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物語の中には実体験が盛り込まれているのか?
2019/10/14 18:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
定年待合室とは、定年退職までもう幾年もない社員の属する部署である。どこの企業にもありそうな所である。定年退職はまだまだ先の話だと思っていると、あっという間に時期が来てしまう不思議な感覚である。40年以上勤務した組織から解放されてしまうのだから。解放と言えば聞こえはよいし、その一面は確かにある。しかし、今まで経験したことのない生活に突入することは紛れもない現実である。
本書は有名百貨店に勤務し、それなりの実績を上げたにも関わらず、担当役員のいじめで早期退職せざるを得なくなったベテラン社員が主人公である。このところ百貨業界には合併や不況の嵐が吹き荒れているが、外商部にいた主人公は人脈や接客には豊富な経験を持っていた。
同じく、それぞれ異なった経歴を持った同年輩の人たちが集まったスナック。この仲間に難題が持ち込まれてくる。スナックのママが主人公を持ち上げる。主人公は気が進まないまでもこれまでの人脈や経験を生かして持ち込まれた難題を次々に解決していく。
このところ定年後のサラリーマンを扱った小説は流行の波に乗っている。内館牧子、楠木新などいずれも興味をそそるものがあった。本書は定年後のサラリーマンがなかなか会社員時代のシガラミを忘れられないシーンが綴られている。経験がなければ書けないところではないかと思う。
巻末にはその楠木新が解説を書いて締めている。定年なんて関係ないという若い人たちにはいくら説得しようとしても無駄である。それを聞いてくれる奇特な人はいない。しかし、定年間近、あるいは直後の人たちには何か訴えるものがある。本書の物語のようにスイスイと事が運ぶことは現実にはほぼないであろうが、現役当時の苦難を振り返る参考にはなる。まあ、それも余計なことで、自分のことは自分で解決すべきという声も無視できない。
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