紙の本
「水道方式」でお馴染みの我が国の数学者、遠山啓氏の興味深い現代数学論です!
2020/04/20 09:54
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の民間教育団体である数学教育協議会を主導し、「水道方式」などの分かり易い数学概念、学習方法などの提唱で有名な遠山啓氏による一冊です。「現代数学」というと、何か難しい学問のように思われがちですが、実は、日常の私たちの生活の中でも多く経験している事象がもとになっていると著者は言います。そこで、「集合」、「関数」、「構造」、「群」、「位相」などの概念の本質について、古代からの数学史を辿りながら、明快に解き明かしてくれます。同書は、大きく「数学は変貌する」と「現代数学への招待」という2部構成で、前者では、では、「古代の数学」、「中世の数学」、「近代の数学」、「現代の数学」、後者では「構想力の解放」、「構造」、「集合論」、「集合論の創始者」、「集合数」などが語られます。
投稿元:
レビューを見る
数学の歴史に始まり、群・体・環の代数的構造の説明、そして位相構造についてと数学の見取り図をざっくりと教えてくれる良書です。
わかりやすい。
投稿元:
レビューを見る
群・体などの代数系や位相などの“構造を扱う数学”の方が理解しやすいと説き、いくつかの例について定理や証明をきちんと出しながら紹介している。実数や複素数などの計算法・応用例・いくつかの定理を知らないと抽象代数学を楽しむことなどできるはずは無いと思っていたから、著者の考えと説明の仕方には驚かされた。
投稿元:
レビューを見る
紛れも無い数学書。
「変貌する数学」と「現代数学への招待」の2部からなる。
前半は数学史を古代、中世、近代、現代の四つに区分して叙述。いわく幾何学の歴史の一面があると。ユークリッド、デカルト、ヒルベルトが画期であると。古代、書物を書くのは二流の人だった。
後半はカントルの集合を使った無限へのアプローチ、群・体・環から多元環と四元数、距離と関数空間、近傍、位相空間と分離公理。大学での現代数学の道具について、入り口まで丁寧に説く。
投稿元:
レビューを見る
1970年の講演を収録した前半「数学は変貌する」と、後半「現代数学への招待」に分かれる。
特に前半は数学史を古代ー>中世ー>近代ー>現代への変遷として解説しており、経験的から帰納的・演繹的・構造的に変遷する様や物理など応用が語られており大変分かりやすい。氏のように微積分や集合を教授していただければ学生時代に数学で挫折することもなかったかもしれない。(まぁそれは自分の勉強不足のせいですね。。)
後半は集合論と構造論(群・環・体・位相)を主とした、まさに現代数学入門。入門者にとっては難解さはグッと増す。
前半は間違いなく★5つだが、後半のやや専門的内容を踏まえて★4つとした。前半部分は飛びぬけて面白いのでぜひ読んでいただきたい。
投稿元:
レビューを見る
遠山啓「現代数学入門」読了。“数学は変貌する”が大変良かった。学校で習ってきた幾何学や微分積分などが時系列的に歴史上の転換点と結びつく事に驚いた。その上で集合や群などの現代数学に至る点はとても興味深かった。さらにそれらの延長線上に自然言語モデルなどの生成AIの発展があるように感じた。