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みんなのレビュー23件

みんなの評価4.3

評価内訳

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23 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

シリーズ六作めは、青春篇のプロローグ。吹雪ばかりに塗り込められた白い冬。

2011/08/18 16:13

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

いままで講談社文庫で読み進めてきたが、この本は岩波少年文庫である。
このシリーズは、すべてを統一された書籍で読むことができない。
これは邦訳の版権の事情で、
物語の前半と後半を、それぞれ違う出版社が取得しているためである。
じつはこのシリーズは厳密には、前半が少女篇、後半が青春篇として分かれているのだ。
ローラは、「長い冬」を青春篇の第一部としていて、
意識的に大人の小説へと展開していくつもりだったらしい。

おなじ作品のシリーズを違う翻訳者で読むことは初めてだったし、
ちょっとした語彙やトーンの違いには少々とまどったものの、
「長い冬」という作品の持つ魅力に遜色はなかった。
タイトルどおりにやや暗く重い設定だったにもかかわらず、読ませる力がつよい。
ここからは、淡々とした情景描写だけではなく人物の行動や心理が明細に描かれるからだ。
「農場の少年」までの前半部にはなかったものが盛り込まれ、新鮮でもある。

「シルバー湖のほとりで」に書かれていたように、
インガルス一家は、ふたつの住まいを手に入れた。
鉄道開通にともなってできた真新しい町デ・スメットの住まいと
そこからすこし南へ下った開拓農地の住まいである。
シルバー湖での越冬を終え、春には町と農地を行き来しながら、
父さんはひと足はやく、夏には農地を耕しはじめ、一家は農地小屋に落ち着いた。

ローラがもうすぐ14歳になろうとしている、晩夏のある日。
父さんの農作業の手伝いをしていたときに、池の端に奇妙なものを見つけた。
それはジャコウネズミの巣だった。近づいてみると異様に大きかった。
ローラの背丈ほどもあるし、幅も両腕を伸ばしても足りないくらいにある。
父さんは言った。ジャコウネズミの巣の大きさは、来る冬の寒さに比例するのだと。
ことしは厳しい冬になる。このメッセージは、シンクロニシティのように
インガルス一家を追いかけてきた。
9月におりた早すぎる初霜。10月の猛吹雪。湖からは鳥たちが一羽もいなくなった。
父さんは確実にこの冬の過酷さを察知した。

一家は、デ・スメットの町で厳しい冬を乗りきることになったが、
それは予想以上のものだった。
来る日も来る日も吹雪がつづくのだ。家から一歩も出られない。
まっしろな冬に閉じ込められる。雪はまるで不気味な気配を連れてくる悪魔だった。
頼みの綱だった鉄道は完全に吹雪に道をふさがれ、食糧が運べない。
なんのために町へ来たのだ。ここには店があり鉄道が通っている。
厳しい冬に食糧が確保できるからこそ、農地から引っ越してきたというのに。
町の商店からは食べるものが姿を消した。
住民たちは家に蓄えた食糧がいつ底をつくか、ひやひやしながら食事をした。
鉄道が回復する見込みはさっぱりない。暖をとる燃料である石炭も買えなくなった。
インガルスの父さんは吹雪のない日に橇に乗って農地へ出かけ、干し草を取ってきた。
こよりのようにねじって太い棒にし、ストーブへくべるためである。
干し草ねじりは毎日の日課になった。ローラの手には干し草の傷が無数にできた。
母さんはなんとコーヒーミルですこしずつ小麦を挽いてパンを小さくこしらえた。
食糧事情は深刻だった。各家庭で大切に分け合いながら食べていた主食である小麦。
その小麦が、とうとうなくなりそうなのだ。
ある日、南のほうの農地に小麦を蓄えた農夫がいるという噂が町をかけめぐった。
町の勇気ある若者がふたり、その小麦を町の住民のためにいくらか分けてもらおうと、
橇に金貨の袋とみんなの思いをのせて出発する。
たしかなことなどひとつもわからないのに、危険を顧みず出発したのは
開拓農地から、兄が営む商店へ避難してきていたアルマンゾと、キャップだった。
アルマンゾとは、もちろんアルマンゾ・ワイルダーである。
「農場の少年」は19歳に成長し、念願だった農夫となったのである。
もう、おとなしく従順なだけのアルマンゾではない。
果敢に挑戦し、心理的なかけひきさえこなす青年である。
ローラとの接点はまだないけれど、おなじ町の住民としてお互いに顔は見知っていた。
ローラは小麦を求めて旅立った彼らの消息を案じていた。
へたをしたら死ぬかもしれない。白い悪魔からどうか身を守れますように、と。

「長い冬」で感心するのは、ローラが大人の要素を入れていくと言っていたとおり、
社会に必ず存在するみにくさをうまく描いているところだ。
たとえば、助け合わなければいけないときに、自己中心主義者が必ず輪を乱すこと。
そのほか家族の描写のなかにも、ローラと姉のメアリーとのちょっとした確執や、
父さんと母さんの意見の食い違いなどがけっこう生々しく書かれていて、
どきりとする場面がたくさんある。
毎日のようにつづく吹雪は、人の心までも凍てつかせてしまう。

ローラの暮らしたサウス・ダコタは、夏は暑すぎず快適だが、冬は厳冬で気温は零度以下。
現在の観光の目玉として、キーストーンのラシュモア山国定記念公園が有名である。
巨大な四人の大統領の彫刻(ワシントン、ジェファーソン、ルーズベルト、リンカーン)は圧倒的な存在感をもつが、完成には14年の歳月を要した。
彫刻家ガットスンは400人のスタッフと共に作業に当たったらしいが、
秋から吹雪く山での作業はどんなに過酷だったことだろう。
この過酷な環境のサウス・ダコタ付近のいくつかの州には意外なものが存在していた。
1942年、第二次世界大戦の戦時下で、日系人の強制収容所が急ピッチでつくられたのだ。
粗末な小屋で暮らすことを義務付けられ、すべての自由を奪われていた人々。
決して少数ではない、試練を受けなければならなかった人たちにとっても、
冬の厳しさは追い打ちをかけるように残酷なものだったに違いない。
日系人強制収容所がアメリカにかつてあったという事実さえ知らなかったが、
「長い冬」を読み終えた後で、ワイオミングの収容所跡のテレビ放送を見て、
わたしにとってこの本は、色々なことを考えさせる一冊となった。

さて、とてもシリアスな展開になったが、「長い冬」のラストは軽やかである。
長く、暗い、寒い冬を耐えきったあと、インガルス一家にすばらしい贈りものが届く。
この過酷な状況を超えたからこそ、感じられる、すばらしい奇跡のような瞬間が。
つらい時期は長く、永遠のようにも思われるが、いつか過ぎ去る。
いまはすべての途中にあるのだ。いいときでも悪いときでも。

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紙の本

長く辛い冬

2019/09/18 20:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る

たしか、この長い冬から翻訳者が変わったのか、とうさんかあさんがとうちゃんかあちゃんに、キャロラインがカロリンに、メアリーがメリーになって戸惑いました。原文だとPa,Maとなっていて、とうちゃんかあちゃんどころかおっとうおっかあくらいの呼び方だと後に知りましたが・・・それはともかく、大雪で物資が来なくなり、外にも出られないという話が延々と続いて、シリーズの中ではつまらない方だと思っていたのですが、今読むと胸に迫るものがあります。育ち盛りの子供たちに十分食べさせてやれない両親の苦悩、やっと電車が通り、皆でお祝いをする場面・・・

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紙の本

大草原の小さな家シリーズです

2023/02/09 20:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

大草原の小さな家シリーズです。
自然の中に生きるって、こういうことなんだよね、と思わされる。
普段文明の利器に頼って生きている自分が、どんなに弱く感じられることか。

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2006/02/11 14:20

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2010/02/13 13:33

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2010/03/28 15:28

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2010/03/23 22:30

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2011/09/02 16:44

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2012/09/04 00:32

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2013/03/09 22:29

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2013/09/16 15:20

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2015/01/08 19:19

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2016/02/14 08:43

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