SF小説の醍醐味満載でした。
2020/12/24 09:45
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
SF小説の醍醐味満載でした。世界観が掴めないうちは単なる空想小説くらいに思ってたのだが、徐々に最新の科学技術や最新の宇宙観と関連した話だと判るに従い面白さが急上昇。更に何かの異変後の世界と、異変前の世界の話が徐々に接近するに従ってその関連を推理する楽しみと、展開に対する緊張感が急速に高まっていく。そして絶望的と思える状況を巧みにハッピーエンド(と言えるかは疑問なれど)に結び付ける腕力にも拍手。異色の世界観に魅了されました。
しかし、この著者の作品、これ1冊しか邦訳されてないというのが何とも残念ですね。
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主人公の"彼"が目覚める場面から物語が始まる。名前がすぐに出てこないのは記憶が曖昧だからで、読者と同じ、何もわからない状態からこの物語の世界の理解が始まる。
周りも自分も記憶を失っているだけでも異常な状況だが、狭い範囲の土地しか残っておらず、それが空に浮いているという突拍子もない世界設定。
物語は、節の番号が英数字で振られている現在の話のクルー/フォーラー編と、漢数字で振られている前日譚のピーター編が入れ子になって進んでいく形式を取っている。
読み進めるごと現在と過去の双方で異常事態の理由が明かされていくような感覚で面白いのと、どちらかの編がキリが良くてももう片方は中途半端となるように作られており、次へ次へと先が読みたくなり途中で中断するのが難しい作品だった。
表紙の絵や裏表紙の概要からも、落下しながら浮島を渡っていくファンタジー寄りの冒険譚かと思っていたのだが、予想に反して物語は終始ハードボイルド。
序盤から凄惨な様子が描かれる。記憶を失い、物資に限りがある状況で非常に野蛮な行いが横行する。
過去の物語も、最初こそ平和な日常だったが、中盤くらいからは様相が変わり、苛烈な現代/近未来的戦争の世界へと変貌していく。
ピーターの話では善意が取りかえしのつかない失敗へとつながり、それを挽回しようとしてさらに悪い方へと追い込まれていくのだが、その際の心理描写も上手く「悪い予感がするのに(物語を進めるためにも)ページをめくらなければいけない」ような、胃が痛くなるような共感を何度も呼び起こした。
これは単純に著者の腕か、心理学の心得があるからだろうか。
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SF。冒険小説。
人々が記憶をなくした世界で、落下しながら世界の謎を解く冒険小説。
途中に物理学者が主人公のパートが挟まれる。
読みやすく、世界観も独特で、素直に面白かった。
この世界観にどう説明をつけるのか?楽しみ。
総評は下巻で。