紙の本
長大な文明史の見取り図を示してくれる画期的な書です!
2019/01/30 09:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、講談社100周年記念として刊行された『興亡の世界史』の文庫版です。人類は直立歩行というリスクを冒したことで「文明」を得たと説かれる同書の最初の記述は非常に興味をそそります。そして、農耕という一大イノベーションを経て、世界各地に様々な文明が築かれます。古代都市文明を築いたシュメール人、古代アンデス文明を築いたインカの人々などを描きながら、人類の文明史の見取り図を示してくれる画期的な一冊です。世界史、文明史を知る上では、ぜひ、読みたい書です。
紙の本
眠りから掘り起こされた歴史。
2020/10/22 07:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず物語として歴史を学ぶことが、批判される。
この時点で、本書を選んで良かったと思った。
文明以前の、生活や、技術などから始まり、古代文明の成立と衰退などが、述べられていく。短い文章にも、これまでの多様な学問の知見が、圧縮されていて、視点は自在に動いていく。参考文献は、比較的新しい研究などが多いようですが、そこに至るまでにも、学問の積み重ねが行われていたのであり、記録や、研究の重要さが感じられる。
日本の今の社会にも反射してくるあれこれが、印象深い。
専門家による歴史書ではありませんが、『空から墜ちてきた歴史』小松左京が、人類の歴史を駆け足でいろんなところから綴っていて、その拡充版のようにも感じてしまう。
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序章 文明史を学ぶということ
第1章 ヒトから人類へ
第2章 農耕というイノベーション
第3章 文明の誕生
第4章 多様な文明の隆昌
第5章 古代地中海文明
おわりに―文明が滅びるとき
著者:青柳正規(1944-、中国・大連、美術史)
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『興亡の世界史』の中に紛れ込んでいるけど、科学の発展を否定してるような老人の戯れ言。『いまの日本、いまの世界の未来は明るいとは言えない』とか断言している序章の時点で、投げ捨てようか迷った。
『清貧』とか他人に押しつけるのが好きそうだよね。
あなたがそうやって海外の発掘にいけたのも、科学の恩恵だと思うんですけどねえ。
帯にも『なぜ、必ず滅ぶのか』がクローズアップされてますけど、
個々の文明が滅んでも人類が滅んでいないことは都合良く無視している言い草だと思うんだ。
著者の肩書きからは信じられない主張というか、この内容から著者の肩書きが想像できないと言うべきか。
それよりなにより、どうして『興亡の世界史』にこれ入れちゃったの?ってレベル
一番良かったのは表紙。
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2回目読了した。9月に読み終わったばかりであるが、デジタルだったので、実際の本を買って読むと頭への入り方が違うのと、地図等をコピーできるのが良い。やはり最初から実本にすべきだった。
興亡の世界史は「第何巻」という番号が付いていない。人類の歴史の最初について語っているのはこの巻なので、これから読み始めましたが、予想以上に面白かった。
太古の文明の話は、古墳の話が多いので余り面白くないものが多いのですが、この本は考古学オタクでなくても楽しめます。全部で21巻あるシリーズのデジタル版が半額になっていたので、思わずポチってしまったのです。
この次に読むのはアレキサンドロス大王の巻にしました。全巻制覇はいつのことになるのだろう。
3回目読了した。
興亡の世界史は、改めていいなぁと思う。
中でもこの巻は好きだ。
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【文明史を学ぶということ】
P.15
historyの中のstory =経時的(ディアクロニカル)方法
⇔共時的(シンクロニカル)方法
専門知→統合的な機能不全
全体をみることと要素還元主義の弊害
文化だけでなく文明の多様性
P.23 文化と文明の定義とその差異
【ヒトから人類へ】
r戦略者 K戦略者
アシュール文化
P.84 ヴィーナス像の造形法
洞窟壁画 なぜ動物は描かれ、植物は描かれない?
【農耕というイノベーション】
P.110 消極的移住
人口増加→農耕でなく農耕→人口増加
イェリコとナハル・オレン
チャタル・ヒュスク
「ノアの洪水」
P.150 世界的に東アジアの土器製作は早い
【文明の誕生】
『ギルガメッシュ叙事詩』
エジプト文明のピラミッドをどう評価するか
3000年おなじことを繰り返していた
【多様な文明の隆昌】
P.243 ヨーロッパの知識人がアジアの歴史や文化はいずれも大河流域にあると認定したのはなぜか。それは、すでに大航海時代に世界の七つの海に進出したヨーロッパに対して、海洋に出ることのなかったアジアの閉鎖性と停滞性を強調するためであった。
戦後日本では「四大文明」という魅力的な用語で、「ヨーロッパ中心史観」に対抗しようとしてきた
アンデス文明
石田・泉「新旧大陸における農耕文化の始まり」
【古代地中海文明】
キクラデス文化
ミケーネ文明 ウァナクス
【文明が滅びるとき】
文明衰亡の要因は繁栄を招いた要因の中に見出すことができる
【あとがき】
情報の氾濫が知識の真の知とする醸成期間を剥奪し、その結果、知の魅力を奪い、まして叡智の輝きを失くしてしまった。知の尊厳、あるいは知への憧れを失くしてしまったわが国の現代社会からはかつてのような叡智に満ちた思想が生まれる可能性はなくなり、狡知だけが蠢く社会に変わりつつある。科学技術が発達すればするほど、発達した科学技術を包含する思想が必要であり、人間とは何かを考える人文学が活躍しなければならない。しかし、科学技術を包括するホーリズムとしての思想は、それが本質的に内包せざるをえない曖昧さによって人文学を含む科学者によって否定されてしまった。現状のような科学技術が進めば進むほど、総体としての人間の将来は神まかせになるというパラドックスに完全に入ってしまった。
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文明の発生と消滅が必須であれば、成功と失敗から学ぶべきことは「失敗の仕方」ではないか。
ということで、《興亡の世界史シリーズ》を読む。
『人類文明の黎明と暮れ方』では、ヒトの進化から古代文明までが語られている。
前半の「言葉の定義」解説的箇所にやや手こずったが、シュメールの解説あたりからガゼン面白くなる。
中でも「チグリス・ユーフラテス川とナイル川の氾濫の違いが、二つの文明の相違を生み出した」と……。
メソポタミア文明のヨーロッパへの影響とエジプト文明の過大評価というのも面白い。
また、ギリシャ文明のことをこんなに知らなかったことに気付かされる。
「おわりに」では、現代の問題と筆者自身の考えが示されている。
「文明を繁栄させた原因や要素こそが、同じ文明を衰退させる働きをすることーー自滅の道こそが衰退の原因」
でも、まだわからない。