紙の本
アーレント「全体主義の起源」と併せて
2019/04/24 21:56
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投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アーレントと同じく「大衆」が登場し、批判的に分析します。リベラルが嘲笑されがちな今の日本にあって、多数決によっても覆せない価値を説くことは、我々が大衆だからこそ大切なことです。「敵とともに生きる」「反対者とともに統治する」「生きている死者の存在」「人は後ろ向きに未来に入っていく」「永遠の微調整」…覚えておきたい多くのキーワードに出合えました。
この民主主義と立憲主義の間の緊張関係、日本の場合「統治行為論」で民主主義を優先したという解説に納得。相反する両者の関係性があまり語られていない気がするのは、対立を根源まで掘り下げずにいたせいかもと推測しました。
急進主義的な変革と対峙したオルテガはもしかしたら孤独だったのでは、と思いました。自分と異なる価値観を持つ他者を排除せず、対話し共存する生き方を実践するのは大変かもしれませんが、この本を読むとリベラルの重要性がすとんと胸に落ちました。
紙の本
大衆に対する認識が変わります
2019/05/19 07:20
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投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
スペインの哲学者・ホセ=オルテガ=イ=ガセットの『大衆の反逆』を紹介したTV番組「100de名著」のテキストです。搾取されるのではなく、数を頼りに権力を構成する大衆像の理解を助けてくれます。
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西部邁への傾倒が感動的。そうか中島は西部を継ぐのだな。良き事。「熱狂を疑え」ツイッターなどのTOPに貼っといてもいいくらいだ。
保守思想の簡単マッピングとしても便利。
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人間の英知は万能なわけがない、と考える僕からするとすんなり理解できる内容だった。『大衆の反逆』の原書(ったって日本語訳)は大学時代に読んだと思うけど、ほぼ理解できなかった覚えがある。あの頃はまだ、人間の英知を信じてたんですね、きっと、僕は。あと「大衆」という言葉の使い方が僕らの常識と違っていて、すんなりと頭に入らなかったというのもあるでしょうね。
オルテガ以外の思想家の名前が多々出てきて、『大衆の反逆』の解説になっていない、中島岳志の独自解釈じゃないか、と非難する書評も見たのですが、そういう人には原書を読んでみましょう、としか言えないです。
世界史の流れと世界の中の日本にこの本を位置づけようとすれば、ああいう書き方になるのだろうと僕は思いました。
オルテガ『大衆の反逆』 2019年2月 (100分 de 名著)
https://amzn.to/2SR0pnS
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この本を読んでオルテガの思想を知ることができて良かった。この本を読んでこれから国をよくするために個人としてどうすればいいのか考えさせられた本。この本を読んで「リベラル」という概念の意味が変わった。
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声の大きな人が「言い切ったら勝ち」と考えているように思えるのは、つまりどういうことか。
と言うことがわかりました。
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「オルテガ『大衆の反逆』」中島岳志著、NHK出版、2019.02.01
117p ¥566 C9498 (2019.03.30読了)(2019.01.27購入)
【目次】
【はじめに】過去の英知とともに生きる
第1回 大衆の時代
第2回 リベラルであること
第3回 死者の民主主義
第4回 「保守」とは何か
☆関連図書(既読)
「ヒンドゥー・ナショナリズム」中島岳志著、中公新書ラクレ、2002.07.25
「ガンディー『獄中からの手紙』」中島岳志著、NHK出版、2017.02.01
商品の説明(amazon)
リベラルな民主主義を支え導く「真の」保守思想とは?
少数意見を認める寛容さや、個人の理性を超えた先達の良識を重んじる真の保守思想こそが、大衆化社会における民主主義の劣化を防ぐ処方箋となる──。利己的な「大衆社会」の暗部をあぶりだし、合意形成の大切さを説いた、いまこそ読み解かれるべき一冊。
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100分de名著2月の名著が好評です!
責任を負わず、欲望や権利を主張する「大衆」の誕生を問うオルテガの思想とは?
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中島さんの本を読みたくてまずは手始めに。
今の時代のことじゃないの?とオルテガの鋭さに感嘆しっぱなし。
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基調は悪くないのだが、話が抽象的で大雑把すぎる。ただ、バークやトクヴィルなどを読んでみようという気にはさせられる。
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物事を俯瞰して捉える姿勢、他人の意見を柔軟にとらえるということが、人々(大衆)から失われていると警鐘を鳴らしている。
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まずこれを私に勧めてきた人が超偉そうだったので個人的に第一印象からして最悪な本だったが、まあ中身も普通に偉そうだった。文化や環境から与えられた役割に敬意を払って粛々とこなせって黒人奴隷や小作人に対しても言うつもりなのかな?もともと保守思想と相性が悪いので現状維持に重きを置く人はとことん合わないです。進歩主義のように、刻々とより良い世界に変わっていっていると考えるのは能天気すぎる。けど、進歩がもし向こうからはやってこないということならば皆んなで掴みにいくんだよ。
というかんじでモヤモヤイライラしながら読んだけどそれは思想の違いの話で合って話の展開とか目の付け所は普通に面白いところもあったので読んで良かったと思う(どっちやねん)。
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【2回目】オルテガを始めとして、バーク、トクヴィル、西部邁らの大衆批判を収めている。再読したのは、『華氏451度』での高度消費社会批判に接続できないかを検討したかったためである。理性を盲信し、歴史との交流を閉ざした大衆の横暴を暴き立てていると感じた次第。