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私立探偵葉村晶は尾行対象者が階段から突き落とされたのに巻き込まれて怪我,縁あって加害者老女のボロアパートに移り住むことになる。老女の孫は父と一緒に交通事故に巻き込まれて父を亡くし,本人も前後の記憶を無くしたまま,葉村にその調査を依頼する。葉村晶は相変わらず不運でタフ。伏線が複雑に貼りめぐされ密度が濃いハードボイルド小説。
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女性探偵葉村晶シリーズ長編。
あらすじ
老女の行動確認の途中で、祖母青沼ミツエ、孫のヒロトと知り合い、ミツエのアパートに住み込む。最近ヒロトは父親と高齢者が運転する車の事故に巻き込まれ、父親をなくし、自分もリハビリ中だった。レストランを経営する父親には薬物を違法に売買していた疑いがかかっていた。母親は昔に従業員と駆け落ちしていた。父親の遺品ん整理する前夜、アパートが火事になり、ヒロトは死亡する。ミツエも数日後に息を引き取るが、真相を解明したい葉村は、ミツエの従姉妹ハナエや、父親の大学の同級生で、院長夫人から非難されながら調査を進める。
話が込み入っているし、それぞれの登場人物はなんやかんやと隠し事はするし、警察のどこの部署にいるかわからない当麻は裏で糸を引く。さらに今回は薬物が関係しているから厚生省の役人夫婦が葉村の大家の姪夫婦だった。邪魔されるたび、巻き込まれるたび、生傷が増えていく葉村。作品ごとに年を重ねていて、まだ四十路といえども無理がきかなくなっている。でもなんだかんだで不死身で、雨風をしのげるところが好きだ。
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またまた夏に刊行されたのを見落としていた、女探偵葉村晶シリーズの最新刊。今回は長編である。短編でもあれだけ散々な目に遭うのに、長編ではどうなるのやら。
そういえばと、先日読んだ宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズ『昨日がなければ明日もない』を思い出す。ろくでもない人間ばかりという点で、杉村シリーズと葉村シリーズは共通している。しかし、本人の実害という点では、葉村シリーズの圧勝だ。
そもそもの発端は、特に難しくない仕事のはずだった。ところが、序盤から流血する女探偵。そのときのどさくさで、古い木造アパートに移り住んだ晶は、大家の老女から依頼される。この大家の一家が、これまた複雑な事情を抱えていて…。
大家の孫には同情を禁じ得ない。現実にこういう事故は社会問題化しており、作り話と読み流せない。と、最初は思っていたけれど…。短編でさえ簡潔にあらすじを述べるのが難しい葉村シリーズである。いわんや、長編をや。
警察にも顔が利く(?)晶である。別件で動いていた刑事が、なぜか晶に詳細を語る。警察がおおっぴらに動けないから、晶に動けと命令しているに等しい。何だかんだで好奇心に抗えない晶の性格を、熟知している。プロ根性なのか損な性格なのか…。
今回に関しては、晶が手を引くタイミングがあったのに、自ら深みにはまっていった感は否めない。一度受けた依頼は、儲けにならなくても続行する女探偵。そんな晶だから、最後の最後にすべてが繋がり、真相が露見したわけだが。
その真相というのが、あまりにも身勝手すぎて脱力した。こんな人間にも弁護士がつくのである。裁判は揉めに揉めそうだ。終わってみれば、晶に残るのは達成感ではなく虚しさだけ。それを承知で、もう若くない体を張ったとはいえ…。
あまりにも「持っている」晶に、苦笑するのがこのシリーズのお約束なのだが、久々の長編は苦笑いで済ませるにはやや重かったか。普段から晶をこき使う諸氏は、給料を上げるなり割のいい仕事を紹介するなりするべきではないか。
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運の悪い葉村晶のシリーズ。
知り合いの探偵社から頼まれた仕事で、老女を尾行したところ、けんかに巻き込まれ、挙句の果てにケガを負ってしまいます。
そこから事件が始まり、ストーリーが展開します。
相変わらず緻密な構成です。
何気ない中に、細かな伏線が紛れ込んでいます。
吉祥寺のミステリ専門書店の店長による、ミステリのうんちくも楽しいです。
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待望の葉村晶シリーズ!
おまけに長編‼︎
相変わらず、不運に巻き込まれてばかり。
その上寄る辺ない身の上で、住んでいたシェアハウスも出なくてはいけなくなり‥
切ない話だが、面白かった。
瑠宇さんと郡司さんのその後が気になる。
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この葉村晶シリーズ、途中でやめるほどではないんだけど、いまいちのれない…なんかこうまどろっこしいというか、ウダウダしてる感がある。好みの問題なんだろうけど…主人公があまり好きじゃないからなのか?
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女探偵・葉村晶シリーズ第6弾。
相変わらず緻密に張り巡らされた伏線、どれ一つとして無駄のないストーリー展開はお見事!
第6弾まで来ると、ミステリーの面白さとは別に葉村晶への愛着が益々強くなる。
今回、成り行きから一つ屋根の下に暮らすことになったミツエとヒロトと共に過ごした数日間が、殺伐とした生活を送っている葉村にとって誰かと何かを共有できた人間らしい素晴らしい瞬間だったことがとても嬉しい。
だからこそ、終盤で二人を失って現実を受け止められず目を潤ませる彼女に心が痛む。
シリーズを通して描かれる人の悪意や醜さがもたらす嫌~な空気はこの作品も例外ではなく、みんなが自分の都合で、自分の利益を守ることに汲々としている。その手段が殺人であることは到底許されないのだけれど、程度の差こそあれ、人ってそんなものなんだろうな・・・という諦めを抱いてしまう。
それでも、最後の最後で相変わらずすっとぼけた富山店長の優しさにふっと心が和んで終われたのが救いでした。
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ある依頼を受け老女を尾行していた葉村。その老女と知り合いとみられるミツエと老女の喧嘩に巻き添いを食らい早速、怪我をする。その後、ミツエのアパートの空室に住むことになるが、ミツエの孫・ヒロトから依頼を受ける。ヒロトは交通事故に遭い、父を亡くし(母は失踪中)、自分は事故の記憶をなくしている。その時のことを調べて欲しいとのことだ。しかし、ヒロトはアパートの火事により死んでしまう。ヒロトの死の背後にあるものは…。
歳とっても頑張っているのね、葉村。今回も葉村はバリバリ探偵の道を進んでいました、タフでユーモアもあり好きです。”熊”は良くないみたいだけれど、引越後の葉村、今後の活躍に期待です。このシリーズは続いて欲しいです。
伏線はきっちり回収だし、ミステリーだけでなく本の紹介もあり、それも魅力。そして、ミツエのキャラが良かったです。
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シリーズものの探偵小説
交通事故で身体が不自由になってしまった大学生が火事で死んでしまった。一連の謎をおばさん探偵が解き明かす。
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相変わらずの面白さではあったが、私自身が疲労していて細切れに読んだせいか複雑な内容にだんだんついていけなくなったことと、ヒロトが死んてしまったことのショックとで思ったより楽しめる読書にならなかった。主要な人たちが割と呆気なくに命を落としてしまっていてショックからの立ち直りに時間がかかった。騙されててもいいからどこかでヒロトが生きてないかとか頓珍漢な推理をしたりし…。
読後の後味も良くなかったなあ。晶がひどい目に会いすぎてるのも同年代として同じ疲れを共有したような気分。
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最初の1ページで予感させる甘やかさはかけらもなく、ひたすらハードボイルド、そしてタフ。40女がここまで格好良くなるとは思わなかった。
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葉村晶シリーズ。初登場の時から順当に歳を重ねて、葉村も四十過ぎに。身体のあちこちに微妙なガタが出てきている。同じ世代の身には妙に親近感を覚えてしまう。葉村は探偵を職業にしている。といっても、神の如き名探偵でも、暴力はお手の物のハードボイルドでもない。町の探偵である。特別な存在ではない、普通の女性が探偵をしているのがシリーズの魅力だ。タフと形容されることが多い彼女だけど、決して木石ではない。傷つき、悩む。友だちも多くなく、家族もいない。もちろんお金持ちでもない。物語の主人公だから忘れがちだが、なかなかにシリアスな状況だ。若竹さんには、彼女が老いて走れなくなるまでとことん葉村シリーズを書き続けてほしいと思う。
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初めて読んだ葉村晶シリーズ。どんどん話が展開していって最後まで、全く飽きさせない。主人公が中年女性という点も共感度が高く面白く読んだ。
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短編集から今度は長編小説。腰痛に悩む中年女性、葉村晶、「歩けない探偵は探偵ではいられない」と述べながら走りに走り続ける。長編の為、脈絡のない話が続き冗漫である。この作家短編の方が断然面白い。葉村晶は、吉祥寺にあるミステリー専門店のアルバイト店員かつ探偵社の調査員の設定であり店長の富山が巻末で紹介するミステリーが役に立つ
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40代半ばになってしまった葉村さん。でも相変わらず不運で満身創痍になりながら自分の信念に従って行動します。初めは金銭でも、途中で持ち出しになっても大怪我をしても、彼女は絶対にやめない。若いころのような体力はないけれどその分さらに人との関わりや執念を大事にしているような気がします。応援せずにはいられない彼女の人となりや行動力はもちろん、ストーリーの運びや伏線の張り方、回収、どれもとても美しくて見事です。今回もお疲れ様。葉村さんはボロボロだけど、読んだ私はしっかり元気をもらったよ。