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ユンジェは扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない、感情がわからない高校生。小さい頃より、母に感情の表現パターンを教え込まれ、普通の子に見えるように訓練されてきた。15歳の誕生日の日、目の前で祖母と母が通り魔に襲われ、祖母は亡くなり、母は植物人間になってしまった。その事件の時でさえも、無表情でその光景を見つめているだけだった。その後、複雑な生い立ちにより激しい感情を持つゴニと出会う。ゴニとの友情、そして恋、感情のない青年の成長の物語。
淡々と描かれていますが、ユンジェが、そして彼を取り巻く人々がどうなってゆくのか、気になって気になって一気に読んでしまった。感情がわからない少年の苦労の話であったけれど、あとがきにもあるように共感の話の話でもあり、自分に関係ないことは共感の力が薄いという現実も描かれていました。ユンジェを育ててきた母、祖母のユンジェの接し方もどんな子供への子育て・教え方の手がかりの一つにもなるし。読んでよかった。「人っていうのは、自分と違う人間が許せないもんなんだよ」婆ちゃんの言葉はその通りだなと思う。嫌な固定観念は捨てたいね。
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感情を感じることができないユンジェの視点で淡々と物語は進んでいく。
初めての韓国小説だけどすごく読みやすかった。
ユンジェはゴニと出会って少しずつ、
色んなこと知りたくなったり、
少しの共感を得られたり…
ゴニはユンジェと出会って、
先入観なく接してくれる人と関わるなかで
ほんの少しずつ心を開く。
互いに互いを必要としている。
人間を救えるのは、結局愛。
社会で起きている様々な問題の多くは、共感の欠如による。
愛と共感、とても大事◎
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韓国で話題の小説の和訳本、孫元平(ソンウォンピョン)さんの作品。生まれつき脳内の扁桃体異常で感情を表せない子が愛を知り友達を知る話。大卒の母さんとばあちゃんと3人暮らしの幼少期に不幸にして扁桃体異常と指摘され、しかも彼の15歳の誕生日祝いの最中に通り魔事件で一人残されたユンジュ。喜 怒 哀 楽 愛 悪 欲を感じないので表せない彼ゆえに接する周りの人たちも戸惑うのだが、高校生になり出会った嫌われ者のゴニと何故か通い合うのだが....
なかなか良く出来た小説だけど少し劇的過ぎる展開が気にはなるのだがハッピーエンディングでほっとする♪ 映画人でもある作者だからか映像的な雰囲気の本でもありました。今の韓国の社会や暮らしも垣間見えて興味深く面白く読めました。
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生まれつき扁桃体の小さい、主人公の物語。
感情、共感、愛について考えさせられた。
心をテーマにする物語が少なくなってくる中で、心とは何かを問いかけてくれたようにも思う。
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訳者の後書きいわく、短期間に急成長した韓国は競争社会で、人より少しでも多くのものを持たなければ生き残れない。他人の痛みに寄り添うどころか、自然な感情さえ持っていては生きづらい社会の中で、共感が育つ余地はどんどん小さくなっている。それは、日本の現状とも相通じるのではないか、と。
主人公は扁桃体が人よりも小さいために、感情を感じにくい少年。少年が出会ったのは、幼い頃に両親とはぐれ愛を知らずに育った怪物と言われる少年。
物語は終始、主人公の視点で描かれている。
共感とは何か。愛とは何か。
ほとんどの人が、感じても行動せず、共感するといいながら簡単に忘れた。(本文より抜粋)
たぶん、私も忘れるんだと思う。この読後の感情も。
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この本の主人公である少年は、脳の偏桃体が生まれつき小さいため、失感情症(アレキシサイミア)と診断されていて、怒りや恐怖、喜びなど感じることができない。その少年が愛によって変わるまでの話である。
アンドロイドが心を持ったとか極悪非道の人が愛を知ったとか、そういう話はよくあるのだが、この少年の場合は、その特性は先天的であり、家族の愛に囲まれて育っている点、少年の視点で淡々と物語が進んでいく点がとても読みやすく、新鮮だった。最後の最後まで、あからさまに感動させようという演出がないのがよかった。
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失感情症の少年を語り手としているので、やたらと淡々としているが、むしろとても読みやすく情景がありありと浮かんでくる。
愛とはなにか。
この作品にもいろいろな愛が描かれていて、とても興味深い。
中高生のころに読んだらどんな感想を持ったかな。
大人になってからだけど、出逢えてよかった一冊。
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生まれつき扁桃体(アーモンド)が小さく「感情」がわからない主人公ユンジェと、親の愛に恵まれず感情を持て余す不良少年ゴニ。真逆の彼らが日々の出来事のなかで成長してゆく物語。
ユンジェの語りで進むストーリーは、彼らしく淡々としていてまるで白黒の無声映画のよう。ここはこんな色、ここはこんな音楽、、と自分の世界が広がるようでページをめくる手が止まらない。
感情とはなんなのか?共感とはどういうことなのか?ユンジェの問いは、そのまんま我々への問いかけだ。
作者の母国韓国はいままさに恐るべきほどの競争社会。貧富の差も激しく、むしろ感情に寄り添っていては生きにくいような社会。そしてそれは日本にも言えること。
うわべのつき合いが増える時代に、誰かの為に泣いたり誰かの為に怒ったりできる人はどれくらいいるのだろう?心からの共感を誰かから得られているのだろうか?
感情をもたないユンジェも、感情をもてあましたゴニも、感情に左右されず生きる私たちも、誰かからの愛を受けて生きている。ユンジェの母の厳しく強い愛。おばあさんの広くて豪快な愛。シム博士の穏やかな愛。
この本はきっと自分の周りに溢れる愛を、改めて考えるきっかけになるはず。そこに正解はないけれど、正解がない、それが正解なのだと思う。
「本当のところそれが悲劇なのか喜劇なのかは、あなたにも僕にも、誰にも永遠にわからないことだから。」
わからないからこそ、流され漂い、ときにぶつかりながら生きてゆくのだと思う。
読後もよく再読必至。中学生くらいから読める内容なので、ぜひ色んな世代の方に読んでもらいたい一冊。
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失感情症の男の子が主人公だけど、ずっと著者のあたたかい眼差しが感じられて、最後は涙涙…。社会状況が今の日本と似ているし、ユンジェくんの気持ちにもすごく共感できて、すいすい読めた。
「感情を感じられない」というのは「感情がない」ということとは違う、というところを丁寧に描き出しているのがとてもよかった。
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感情を持たない怪物と感情を持て余す怪物の物語。扁桃体が小さく、感情を感じとることができないユンジェ。少々いびつながらも幸せな家族に事件が起き、ユンジェは一人身に。高校生になり、真逆の”怒り”の感情を持て余したゴニと出会い…。
感情を持たないユンジェが語り手。読んでいるこちらも何かしらのカルテでも見ているような不思議な気持ちになった。淡々と終わるのかなと思ったら、終盤の怒涛の展開は必見。
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主人公のユンジェは生まれつき偏桃体が小さく、感情を理解することができません。学校でも浮いた存在となりいじめられますが、「いじめられる」という状況にあっても恐怖や怒りを覚えることがなく、家族(母親と祖母)との狭い世界で生きていました。
あるとき、家族で出かけたときに通り魔事件に巻き込まれ、祖母が亡くなり母親は植物状態になります。襲われているその現場でも、ユンジェは無表情に見つめていることしかできませんでした。
一人残されたユンジェは感情とはなにか、心とは何かを考えながら、生活を続けます。
そんなとき、彼の通う学校に転校生のゴニが現れます。すぐにカッとなるゴニと、怒りを覚えないユンジェ、二人が互いに刺激を受けながら成長する様子が丁寧に描かれた、YA小説としてとても読み応えのある作品です。
ユンジェの心情描写、情景描写も丁寧ですし、彼の視点から描かれる「世界(=”あたりまえ”だと私たち読者が考えて暮らしている社会の在り方)」は、不可思議で理解が難しいもので、私たち自身の”常識”を改めて見つめ直す機会にもなると思います。
夏休みなどの課題図書として生徒に読んでもらうにも良い作品だと思いますし、大人でも十分に楽しむことができる小説でした。
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悪いことが色々起こるけど、誰も「悪人」ではないと思えた。
誰もがそれぞれの事情を抱えてて、みんな一生懸命だった。
「針金の兄貴」がダビデ像のように美しかったというところがめちゃくちゃ印象に残った。
最後はちょっとうまくいきすぎる気がする。
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内容(「BOOK」データベースより)
扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」を丸暗記されることで、なんとか“普通の子”に見えるようにと訓練してきた。だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちになってしまう。そんなとき現れたのが、もう一人の“怪物”、ゴニだった。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく―。怪物と呼ばれた少年が愛によって変わるまで。
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図書館で借りて改めて読み直した。簡単に、「共感」や「感動」といった言葉を使ってきた自分自身をもう一度振り返りたくなる作品。こんなにじっくりと“感情”について考える機会をくれる作品に出会えてよかった。
まるで映像を見ているかのようか文体も魅力的で、訳文もすごく読みやすい!
先入観や安易な決めつけをやめて、じっくりと向き合つたり考えることのできる大人でいたい。
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感情がわからない少年の一人称で描かれていく物語は、とても淡々と進んでいく。それがラストへ向けて、文章が少しずつ感情を纏っていくような、その表現の仕方が面白いし巧妙だと思った。