生きてさえいれば
2024/02/15 16:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藻 - この投稿者のレビュー一覧を見る
春桜が入院するシーンから始まる「生きてさえいれば」。そんな中で、春桜の甥っ子・・・千景が春桜の出していない手紙を見つける。そして千景は、大阪へ。そこで出会ったのは、羽田秋葉。そこでわかる春桜と秋葉の過去・・・最後にとても泣けます。
シンプルに青春小説として面白いです。
2018/12/18 04:42
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kodakku - この投稿者のレビュー一覧を見る
「余命10年」で小坂さんの境遇を知り、大泣きして余韻に浸っているときに、こちらの作品を知りました。小坂さんが残された希望、願望が詰まっている作品なのだろうな、とタイトルから予想していました。
そのような表現、描写は多々あり、切ない気持ちにもなります。
しかし、シンプルに山あり谷ありの大学の青春物、として面白い作品とも思います。
どんな特別に見える人でも、他の人と同じように傷付き、凹まされて、その先にある「幸せ」を欲する。その「幸せ」を掴む為にどんな苦しいことも耐える。それが「ほんとうの幸」。しかし死んでしまえば、そんな「幸せ」すら掴めずに、幕を閉じてしまう。
こういった事をストレートに伝えてくれる作品だと思います。
余命10年 が悲しみを通して明日へ踏み出す力を与える作品に対して
こちらは希望を通して明日へ踏み出す力を与えてくれる作品だと思います。
終盤の秋葉と春桜の絶望、葛藤が凄まじいだけに、それらを乗り越えた秋葉と春桜の幸せを、もっともっと見たい!を噛みしめながら幸せな気持ちで明日も乗り越えていける気がします。
生き方について考えさせられた
2022/09/09 19:25
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投稿者:rin - この投稿者のレビュー一覧を見る
余命10年と同じくらい感動して、命の使い方について考えさせられた。余命10年とは同じようで違った。余命10年とは違うまた別の命の使い方でした。どっちも感動した。
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『余命10年』で文庫版の刊行を見ることなく逝去した小坂流加の遺稿です。
まさかこの人の作品をまた読めるとは思っておらず、本屋さんで早速買いました。
ほんとに嬉しいサプライズでした。
心臓を患っている春桜の人物性が、当初のイメージを裏切って、ものすごく猪突猛進で、秋葉に対してグイグイくるのにまずは驚かされます。
名前が絡んで恋が展開されるプロットがとても面白かった。
真っ直ぐすぎて怖いくらいのキャラクター性を持つ春桜ですが、その美貌のせいで表面的な部分しか見られなかったり、姉の冬月から嫌われていたり、周囲の人からの求心力のせいで秋葉との関係にも波乱があったりと、不憫に思える部分があって、だんだんと彼女の幸せを願うようになっていました。
春と冬を繋げるのは秋、この意味が徐々に明らかになると同時に、春桜のキャラクター性が、わからないながらもこの子なりの考えがあるんだなと、ひとりの人間として認められるようになってくる。
春桜をうっとおしく思っていた秋葉が、春桜に惹かれる流れや、恋に落ちる瞬間はドキドキして、爽やかな少女漫画を読んでいるような気持ちになりました。
が、ドキドキする場面ばかりではなく、春桜や、秋葉自身を巡って、ドロドロした人間心理も渦巻きます。
生々しくて、けっこう重い話もあり、主人公の苦悩は痛いほど伝わります。
作品のテーマは苦悩ではなく、恋や夢といった希望を持てるものにあるように感じます。
タイトルの意味はそこにあり、どんなに悲惨であっても、恋の先が見たいから人は生きるという生の謳歌がとても心地よい。
『余命10年』とは異なる雰囲気の物語です。
さすがに『余命10年』に比べると推敲が足りていないのかな、 と思わせるところもあります。
しかし、瑞々しい雰囲気作りは変わらずで、読み終えた後は幸福な気分に浸ることができます。
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小坂先生の遺作であるが、もし生きていればこういった生きる素晴らしさを書きたかったんだろうなと感じた。生きる素晴らしさ、生きているから出来ることがたくさんあるというのを多くの人にこの本で知って欲しい。
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【あらすじ】
生きていれば。恋だって始められる。生きてさえいれば…。
大好きな叔母・春桜(はるか)が宛名も書かず大切に手元に置いている手紙を見つけた甥の千景(ちかげ)。病室を出られない春桜に代わり、千景がひとり届けることで春桜の青春の日々を知る。学内のアイドル的存在だった読者モデルの春桜。父の形見を持ち続ける秋葉。ふたりを襲う過酷な運命とは?――。魅力的なキャラクター、息もつかせぬ展開。純粋な思いを貫こうとするふたりを描いた奇跡のラブストーリー。
【感想】
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青春小説と言うジャンルになるのだろうか、読む前は少し抵抗感あったのだが読み応えあった。もっとこの作者の作品読みたかった。
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久しぶりに心を動かす作家に出会ったと思ったのが、前作の『余命10年』。でも私が読んだ時点で既に亡くなっていたので、他の作品が読めるとは思っていなかった。ふと立ち寄った書店で新作であるこの本を見かけ、即買い。しばらく積読になっていたけど読み始めたら一気読み。やっぱりすごい持っていかれた。引き込まれた。冒頭の部分を忘れて秋葉と春桜の幸せなストーリーを読み進め、なんとなく春桜は亡くなるんだろうな・・・と思っていたところに、全く想定外の展開。不幸でいっぱいになった後に続く、幸せに方向転換しそうなラスト。もうどこを取っても最高なストーリーだった。★5つじゃ足りないくらい。
改めて、作者が亡くなっていることが非常に残念。
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余命10年に比べてほんわか微笑ましい気持ちになった〜!
腹違いの妹を持つ秋葉と両親は既にいなく、たった1人の家族である姉の冬月にも疎まれている春桜。複雑な家庭環境を持つ二人が純粋な想いを貫こうとするが、様々な障壁が…。
作中に頻繁に出てくる銀河鉄道の夜の「本当の幸い」や、りんどうの花言葉「あなたの悲しみに愛を持って寄り添う」
幸せとは何だろうか。皆が憧れる人気モデルになってちやほやされること、仕事で成功を収め金と名声を手に入れること、結婚して子供を産み、家庭を持つこと…どれも幸せの1つかもしれないが、あくまでそれは幸せの形だ。本当の幸いとは形で決めるものではなく、心で決めるものじゃないか。そしてその本当の幸いは、どれだけ悲しいことがあってもどんなに絶望することがあっても、生きてさえいればいつかは巡り合うことができる。生きてさえいれば。
「ただ一番の幸いに至るために色々な悲しみもみんな思し召し。」
嬉しいことよりも嫌なことのほうが多くて、生きづらいいまの世の中。どれだけ悲しいことがあってもどんなに絶望することがあっても、生きてさえいれば何とかなるしなぁと気楽に考えるくらいが丁度いいのかもしれないね。
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彼女を選ぶか家族を選ぶか。
彼が曖昧な事をしていたのは事実ではあるが、自分のせいで家族がバラバラになったとなると簡単に忘れる事は出来ないだろうし新しい環境も馴染めないだろうな。
彼女は最低・最悪の行動をした主犯であるのに、彼を彼女から取り上げ自らの監視下に置こうとする等やり過ぎにも程があるのでは。
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いかにも泣かせに掛かっていそうなのに、実際はいやな浮つきを全く感じさせないところ、すき。
嘘くさくなくて、元気な頃の苦甘い回想があまりにも主体になっているからそもそも難病ものでもない。
むしろ周囲と本人に見る「優れた容姿の大学生女子」。嫉妬と敬愛と欠落と執着と誤解と。
更に主人公と年の離れた妹の問題。
人間を書きたい、という創作への真摯さを感じた。
甘ったるくない期間が長いから、女々しい未練にページを割いている雰囲気でもなくて、地に足がついている。
でも終盤で極自然に大切さを痛感させられる。
きらきらもしているけれど苦みも強くて、それでいて悲観的では全くなかった。
体当たり気味だけれど、がさつではなかった。
あらすじの「純粋」も「奇跡」も「ラブストーリー」もその通りなんだけど、何だか言葉が足りないような微妙にずれているような気がしてしまった。
代わりの言葉は浮かばない。もう一歩深入りした、ぴったりの言葉で喧伝が出来たら良いのに。
闘病していたのだろう著者だから書けるドキッとする鋭さもあって、読者としてそういう「ならでは」の部分を受け取れることや、著者にとっての創作の意義が、しんと強く迫った。
一読しただけじゃ勿体なくて、特に導入の現在軸部分を改めてしっかりと受け取る為にも、読み返したいと感じさせられた。
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色々複雑に絡んでいる。絡めとられている。絡まったその中の一本をなんとか繋いでいくような小説だった。まさに生きてさえいれば。
いや、それにしても登場人物が怖い。ここまで自己主張する人ばかりで良いのか?世間はそんなものなのか?自分ならどう対処するだろうということばかり考えていた。ああそうか、人を傷つけないように無意識にしてるのかな。じゃあ、自由奔放でありたいか、と聞かれるとそうは思わない。今のままで。
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ちょっと最初から最後まで、性格のものすごく極端な人たちのオンパレードに、無理な設定だらけで、話に全く入り込めない。
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とても素晴らしい作品でした。
人間関係というのは単純ではなく、時には人間関係に悩み、苦しまされることがあります。
また、生きていると人間関係に限らず、様々な困難に直面し挫けそうになることもあります。
でも、作者が言うように生きていなければいいこともあるかもしれない。生きていなければ悲しみや絶望は克服できない。
だからこそ、今を一生懸命生きて"ほんとうの幸せ"を見つけるのだというところで、作者の人生観がとても伝わってきました。
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小学生の千景が、入院している大好きな叔母のハルちゃんの手紙を秋葉に届ける中でハルちゃんの昔の物語を知り、周囲の人たちの止まっていた季節が最後に少しだけ動き出すような物語。
物語の感想ではなくなってしまうのですが、「思いは言葉にしないと伝わらない」というのはその通りだけど、整理が出来ていない複雑な感情や言葉にすると陳腐に感じてしまう程の強い思いを伝える手段は言葉だけじゃないというのを考えさせられました。
▼ 本の中で思いを媒介していたものたち
・『銀河鉄道の夜』の「ほんとうの幸」
・りんどう「あなたの悲しみに愛をもってよりそう」
・薄紫色(りんどう色)の便箋、白紙の便箋