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紙の本
TOBECONTINUED
2003/08/05 18:07
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投稿者:アベイズミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かった。
もちろん「面白かった」などという言葉で、この本が片付く筈もないのだけれど。とにかく今、読み切ってドキドキしている。ドキドキして、興奮して、眠れなくなっている。そして、それがとてもいい気分なのだ。
などと言ったのだけれど、私は今まで「岡崎京子」の賢明な読者ではなかったと思う。彼女の作品を読むのはいつだって、少しばかり「勇気」もしくは「努力」が必要だった。私には、分からなかったのだ。彼女がいつも書きたかったという「一人の女の子」のことが。「たった一人の。一人ぼっちの。一人の女の子の落ちかたというもの」が。理解できなかったのだ。
落ちていく様を見るのは、正直それほど辛いものではない。
それなのに、私はいつだって彼女たちを正視できない。殺伐としていく自分のココロが分かるのだ。彼女たちが落ちていく「理由」がわからない。理由などないと言うならば、そこまでの「必然」が分からない。その「背景」が分からない。その「切実」が分からない。私に分かるのは、ただ彼女たちが加速度を付けて落ちていること。その「事実」ばかりだ。(おそらく)当たり前の(ある意味)真っ当な、女の子が落ちていく。その事実が身も蓋もない。そう感じてしまうのは、私の足りなさゆえなのか。
ああ、そうです。自分の足りなさを正視するのは、いくつになったって上手くはできないのです。
それでも私は「岡崎京子」を手に取ってしまうのだ。「読みたい」「読んでおきたい」の、欲望に逆らうことは難しい。そしてその欲望を呼び覚ますのが「岡崎京子」という人なのだから。
「恐れてはいけない 選択はもうすでに行われたのだ
あたしはもう選んでしまっているのだ」
読み始めてすぐには、ばかばかしい後悔もした。読み続ける努力も必要だった。それらに打ち勝って「ヘルタースケルター」を読み終えた。最初は足早に、それからゆっくりともう一度。そして、分かったのだ。
スターであり整形美人である「りりこ」という女の子の落ちる「必然」が「背景」が「切実」が。私と一番遠くにいる筈の「りりこ」という女の子の中に、その「理由」を見つけたのだ。その発見が私のすべての違和感を吹き飛ばした。それは同時に「落ちる」ことへの「恐怖」も「憧れ」も吹き飛ばしてくれたのだ。
私は今、とても力に満ちている。それはこの本から受け取ったものなのだ。そしてそれは間違いなく「岡崎京子」その人から、受け取ったものなのだ。ここにあるのは進むことへの、選択することへの、全肯定。人の欲望は、変貌は、絶望は、止められない。留められない。それを怖がっていたって仕方がない。
だから(本当に勝手な言い分だけれど)彼女は大丈夫。きっときっと大丈夫。その思いを一人確信する私なのです。何かに行き詰まればここに、この本に、彼女自身が帰ればいいのだからと。
そして、最後に誤解を恐れずに、ここに書いておきたいと思うのだ。
岡崎京子さん。アナタはいつであれ、どんな形であれ、私たちの前に再び現れてくれるはずです。もしくは、そうせねばならないのではないでしょうか。それが、期せずしてこの本を書き始め、書き上げてしまったアナタの、運命なのではないでしょうか。他人(ここでは私を指します)はいつでも勝手なことばかりいうものです。それでも私には、この本がそういう力を含んでいるような気がしてなりません。
「スターというものがしばしばきわめて興味深くあるのは
スターが癌と同様 一種の奇形(フェノメーヌ)だからです」
岡崎さん。アナタはスターなのですから。私たちのスターなのですから。アナタの新しい冒険を、私たちはこの目で見届けたいのですから。
紙の本
テーマは古いのに表現が斬新。こんな才能ある漫画家にはぜひ復活してもらいたい。
2003/08/05 17:41
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投稿者:pipi姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いま流行りのプチ整形なんてもんじゃない、全身整形でサイボーグのように作り上げられたタレント・りりこ。彼女の崩れていくからだ・美への執着とあせりが見事に描かれた傑作。
欲望の増大が消費をあおり資本を拡大再生産させる末期的資本主義社会の病理を、力と勢いのあるクロッキー画調で描いていく岡崎京子は、ただものではない。
この作品に溢れる、生きるエネルギーへと向かわない退廃的エロスと倦怠の香りは、映画「スワロウテイル」や田口ランディの小説に通底するものを感じる。それは混沌であり、漠然とした不平不満であり、未来への不安であり、アイデンティティの喪失であり、なによりも孤独である。
ここには、身体論・消費文化論・社会意識論・アイデンティティ論を縦横に駆使する現代社会の呈示がある。岡崎京子のような才能ある漫画家が描くと、その独特の世界が学者の幾百代言よりも饒舌に現代社会の暗部をつまびらかにできる。
もしこの物語に麻田という若き検事が登場しなければ、皮相をなでただけの浅薄な作品しか生まれなかったに違いない。りりこの双子の兄のごとく象徴的に存在する麻田、彼こそが現代消費文化の一翼をりりこと共に担う権力の側の象徴だ。りりこを追いつめ断罪し、なおかつもっとも深い共感をよせる人間が、警察官ではなく検察官であるところがミソ。現場の捜査にあたるノンエリート刑事ではなく、検事というエリートがりりこの鏡像として登場するところが、岡崎京子の深い思想を表している。
なんといっても、りりこが消費文化の単なる被害者ではないところがいい。彼女のしたたかさや強さは、消費され尽くしたタレント・りりこの再生によって新たな展開=転回をみる。そのゾクゾクする端緒が見えたラストシーン、これには総毛立ったね。一筋縄ではいかないよ、りりこは。
欲望の翼で軽々と飛翔する消費社会の申し子・りりこのアクロバティックなリベンジを見たい。岡崎氏には早く社会復帰されて続編を描いてもらえるよう、切に願う。
小理屈をああだこうだとこねるより、この作品の圧倒的なパワーと毒の前にひれ伏すことにしよう。おもしろいっ。
紙の本
女性が永遠に欲しい物…「美」
2003/08/05 17:28
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投稿者:真愛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
念願の単行本化。
連載での次の展開へを待つ、ドキドキ感もいいですが、単行本としての
一気に読める、スピード感、ゾクゾクします。
「骨、目の玉、爪、髪、耳、」そのくらいしか自分の「元」しか持たない、モデルの「りりこ」。あとは全て完璧な「美」のための「改造人間」。
その完璧な美しさは、世間を虜にし、りりこは絶対的なカリスマ性を持つ。しかし、その裏側は、「美」のためならなんでもする、冷酷、自己中…りりこにとって一番恐ろしいもの、それは「自分が醜くなり、世間の中心にいない事」
そんな中、造られた体は次第に、剥がれ落ちてゆく。それだけで狼狽するりりこなのに、その上、事務所には15才の生まれながらに「美」を持ち得ている「吉川こずえ」が来る。
それからのりりこは、崩れていく体にはかなわず、入院、薬…その間、りりこの仕事も、世間も、こずえへと流れていく。当然、許せる訳もなく、荒れていく。その荒れ様は、ハンパじゃない。
しかし、そんな事をしても「美」も「名声」も戻らず、空しくなる一方。
やがて、薬の副作用で、髪は抜け落ちる、顔も体もどんどん崩れていく。そんな中、マネージャーがりりこの過去を全ての報道機関へ送った。その記者会見が、りりこの最後の仕事となり、最後に見た姿になる。しかし、姿を見たのは関係者のみ。会見前にりりこは消えてしまった。
こうした形で、りりこはまた世間の話題になった。そして、こずえ達は5年後、意外な場所でりりこに出会う。そこは…。
自分の手に入れた「美」が日々、崩れていく後半のりりこは壮絶です。読んでいるこっちも、おかしくなりそうな程。
「永遠の美」 そんなものはなく、年が流れるにつれ、それ相当の形になり、それが「生きている事」と思えますが、一度、「永遠の美」を手に入れ、知ってしまったなら、きっと感覚はマヒするかもしれません。
今の欲しい物をとても掴んでいる1冊と思いました。
紙の本
美しい女は犯罪である
2003/08/05 17:21
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投稿者:岩下さえみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
りりこは商品である。
といっても娼婦ではない。モデルだ。
社長の手によって女神のように美しく造り上げられた、時のカリスマである。
嫉妬と羨望、希望と焦躁。
りりこが狂気に支配されていく姿は圧巻である。
見ているこちらが息苦しくなるほどだ。
りりこに残されたものは何だったろう?
芸能界の黒い疑惑、美への執念、追いかける刑事。
物語にあっという間に引き込まれ、スリルは満点でハラハラさせられる。
いつまでも女豹のように誇り高くあってほしい。
誰もがりりこについてそう思うだろう。
紙の本
タイガー・リリィの奇妙な冒険
2003/08/05 17:34
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投稿者:久我忍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
女は誰しもが心の奥底で『美』というものへの憧れを抱く。
本作に登場する『りりこ』という人物は、その殆どがニセモノで出来ている。彼女は吉川こずえのように、生まれながらに美しさを持っている訳ではなく、何度となく手術を繰り返し、肉体を、そして美を維持するために大量の薬を服用し、その副作用からくる激痛に精神を蝕まれながらも、それでも自分が美しくあることを望んだ。
りりこを改造したクリニックを追いかける麻田検事は、やがてはクリニックではなく、りりこそのものを追いかけ始める。だがその追跡はひどく緩やかで、優しく、けれど容赦はない。
歳を取ることを恐れ、美の衰えを恐れるりりこ。
そして、歳を取ることはすばらしいと思う。恐れてはいけない——そう告げる麻田検事。
多くの無理を重ねたりりこの体は、少しずつ彼女が恐れ続けた滅びに向かっていった。そして、まるで体の滅びに呼応するかのごとくにりりこは追い詰められていくのだ。
りりこを追い詰めたものは何なのか?
それは彼女の悪意であり、それに端を発する周囲の人々の行為であり、そして美に焦がれ続けた彼女自身でもあるだろう。
流行というものは、一過性のものだ。
りりこをもてはやしたマスコミは、次の流行を、そしてそのまた次の流行を追い続ける。そこに終わりはなく、対象が変化するだけだ。
やがてはその時の中に、忘れ去られることをひたすらに恐れ恐怖したりりこも埋もれていくだろう。そして、いつか自分も人々に忘れられる、そしてそんな日が楽しみだと言った吉川こずえもまた埋もれていくだろう。
女は誰しもが心の奥底で『美』というものへの憧れを抱く。だが、りりこほどに『美』に憧れ、そして全てを捨ててまでそれを得ようとした人物はいない。だからこそ、この物語は——りりこは読者を惹きつけてやまない。
この物語は、『美』という言葉に魅了されたタイガー・リリィの奇妙な冒険の軌跡である。
紙の本
輝く表面と崩れる内面
2021/02/20 23:33
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファッション雑誌の表紙を飾るスーパーモデル、りりこの裏の顔に圧倒されます。熱しやすく冷めやすい、芸能界にも重ねてしまいました。
電子書籍
ファッションモデルの裏の顔
2020/07/20 07:17
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
全身整形でスターの座に駆け上がったりりこが、転落していく姿に圧倒されます。熱しやすく冷めやすい、芸能界の狂騒にもメスを入れていました。
電子書籍
王子様
2019/06/14 19:40
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投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の実力なんて、自分が一番わかってる。
それがりりこの辛さ。
王子様に見初められて、今の世界から抜け出す事を夢見て何が悪い!!!
電子書籍
消耗品
2019/06/14 19:32
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投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
りりこは、「ママ」(社長?)にとって、大事な商品であると同時に、消耗品としてしか見ていないのじゃないかな?怖い世界。
電子書籍
バージョンアップ
2019/06/14 19:24
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投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
全身整形で保つ「美」
化粧品で保つ「美」
いずれにしても、次々に手を入れなければ今の姿さえ保てないって・・・怖い。
電子書籍
分冊版でなかったら
2019/06/13 08:43
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
細切れではなく、1から3を全部一気に読んでいたら、多分、続きが気になって購入したと思います。でも1冊、1冊、細切れに確認できると妙に冷静になってしまいます。私の好みの話ではなかったからかもしれませんが。
電子書籍
好みじゃないけれど
2019/06/13 08:41
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
雰囲気も、続きも気になる本。この話がどんな感じに決着するのか、ものすごく気になります。なんていうか、人の、女の俗っぽさを極めるとこんな感じになるのかなあと、、、
電子書籍
以前、どこかで評判を
2019/06/13 08:34
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
目にして、気になっていたので手に取りました。最初はあまりに短すぎて、どうこう感想を言える段階ではないですが、それでも「引き」の強さに惹かれます。
電子書籍
整形
2019/03/16 15:03
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投稿者:とりのひよこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
全身整形で、整形崩れで精神的崩れつつある主人公。
体で芸能人としての人気をキープしてるが...
レーザーの影響で、舌癌になったと噂の、往年のアイドル。
やっぱり、人工って怖いですね。
電子書籍
ヘルタースケルター
2018/09/22 17:04
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投稿者:とりのひよこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題の映画。
映画が話題なのか、主演が話題なのか。
主演の女優さん...好きですけどねw。
作りすぎの体。
何の為に作ったのか。
続きが気になります。