紙の本
アメリカの日本研究の第一人者ドナルド・キーン氏の自伝です!
2020/08/09 11:13
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、アメリカの日本研究の第一人者であり、『日本人の西洋発見』、『日本との出会い』、『百代の過客』、『日本文学史』、『明治天皇』など数々の日本に関する名著を残されたドナルド・キーン氏の自伝です。同書では、「私の人生は、信じられないほどの幸運に満ちていた」と述べられ、生涯を通して、日本文化を世界に紹介してきた著者の思いが綴られています。ブルックリンの少年時代、一人の日本兵もいなかったキスカ島、配給制下のケンブリッジ、終生の友・三島由紀夫の自殺など、思い出すことのすべてが克明に描かれています。同書では、「ニューヨーク郊外」、「少年時代」、九歳」、「ヨーロッパへの船旅」、「日本研究へ―自分の運を信じる」、「1947年、ハーヴァード大学に遍参」、「国際ペンクラブ東京大会」、「1957年夏」、「ニューヨークの三島由紀夫」、「『百代の過客』から初の伝記『明治天皇』へ」、「日本のこころと足利義政」となったテーマで、様々な興味深い話が語られます!
紙の本
ドナルド・キーン自伝
2021/04/24 21:56
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本文学研究者、翻訳者として知られるドナルド・キーンの自伝。私は日本近代文学、特に小説の翻訳者としての面を特に知っていたので、ここまで日本の古典に造詣が深く、日本以外の国の事にも詳しいとは思わなかった。
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日本文学を世界に紹介してきた著者。ブルックリンの少年時代から、日本国籍取得まで、三島由紀夫ら作家たちとの交遊など、秘話満載で綴った決定版自叙伝。
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キーンさんが、アメリカに生まれ育ちながら、どのように日本に惹かれていったかがよくわかる。コロンビア大学時代、ケンブリッジ大学時代、そして日本でいろんな人と会い、交友を深めてゆく。有名人が多い。バートランド・ラッセル、ウェイリー、マリア・カラス、グレタ・ガルボ、三島由紀夫、川端康成、大江健三郎、安倍公房、吉田健一、…。読んでいて華々しくもなる。日本文化を愛し、オペラを愛す。日本人になり、日本で亡くなったが、よい人生だったと思う。
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日本文学者として名高い著者の自伝。昨年亡くなったがその数年前に日本国籍を取得し「日本人」として生涯を終えた。著者の語りはまさに20世紀の歴史一コマとも言えるものである。
著者が初めて出会った日本文学が「源氏物語」でその美しい物語世界に魅せられ、それまで何も知らなかった「日本」という国を生涯深く探求していくことになる。
それはまだ第二次世界大戦が始まる前のこと、10代の頃である。そして終戦後、日本、日本文学、文化という未知の世界を追い求め、日本に対する情熱を元に、当時としては苦難とも言える来日、日本での勉学、生活を始めるのである。若き学者の情熱と行動力が伝わってくる。
終戦後は日本人は長い歴史に培われた日本の文化を否定し、軽んじたりする中、著者は文化の素晴らしさ認識し、研究していったのである。我々日本人でさえ、「源氏物語」を原文で読むことは難しい中、著者は日本語で「源氏物語」はじめ日本の古典を読み、研究したのである。
「日本文学」「日本文化」を海外の目で評されることは、日本人がそれを研究するのとは少し違った客観的とも言える新しい発見さえ感じられる。
著者の長年の来し方を振り返る語り口は感動を覚える。
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→「つながる読書」
https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/ee72b9d5ed744c03ef44378f14cfead5
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「ドナルド・キーン自伝」ドナルド・キーン。初出は1993のようですね。中公文庫。
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実は別のキーンさんのエッセイをふらっと読み始めたんですが、びっくりしまして。日本語が、きれいで。文章が、きれいで。こ、これは只事ではないな、と思い、その本を中断して「知ってるつもりだけどこの人、どんな人なんだけっけ」興味で自伝に乗り換えて、スルスル読了。これだけ日本語文章がきれいだと、極端な話、何を書いても読めてしまうのでは。
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1922アメリカ生まれ、2019没。
戦争前に日本文学に魅入られて、日本語を習得。その特技で太平洋戦争に従軍、戦後に紆余曲折を経て念願通り日本文学研究者として、「日本とアメリカの半々の学者・作家生活」を送った人です。
この手の自伝あるあるで、「日本文学研究者」として安定した地位を得るまでの時代のお話が面白い。戦争前後の混沌混乱の中で、そういう「夢」をあちこちにぶつかってアザを作りながらも追い続ける青年の物語ですね。
後半はもう安定しちゃうので。ご本人が分析している通り、「同じことを同じような熱量と日本滞在時間でやっている人類がほぼいない」 「ガイジンがこういうことをやっている、ということで、戦後日本のジャーナリズムでパンダ的な人気を博してしまい、著名な文学者たちが軒並み自分と交友してくれる」という好循環にはまっていきます。
なのでこの辺は、(おそらくご本人も自覚的で)「ほらあの有名な小説家とも僕は個人的に付き合ったんです、こんな人でしたよ」という話ばかりになります(笑)。
まあご本人も「結局、有名人との交流を書かないと商品として成立しないよね」という諦めもあるんだろうなあ、という筆使い。ただそれも、本当に文章が謙虚で均整が取れている。加えて衒学的にならないけど足腰の強い本物の「教養」ってのが匂いたちます。透明度の高そうな人柄が透けます(本当のところは知りませんけれど。会ったこともないですから)。
ともあれ日本文学、日本語への愛があるんだろうなあ、という好感度高し。それにこの生涯って、母国アメリカの価値観から考えたら、風変わりで数奇な人生でしょうねえ。
この人の書かれたものはおいおい楽しもうと思います。(でもこの自伝が結局いちばんなのではないかなという気もしますが)
あと、日本の、昭和の文学などに、なーんにも興味がなかったら、全般別に面白かないかもですね。。。