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哲学は死なず
2006/02/22 23:30
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紙魚太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんな人間でも、年をとるにつれ、「時間」と「自己同一性」の問題について考える。しかし、現代物理学では「時間」と「空間」は区別することができず「時空」という、一つのまとまりとして考えなくてはならない。本書のユニークな点は、時空についてニュートン→アインシュタインとつながる物理学的枠組みでではなく、ライプニッツとニュートンの対立から始まる空間と時間に関する哲学的論考から見直すという、異色の内容となっている点である。ライプニッツの先見性はさておき、質点の関係から時空を捉えるという方法論が着実な成果を上げてきた点については目から鱗であった。先見性に関していえば、たとえばデモクリトスの原子論をいかに高く評価するかといった問題がある。おそらくライプニッツの先見性の高さがその後とぎれることなく続いた思考の流れを作った点で評価されるのだろう。決してライプニッツ自身が自分の後に続く思考の流れを予測していたとは思えない。そこの評価の仕方に筆者のひいきが出てくるのだろう。しかし、私が感じたおもしろさは何が正しいのかではなく、ものの考え方の根本を考える哲学のおもしろさである。現在に生きる私たちは哲学という言葉に対し時代遅れのレッテルをつい貼ってしまいがちである。しかし、どんな思考も現象を捉える視線の原点に関しての疑いをぬぐい去ることはできないのではあるまいか。その意味で時空問題は哲学の基本問題なのであろう。新書では惜しい。マッハについても電磁気学についてならまだしも、ふつうの教科書しか読んでない人にはその力学に関してはわかりにくい。「アインシュタインでも理解に2年かかった。」部分がほんの数行では消化不良もいいところである。単行本で300ページ以上でじっくりと論考したい
物理学の基本概念について目から鱗
2006/04/29 11:17
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
空間と時間の非可分性と相対性について、アインシュタインの200年前にここまで見通していたとは、まさに「ライプニッツおそるべし」。これまでに教わってきた物理学や力学の主流の考え方とは異なるが、現代物理学の最先端の理論である超ひも理論(もっと最先端はM理論)、インフレーション宇宙論までもつながる、時間と空間、真空と宇宙、空間の幾何学、運動といった物理学の基本概念に関する、本質的な考え方、理解の仕方というものが別にあった。それはニュートンと微積分法の先陣争いをしたライプニッツから、マッハをとおしてアインシュタインまでつながっている。
この本で初めて知ることができた、力学をはじめとする物理学の概念や観点・視点が多くある。力学を考える枠組みというか、思想というか、メタ力学というのか、前提条件として暗黙のなかにうけいれられたきた空間や時間や運動といった最も基礎的な概念を、ここまで徹底してその基本から考えてみるということは、これまでに読んだ相対性理論の解説書のなかにもなかったように思う。
ライプニッツとニュートンの論争点は何か。二人の運動に関する考え方の違いは何か。それらを解説することからはじめて、時空間や力学についての物理学の前提条件と考えられたきた概念の本質が何なのか、現代物理学の思想とどのようにつながり、絡んでいるのか、がよく説明されていて、かなり理解できたと思う。
微積分法の先陣争いの論争については何かで読んだ記憶がある。ライプニッツの記号が高校や大学の微積分では主流であり、ニュートンの記号はあまり使われない。しかし微積分法の先取権はニュートンに認められている。相対性理論と量子理論の統一化の研究が進んできた今日においては、物理学少なくとも力学の分野では、ライプニッツの考え方の方に分がある、らしい。
コシマキの言とは逆に「難解な物理学に興味を持ってもらうために哲学を呼び水にしている本」
2006/10/11 08:19
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
コシマキには「物理学に隠されていた時空の哲学を解きほぐす」とあるんだが,実はあんまり解きほぐしてなくて……,というか逆なんだよね,このコピー。オレ思うに,世間一般の読書子にとって「哲学」と「物理学」ったら解きほぐして欲しいのは後者でしょ。で,著者もそうだろうと思ってる。思ってないのはコシマキ書いた人だけ(笑)。
つまりこれは「深遠な哲学を解説するために物理学を駆使している本」ではなくて,「難解な物理学に興味を持ってもらうために哲学を呼び水にしている本」なのである。そのとっかかりになっているのが世に名高い「ライプニッツ〜クラークの往復書簡」で繰り広げられた哲学論争……というが,オレ思うにこの頃のヒトは「これは哲学,これは物理学」って分けてなかったようなんだけど。この論争でライプニッツは,ニュートンが自身の力学の前提として,絶対空間および絶対時間というものを主張したことに「哲学的に」噛みついた。すなわち「神がそんなものを必要とするような不完全な仕組みの世界を作るわけがない」ってんですね。これが実はマッハを経てジュリアン・バーバーに連なる「時空の関係説」の端緒になるわけで,つまるところこの当時の物理学者ってのは「この世界は神が作った完全なものなんだからそれを秩序立てる法則というものが存在するはずだ」と考える哲学者でもあったわけだ。アインシュタインの「神はサイコロを振らない」という有名なコトバもその類いだよね。
惜しむらくは現代に近づくにつれて神なんか信じてない(としか思えない)物理学者が増えているせいか,本の後の方になるほど話から哲学的解説が払底されてしまい,物理学ムキダシの頭が痛いような説明が増えてくる。著者同士にそんなつもりはなかっただろうが(当たり前だ),川合光の「はじめての〈超ひも理論〉」あたりと合わせて読むと相互補完的に判りやすいんぢゃなかろうか。
「空間の謎・時間の謎」の書評
2016/09/08 21:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:karakuchi - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニュートンとライプニッツの論争に始まる冒頭部は刺激的だったが、途中から理論物理学のへたくそな解説にすり替わってしまったのが残念。
難解かつ中途半端な解説ばかりで、予備知識がない一般読者には何を言っているのか理解できないだろう。
各節ごとに、紹介した理論の哲学的意義を解説しているが、その内容はライプニッツ哲学との類似性を語って、「ライプニッツおそるべし」と称賛しているのみで、哲学的考察と言えるようなものではない。
「時間・空間について考える際に、理論物理学を考慮しない哲学的直観に基づく考察のみでは危うい」と主張するのであれば、著者自身が現代物理学を踏まえた時間・空間の「哲学」をしっかりと提示してほしかった。
ニュートン以降の現代物理学の発展を概観するには良いかもしれないが、内容的には「他人の褌で相撲を取った」ような作品と言わざるを得ない。
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