紙の本
学歴偏重、序列社会への警鐘と理想社会への招待状!
2020/04/23 20:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:neoaco - この投稿者のレビュー一覧を見る
日々社会生活を送る中で、圧倒的にその数が多い良し悪し族に辟易としておりましたが、幼少から競争に晒され、やっと掴んだ社会的立場を守り抜きたいと言うその歪んだ自尊心、理解できなくもないと受け流しておりました。ま、そんなに理性的・理知的に力まずもっと本能的・感情的に好きか嫌いかで生きて行くのも気持ちいいのではないかなあ?世の中の複雑化が進む中、益々すっぱり分けられないことって増えてくるでしょうし。
紙の本
現代の違和感は「良し悪し族」の横行
2019/06/01 12:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
■仕事
仕事と趣味は本質的に異なる
価値の受け手の為にやるのが仕事であり、アウトプットを客が評価し、受け入れなければ仕事にはならない
経験してみないことには始まらない
想像の決定的な弱みは平面的なこと
立体的で奥行があるところに実体験の重みがある
偉い人ほど謙虚である
自分の強みは条件付きの強みであり、自分のダメなところ弱いところを自覚している
自分がやりたいことをやる
自分が好きな仕事でフルスイングする
これが起点にして基点である
マーケットイン
そこにある需要に合わせて何を供給するかを決める
プロダクトアウト
その先に需要があるとは限らない
自分が提供したいものを需要と結びつけるには、試行錯誤が必要
■会社
経営の王道は、長期利益の創出
稼いでいれば、社会貢献できる
長期利益は全てのステークホルダーをつなぐ経営の基本線
カラーの違う会社の存在は、社会的多様性の源泉である
企業や経営が評価される場
・競争市場 お客様が評価する
・資本市場 投資家による評価
・労働市場 経営に対する規律
戦略の正体
意図された順列にある
戦略は個別の打ち手を時間的な奥行きに配列したストーリーでなくてはならない
競走の中で他社との違いを作っているのは、論理的な時間軸の上で繋がったストーリーにある
誰もが注目している飛び道具や必殺技に寄りかかると、独自性や差別化が薄れてしまう
材料や組み合わせであれば外からある程度は推測できる
が、手順(順列)は外からは分からない
だから、料理人はレシピを秘匿する
価値においてシンプル、プロセスにおいて複雑、これが儲かる商売の原理原則の一つ
変革は創造的破壊
創造ではなく破壊から始まるプロセスである
変革の成否は破壊にかかっており、順番が肝心
破壊の決断と実行は、最高意思決定権限者の社長に他ならない
変革を志す人は、構造改革という制度設計に逃げてはいけない
今そこにある特定の問題を解決し、具体的な成果を出し続けていく動きが制度化され、構造として定着する
→「運用が先、制度は後」
経歴と実績
経歴は、位置エネルギー
組織が大きくなれば、経営者の位置エネルギーも大きくなる
実績は、運動エネルギー
経営者の行動を問うものであり、ビジネス成果を最も大きく左右する要因
経営者の実質
企業家は、革新的で独立独歩で大きな報酬のために限界以上のリスクを冒す
経営者は、比較的小さなリスクを冒すことしか許されないし、そこに評価がかかっている
実績のみが実在であり、自信、能力、勇気の尺度である
■世の中
モノの価値
人は、モノやサービスの価値をほとんど相対的に認識している
必ず何らかの比較対象「準拠点」を設定し、意思決定する
売る側にすれば、顧客に何と比較させるかの準拠点設定操作が商売のカギになる
インターネットの匿名性
そこには個人はないので、そもそも個人の好き嫌いが、不特定多数の共通した人々の良し悪しにすり替わる
インターネットの普及により、個が消失してきている
ダイバーシティ概念の間違い
ダイバーシティは本来的に一人ひとりの「個人」に対するものであり、個人の好き嫌いを見過ごしている
強力な統合がなければ、本当に多様になるとマネジメントの手に負えなくなり、組織が崩壊する
みんなが「良い」とされるダイバーシティの方向に進んで行くと、結果として個別組織の個性は失われる
投稿元:
レビューを見る
とにかく、物事を「好き嫌い」で判断していく。理にかなっていることも多分にあるが、まわりをケアしようと考えるとすべてを「好き嫌い」で片付けるのはなかなかに大変そうである。好き嫌いという感情に加え、強いメンタルがあると成立する気がした。
投稿元:
レビューを見る
著者が好きな物、嫌いな物を紹介しながら、なぜそれが好きなのか嫌いなのかを書いてある本。
ただし、著者の専門である競争戦略の話も絡めて書いてあり、読み物として面白い。
印象に残ったのは、努力するより凝る事、朝型(自分と同じだけ)、シナジーおじさんよりそれでだおじさん、エネルギー保存則、など、独自観点だが納得感がある。
更にプレイングマネージャーという本の最終章を初めて知ったが、まさに本質。実績のみが語るべき事。
投稿元:
レビューを見る
・好き嫌い、と、良し悪しについて、具体例を交えながら自身の考えを記述した本
・良し悪しは、普遍的な物事の捉え方であるのに対して、好き嫌いは、個々人の物事の判断基準。好き嫌いを良し悪しにして、物事の考え方を他人に押し付けるな。
・仕事と趣味の違いは、仕事は相手(客)がいるということ
投稿元:
レビューを見る
良し悪しではなく好き嫌いで物事を捉えようというメッセージにはとても共感できた。
著者の好き嫌いについて語る、という体でさまざまな(主に経営学の)話題について思うところを述べていて、納得することもしないこともあった。何でも組み合わせれば良いものが生まれると思った丸投げする「シナジーおじさん」批判と、組み合わせではなくストーリーが重要である、という意見は私も会社での経験からなるほどそうだな、と思った。あとはブラック企業とホワイト企業が存在するのではなく、(法律の範囲内で)多彩な働き方の会社が存在するだけであり、各自性質に合うところを選べば良いのだという言説もまったくその通りだと思った。
自分がやりたいことをやりながら、それを需要のある層に当てていって仕事を成り立たせている著者はすごいし、私もそのようにしなければ今の生き苦しさはずっと続くだろうタイプの人間なので見倣いたいが、どうにも著者のことは好きになれないという感覚が読めば読むほど強くなる本だった。
投稿元:
レビューを見る
著者の物事に対しての考え方を好き嫌いの観点から著した本。好き嫌いでスパッと物事を切っているところが面白く、新鮮だった。
投稿元:
レビューを見る
あくまでも個人的な好き嫌いの話しとして聞いていただきたい、という書き出しで著者の仕事論。この人の本は重層なエピソードをもとに語りかけてくる内容になっていていつもなるほどと思わせられる。「良い悪い」との対比として「好き嫌い」の概念を持ち出す構図になっており、我が身を振り返ると「好き嫌い」を置き去りにし「良い悪い」の思考が先行してしまっていることに気づかされた、もっと「好き嫌い」を前面に出してもよいかも、と。
投稿元:
レビューを見る
人間、誰しも好き嫌いはある。食べ物にだって、仕事にだって、他人にだって。先生や親は「好き嫌はいけません」と言うが、あるんだからしょうがないじゃないか。むしろ、自分は何が好きで、何が嫌いかをはっきりさせておくことの方が大事ではないか。
好き嫌いなモノについて、思考と理解を掘り下げ、なぜ自分はそれが好きで嫌いなのかを分析し、見えてくるもの。それをこれからの仕事や人生に活かしてみようと、著者は主張する。本書は著者自らの好き嫌いを一例として語り、説明するエッセイ的ビジネスハウトゥー本。
読者としては、著者の好き嫌いに賛否あるだろう。
・「朝」は好きで、「夜」は嫌い
・「凝る」のは好きで、「頑張る」のは嫌い
・「運用→制度」は好きで、「制度→運用」は嫌い
・「プロダクト・アウト」は好きで、「マーケット・イン」は嫌い
大事なのは、自分の好き嫌いを説明できるほど明確にしておくこと。それは他人との差別化につながり、自分の次の行動の羅針盤になる。
投稿元:
レビューを見る
「あくまでも個人的な好き嫌いの話として…」
この行で始まる通り、個人の好き嫌いの話を延々と。
そんな中に時々、いい事が書いてあるのがこの本。
いくらカネを積んでも買えないのが一番強い。
そして結局のところ、それが一番カネになる。
考えるということは、具体と抽象の往復運動
すなわち考えると言うことは言語化である。
世の中にはいろいろな得手不得手の人がいて、相互補完的な関係が仕事と社会を成り立たせている。
だから他者には威張らない威張る気にもならない。
仕事の世界では自己評価は一切必要ない。自己評価は趣味の世界でやるべきだ。
自分が納得すればよし、あとは客が評価するだけ、されなければそれまで。
素晴らしい組織
目的が明確に共有されている
強いリーダーが戦略を構想し、みんながついてくる
得意技を発揮して、効率的に役割分担が生まれる
それぞれが頼りにされ一体感が生まれる
組織に終わりがある
言葉は言葉、説明は説明、約束は約束
なにも取り立てて言うべきことではない。だが実績は実在で、実績のみが実在である。
実績のみがきみの自信能力そして勇気の最良の尺度だ。
実績のみが、きみ自身として成長する自由を君に与えてくれる。
実績こそきみの実在だ、他の事はどうでもいい。
ビジネスの世界では二通りの通貨、金銭と経験、で報酬を支払われる。
金は後回しにしてまず経験を取れ。
投稿元:
レビューを見る
『すべては「好き嫌い」から始まる 仕事を自由にする思考法』(楠木建 著)/文藝春秋)vol.509
https://shirayu.com/blog/topstory/idea/8497.html
投稿元:
レビューを見る
「良し悪し」よりも「好き嫌い」。
結局「~すべき」と決めつけるより、自分が好きなものを趣味だけではなく仕事で選択する基準にしてもいいのではなかろうか、という主張の本。後半はひたすら筆者の好き嫌いを語っているので、こんな人だったのね、、という発見があり楠木先生のファンなら読んでもいいと思いますが、それ以外の方にはあまりおすすめしません。SNSでたたかれてもそれを楽しむ余裕は教授ならではではないかと…。
投稿元:
レビューを見る
過去の著書や、日頃の講演会での話が、著者の「好き」視点で実によくまとまっている。正しいかどうかではなく、好き嫌い視点を前提とすることで言いたい放題だが、深い考察と蓄積された知見に裏打ちされた真理の数々が、センス良く、そして面白おかしく飛び出すので、知っているネタでも最後まで読んでしまう。
投稿元:
レビューを見る
楠木建さん、面白すぎる。私も、好き嫌い族に入ります、っていうか以前から好き嫌い族だったことに気付きました。
それでも世の中、たくさんの人がいるし、自分の家族とさえ考えがズレることはあるので、そこは楠木建さんが言う通り、尊重したいと切に思う。
社会主義に向かっている資本主義にあるという考えも同感です。日本はある意味、完成された社会主義ではないかと以前から考えていたもので。
そういえば、この本を読んでいる途中に橋下徹さんと似てるな、と感じました。ご本人がどう思われるかは分かりませんが(笑)
投稿元:
レビューを見る
好き嫌い、と言うと、まるで子供っぽい属性かのように思えてしまうのですが、わたしはどうしても好き嫌い以外の要素で物事を捉えることができないので、もう開き直ってはいるものの、拙い要素なのだろうなあと思っていました。けれど、好き嫌い族を自称している素敵な大人もいるんだ!という、自分と全くレベルが違うとは言え、延長線上の大人としてのひとつの理想像を見せてくれた一冊。以前参加した「ALL REVIEWS書評家と行く書店ツアー」のときに購入したものです。「好き嫌い」というキーワードで購入したのですが、正解だったなー。
もちろん共感できる「好き嫌い」もあればそうでないものもあるし、わたしはもうちょっと矛盾が自分に多い気もするし、経営というよりはいまの組織に属するほうが合っていると思う。けれど考え方としてとても納得できるし、いち組織人であっても、芯のところではこう考えて生きていきたい、という姿だった。わたしにとっては変な歪みのない理論に思えた。自分の好き嫌いに沿って、他人の好き嫌いを尊重して、歪みや押し付けのない余裕ある大人になりたいな。