高校生の時に出会いたかったファンタジー系SF
2019/07/01 22:16
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
「言骨」を資源として砂漠で生きる人々と、創造主「言鯨」を巡る物語。魅力的な造語とラノベのような軽快な語り口に始まり、崩壊する世界に抗う主人公とその仲間達、世界のはじまりの核心に迫った先に見えたものは―ってな具合で高校生の時に読んだら確実にドハマりしてたSF。
他の作品で例えるのは若干失礼な気もするけど、ラピュタと自生の夢を混ぜて、ライトノベル風味で割ったような(適度な情報密度でとにかく読みやすい)小説。砂に囲まれた世界観・個性豊かなキャラクター・言鯨と蟲と人の生活、それぞれの要素が良い具合に噛み合ってて面白かった。
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面白かった、と言えるのだけれど、いざ感想を書こうとすると何から話したらいいのか…となる不思議なお話でした。
砂みたいにサラサラと言葉が崩れていく。単にまとめられないだけだけど……
「砂まみれの世界で人間のふりをしている」というのは某SF作家さんの世界を思い出しますが、こちらは人間ではないことに当人たちが気付いていない。
死んだらサラサラ崩れて風になる、というのは人間じゃなくて砂で作ってるお人形さんだからか…。
真に人間だった人たちはその姿を失い、取り残され遠の眠りについてたけれど一人目が起こされ、その一部が主人公と融合しちゃってて……から始まる仲間探しと、破壊と再生。
砂まみれの世界だから、皆さん海の生きものの名前が付けられてるのかな。せめてもの、みたいな。。
ラストもよかった。お互いに名前を忘れてはいるけど、鯱と旗魚は人間を探す旅に出たんだなぁ(ここはちょっと最終兵器彼女っぽい……)。
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タイトルに惹かれて購入。
前情報を全く入れずに読み始めたが、面白かった。サービス満点でテンポが良い。言葉……というか、言語を主題に置いたSFは数多くあるが、言葉の『音』に大きくフォーカスしているのがユニークだと思う。
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現実、と云う枠に想像力をこれでもかと注ぎ込んで溢れ出したものが本当のSFなら、溢れてくるそれはどうしようもなく、ことば、になってしまうよなぁ。
日本のSF、と云う感じ。物語への執着、と云うか希求と云うか、そういったものを強く感じる作品はとても力強いですね。
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ナウシカと砂の惑星とソラリスを足して割って何かスパイスを振りかけたような作品。イサナやそこの住人の正体に驚愕する。旗魚(カジキ)が死にそうになるところではウルトラマンを想像してしまうが、この作品は様々な作品を思い出させるところが欠点でもあり長所でもある。リーダビリティは高い。難しくない作品なので、遠い世界に逃げたくなるような気分の時に読むのがお奨めだ。
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採掘船で働く、学者志望の少年・旗魚が、思わぬ形であこがれの学者・浅蜊と出会う序盤から(そもそも遭遇する前から)、畳みかけるように重なる謎と発見、逃走劇と解答が、一気に読み終えるまでの推進力を持っていて良かった。
スチームパンクな世界観も緻密、蟲や詠石といった生物・物質の描写も優、後半のある意味無敵モードも快いが、何より相変わらずキーとなる文字/声の描き方のセンスが光っている。見開き一ページ分、(ネタバレ)が来たときには、予想はしていたものの来たか、とテンションが爆上がりだった。言葉を巡る思索のSFらしさも良い。
タイトルは最後の最後まで読んで、そうかと判る感じだった。終盤は類例をみないわけでもないが、読後感と相まって余韻を残す。
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カバーイラストとタイトルに惹かれて購入。概ね、期待通りの世界設定で、楽しめた。
SFというよりかは、ファンタジー色が強いかな、と思う。世界設定もビジュアル設定も魅力的だが、文章は思ったより平易で、どことなくラノベっぽい。途中から主人公が強くなりすぎるのと、果たして絆をはぐくむまで三人が長いときを過ごしていたか、というといささか微妙な気がするけれど、基本的には面白く読めた。
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文学的な奥深さとライトノベルのような浸し見易さの2つを兼ね備えています。
言葉と砂がテーマとなっています。神であるイサナとその謎を解き明かす少年心がくすぐられる1冊でした。
以下ネタバレ含みます。
イサナとはなにか、それは人間であり、主人公は人間ではなかったという真実が明かされます。クライマックスでは、主人公たちの敵、イサナ、蟲の王との戦いはバトル漫画のような熱さがありました。
SF小説はこれまでも何度か読んできましたが、本作はこれまでに無いほど読みやすい1冊となっていました。
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前半は砂漠の惑星を舞台とした冒険物として物語が進んでいき、後半から世界の成り立ちなど解き明かされていく怒涛の展開、とてもワクワクしながら読み進めることができました。
主人公の旗魚(カジキ)とひょんなことから行動を共にすることになる"運び屋"の鯱(シャチ)が、だんだんとお互いを信頼していくようになっていく展開も良く、良いからに後半はしんみりとしてしましました。また、同じく行動をともにすることになる"蟲使い"の珊瑚(さんご)は完全にヒロインでした。
物語は"言葉"が重要なキーワードになっており、文章の書き方も変わった節々があり面白かったです。本書のタイトルについても、最後まで読み終わり「ああ、なるほど」となりました。