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紙の本
壮大なドラマの完結
2018/04/01 19:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品では『ナニワ・モンスター』で散りばめられた伏線が回収されるので、その内容がきちんと頭に入ってないと不明な点がかなり出てきてしまい、単独作としては読めません。
また時間軸としては桜宮市に建設された東城大付属のAiセンターが炎上してしまういきさつを描いた『ケルベロスの肖像』と重なり、『スカラムーシュ・ムーン』の主役である彦根新吾がその事件で打撃を受けたことが言及されるため、そちらも読んでおいた方がピンと来ると思いますが、知らなくても「そんな事件があった」くらいの言及なので内容理解に支障が出るわけではありません。同様に『ブレイズメス 1990』で登場した天才外科医・天城雪彦のモナコの遺産が彦根の戦略に重要な役割を果たしますが、そちらも知らなくても内容理解に支障はありません。
その他、「桜宮サーガ」と呼ばれる作品群の登場人物たち、たとえば『極北クレーマー』および『ブレイズメス 1990』の世良と、『ジェネラルルージュの凱旋』および『極北ラプソディ』の速水、田口・白鳥シリーズで【電子猟犬】とあだ名される加納警視正もほんのちょい役で登場します。「桜宮サーガの集大成」という位置づけらしいのですが、それなら田口・白鳥コンビもちょい役で登場させてほしかったですね。
肝心の粗筋ですが、『ナニワ・モンスター』で仕掛けた「キャメル・インフルエンザ」による浪速攻撃に失敗した警察庁が新たに吹っ掛ける「ワクチン戦争」の攻防がメインです。彦根はワクチンで攻められることを早くに予見して、ワクチン製造に必要な鶏卵を求めて加賀へ飛び、また「日本三分の計」の第一歩である西日本連合・浪速共和国独立のための資金調達のためにヨーロッパへ旅立ちます。クライマックスはAiセンター潰しでずっと敵対してきた斑鳩の部下で、今回の警察側の軍師である原田雨竜と彦根の対決となります。サイドストーリーとして加賀の養鶏所ナナミエッグの跡取り娘・まどかがワクチン製造のために有精卵製造・納品プロジェクトのためにプチエッグ・ナナミを立ち上げ、幼馴染たちの協力を得て試行錯誤する様が詳細に語られます。こちらの加賀ドラマは微笑ましい若者の成長物語でもあるので、物騒な医療界の大ぼら吹き・彦根新吾と霞が関が繰り広げる浪速攻防戦のスリルと対を成し、独特の味わいを醸し出しています。
『ナニワ・モンスター』単独だといまいちな感じでしたが、この『スカラムーシュ・ムーン』で完成する大きなドラマの前段としての重要性が両作品を読んだ後に分かります。というわけで、セットで読むことをお勧めします。
紙の本
久しぶりの海堂さん
2018/08/30 10:58
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投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は、彦根がワクチン製造を増産するため、加賀のナナミエッグに有精卵を発注する幕開け。ナナミエッグのまどか達の成長と、霞が関との因縁、モンテカルロ、大阪と忙しく飛び回る彦根。読み応え充分でした。登場人物も海堂さんの作品を読んでいる人にとっては、なじみがあるけれど、初めての人はそれなりの印象かも。ぜひ、全体像を把握するためにも、その他の多くの作品群の読み込みをお勧めします。はまります。
紙の本
荒唐無稽すぎて...
2022/07/28 08:55
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投稿者:ランディ・B/M - この投稿者のレビュー一覧を見る
橋下元大阪府知事をイメージしているようだけど、海堂シリーズにしては、話の展開や素材も荒唐無稽でリアリティがなく、読んでいる最中も読後もワクワクするものがない。ちょっと残念な作品。