドクター・スリープ。永遠の眠りに就くときに最期まで寄り添ってくれるドクター。
AAのあれこれも良かった。
スティーヴン・キング、あとがきで「シャイニング」と「ドクター・スリープ」を書いたのは同じ作家ではない、って書かれていた。「シャイニング」時はジャックやダニーと同じくアルコール依存症だったのかな?
読者の「少年があのあとどうなったかご存知ですか?」が書いたきっかけかぁ、素敵。
続編は蛇足に感じるものも多いけれど、この作品は続きを読めてよかったです。
“トランス一家の正史”……キングの怒りは収まりそうにない。
「グリーン・マイル」のジョン・コーフィも〈かがやき〉持ちだったんだなと思いました。
キングの世界は繋がっている。まぁ全てなんだかんだキャッスルロック。
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面白かった。特に下巻はスピード感もあって、スッキリ読了感もよし。
特に、エイブラの曽祖母のアレを吸うところとか、脳内でビジュアルがグリーンマイルよ。
最後に出てきたフレッド・カーリングて誰だったっけ??とハテナが飛んだが、主な登場人物に書いててありがたかった。そうそう、あの人よ。なんちゅうてもダンとエイブラの関係が明らかになってくるところとか、盛り上がる。ダン、色々あったがちゃんとシャイニングをコントロールできるようになって、よかったよかった。良いラストじゃった。
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「シャイニング」のその後。
ちっちゃいダニーが大人になって、アル中になってて、えええ〜〜!?って感じで、なんだかなぁ?って思いながら読んでたんだけど、結局面白くてズンズンと読んでしまったw
翻訳小説がなんとなく苦手になっちゃって、大好きだったはずのキングすら追わなくなっちゃってたんだけど、また読んでみたくなったなぁ。
「シャイニング」は読んだんだったっけか?(^◇^;)