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構造主義的神話論。メインはシンデレラ伝説。確かに面白いんだけど、ちょっと読み易過ぎかな。。。もうちょっと歯応えがあっても良いような気がする。入門書としてはお勧め。
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「人類の思考のすべての領域を踏破する」試みの全5シリーズの1冊目。主題は「人類最古の哲学」として神話です。最初、自分には読み切れないかなと思っていましたが、時には笑いながら楽しく読み切ることが出来ました。「宇宙」とか「愛」とか「闇」とかを曖昧で面倒くさいものをしっかり内容しながら何かを構築するって素晴らしいなと思いました。 中沢氏企画のときの愛知万博がやっぱり見たくなりました。
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中央大学教授、2006年度からは多摩美大で芸術人類学を研究される、人類学者であり宗教学者の中沢先生の、中央大学での「比較宗教論」の講義録『カイエソバージュ』シリーズの第一弾。
国家や一神教が発生する前の人類(旧石器時代後期から)は、神話という様式を用いて宇宙における自分たちの位置や、自然の秩序や人生の意味などについて深い哲学的思考を行ってきた。国家というものを持たなかった自然民族の語り伝えた神話には、現実の世界とのつながりを失うことのない、素朴だが複雑な成り立ちをした論理の体系が潜在している。神話は非合理的、非科学的であるというイメージを払拭し、神話は人間が最初に考え出した、最古の哲学であると、私たちに教える一冊。
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ファンタジーを読む上で指標になっている本。
新たな批評の視点を与えてくれた。「神話の思考」に根ざしたファンタジーはどういうものなのか。いつも考えている。
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人類的分布をみるシンデレラ物語分析がなんとも興味深い。全てを疑い穿りかえす思想家だの宗教学者だの文化人類学者だのがいてくれるから、世の中は面白いのだと気付かされるのだ。
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神話は、現実の具体的な存在や事象を離れては存在し得ないもの。それは人間の五感や社会構造、自然の生態と密接に結びついている。迷信や子供っぽいつくり話と一蹴されてしまうのはいかがなものか。世界の各地で語り継がれている神話には、いろいろなエッセンスがちりばめられているというのに。
2006.01.09-17
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各地・各時代のシンデレラの話もとても面白いけれど、「最古の哲学」としての神話の考え方や有り方について書いた第1章がとにかく素晴らしかった。(20070516)
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中沢新一先生の中央大学での講義を基にした1冊。読みやすい文体は元が授業故の口語文体だからでしょう。内容は神話。最古の哲学とはなるほど、と感心しきり。シンデレラを軸にその話の展開は一気に読まされてしまうほどワクワクしました。
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あまりに面白くて一往復半で読了。
シリーズ?まであるそうなので図書館で予約しなくては。
アンデルセンよりグリムが好きな方は、もれなく楽しめること請け合い。
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面白い・・・二日で読んでしまった。
ただし、注意しなければいけない。実際に存在する神話を題材としているが、学説というわけではない。学術的な裏付けのあるハナシではないのである。レヴィ=ストロースや南方熊楠などの研究に基づいてはいるが、この話は中沢新一という思想家の、あくまで一つの、世界の捉え方であると、それだけを心の片隅に置いて読み進めれば問題はない。
僕自身、これまであれこれと考えてきた「人間の根源は何か」とい問いに答えてくれそうな気がして、中沢新一を読み始めたのである。このシリーズはまだ4冊続くが、読み終わるころにはきっと、自分の中に新しい地平が開けていそうに思う。
なお、芸術人類学研究所のHPの「芸術人類学とは」という文章だけでも読んでおくと、中沢新一の言わんとするところがより良く分かるだろう。
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人類学者の中沢新一によるカイエ・ソバージュシリーズの第一弾。
僕にとって初めての中沢新一。
とりあえず気になるところをつらつらと書いてみる。
以下ネタバレあり。
第一章人類的分布をする神話の謎
・北米インディアン版の竹取物語では両親に愛された娘は中国の纏足のように足が小さい。皆が求婚するが断り、族内婚を嫌い、熊や狐、シャチと結婚する。人間の世界で一切の媒介された状態を実現できていない。
・燕石に関する伝承はさまざまある。
・ヨーロッパの民間伝承で鳥の巣あさりがあるが、これは思春期を迎えた少年を青年が登らせて卵などを取りにいかせる習慣だが、ここで巣に手を入れてはじめて性の手ほどきが行われるといわれている。
第二章 神話論理の好物より
・アメリカインディアンは豆とトウモロコシをよく似た位置のものと捉えている。豆は睾丸、トウモロコシはペニス。柔らかい睾丸はより女性的。
・豆と燕はよく似た存在。豆は解剖学植物学的なレベルにおいて生と死を仲介する両義的な存在。ピタゴラスはそのため豆を取り入れずにいたし、同じ理由で燕を入れてはならなかった。
・ピタゴラス哲学はこちら側にはモダンの純粋主義にも通じる性格を持ちながら、向こう側には神話の世界が広がっていた。豆などを嫌っていたピタゴラスが蝶つがいの役目をになっている。これは節分でいう呼びながら払うという二重の性格を現している。つまりピタゴラスが豆と同じ働きをしている。
第三章 神話としてのシンデレラより
・現代の神話舞台は芸能界が担っている。
第四章 原シンデレラのほうへより
・民話は単調な反復を好む。
・原シンデレラは残酷な結末。姉たちは足を切り落として靴に足を滑り込ませる。さらに結婚式で小鳥に目を奪われる。
第六章 シンデレラに抗するシンデレラ より
・ミクマクインディアン版のシンデレラ「見えない人」は批判精神により作られた。「美しい」は単に見た目だけの話である、と。精神の話。
・カマドは人間と霊界を仲介する場所。
・見えない人に見てもらおうと美しく着飾っては見えない。
・最後にボロボロの娘はきれいに着飾ってもらうが、これは自然の美しさの話。それは誰もがもっている。
第七章 片方の靴の謎
・オイディプスの神話でもオイディプスが片方の足を引きずっているのは死者の領域に踏み込んでいるため。
・シンデレラは死者の領域と自由に行き来できる能力者。
・シンデレラが脱ぎ捨てた片方の靴は彼女に打ち込まれた死者の王国の刻印。
終章 神話と現実より
・神話は哲学。
・現実を失ってでもバーチャルにいくことに神話は警鐘を鳴らしている。
さまざまなシンデレラに対するアプローチは必見。
知識がつまっている。
他のいろいろな神話も調べたい。
やはり今と昔はぐるぐると回って同じところにあるのだ。
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リアル教養醸成本! 中沢新一の講座を本にしたシリーズ第一冊目。人間が考え出した最古の哲学として「神話」を探求する。世界各国に存在する酷似したプロットの神話に「隠された意味」とは? あるいは地域によって異なる理由は? など興味深い問題意識を提起したうえで、シンデレラなど誰もが知っている具体的な物語を読みながら判り易く展開されている。
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<ブックレビュー>
人類の歴史や文化、思想といったものを、「神話」という観点から大胆に読み解いていく書。講義形式なので、口語調だし、難解な言い回しもなく、学術書なのにすらすら読める。
著者は、新石器時代に起こった人類の変化を、人類史上最大の革命的な出来事であるとし、それ以来、人類は根本的な変化や進化を迎えていないという(8千~1万年前から人間の脳味噌は根本的に進化していないのだ)。
そして、その新石器時代の大変化が生み出したものこそ、神話的な思考であり、その神話的思考の原型は世界に散らばる様々な神話やおとぎ話の中に見いだせるのだとし、実際に様々なおとぎ話や神話を題材にし、その中に神話的思考を読みとり、解説していく。
本著で大きく取り上げられているのはシンデレラの物語だ。今ではディズニーのアニメが有名だが、シンデレラと同型の構造を持った物語は、世界中に存在し、中国のシンデレラやインディアンのシンデレラ、日本のシンデレラなど、ヨーロッパのシンデレラと非常によく似たシンデレラの物語が世界各地に存在するのだという。そして著者は、その物語の類似性の中に、人類の中に眠る神話的思考を見いだしていく。そのことで、人間が無意識のレベルで自然に対してどういった思想を持っていたのかを明らかにしようとする。(別にユングのいう普遍的無意識云々の影響で物語が類似した形を取るとかそういう議論はしてなくて、ちゃんと人類学的理由でその類似については説明している)
最終章では、著者による神話的思考による分析の射程は、現代日本のヴァーチャルな文化にまで及んでいる。
近現代の日本で大きな発展を遂げたアニメやゲームといった文化の分析だ。こういったサブカル的なものを、文化人類学的思想や神話によって読み解く本は他に見たことがなかったので、新鮮だった。
ただ、本書ではそれはまだまだきちんと理論化され十分に分析されているとはいいがたく、ある種の予見というか、試論とか準備論の段階にとどまっている。
(著者によると日本のゲームやアニメの文化の根底には、古くから日本人の思想の中に生き残っていた神話的思考が生きている。しかし、ゲームやアニメが古来の神話と異なるのは、神話が現実的なものとのつながりや五感が捉える現実とのつながりを保持しようとしていたのに対して、ゲームやアニメはヴァーチャルな領域だけで完結してしまっている点だ。だからゲームやアニメの体験は、現実的なものや具体的なものとの接触の中で弁証法的関係を築けない。つまり、それは快楽原則の充足のためだけに、ヴァーチャルな部分だけが肥大化した思想であり、自然の根底に触れ、それを理解しようとする神話の思想から離れてしまっている。そのことで具体的な自然的世界への深い理解やつながりは失われてしまう。と、現代のヴァーチャル文化に対して軽い警告を発している。あまり深いレベルにまで分析が達しているとは正直言い難いなと)
全体として刺激に満ちた本だし、教養としてもすばらしい体験をもたらしてくれるので、興味ある人は手にとって読んでみてもいいのではないかと思う。
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文化の大切さ、面白さを教えてくれた。シンデレラに通じる話がこんなにも世界中に広まっているとは。あと、シンデレラの話に神話的解釈が行われていること、その解釈が世界で似たものになっていることに驚きました。これが集合的無意識なのだろうか、と驚かされる一冊。けっこう読みやすい本。
また、アメリカインディアンはとても文化レベルの高い人たちだったのだなと驚いた。
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「人類最古の哲学」とは神話である。神話は感覚の論理を駆使することで、宇宙における人間の生の意味を見出そうとする始祖の創造的活動であり、ゆえに最古の哲学だ。
神話の臨界点とその役割は、空間や時間の中に散逸して、おおもとのつながりを失ってしまっているように見えるものに、そのつながりを修復し、崩れてしまったバランスを均衡状態に戻すことだ。非対称性となってしまった事象に本来ある対象性を取り戻し、現実の中で両立不能になっている対立項に共生の可能性を論理的に探り出す、決して空想ではない実際的な営みである。
「もはや存在せず、恐らく決して存在しなかったし、これからも多分永久に存在しないであろうが、それについて正確な観念をもつことは、われわれの現在の状態をよく判断するために必要であるような一つの状態をよく知る」(ジャン=ジャック・ルソー)
人間の進むべき正しい道とはなにか、神話には人の根源的な願いが込められているのだ。
太古よりの神話の思考は連綿と続き、物語として現代にも継承されている。本書では神話としてのシンデレラを扱っている。さまざまな民族にまたがるその異文としてのシンデレラ(サンドリヨン)の構造分析から見出すことができる深淵には野生の思考があることに気づく。