ヤング・アダルト
2021/07/29 23:19
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカにおけるヤング・アダルトというジャンルを日本のライトノベルみたいなものとすることがあるが、確かにそのような作品もあるもののYAはそれでは言い尽くせない多様な作品の総称となっている。人種問題をティーンエイジャーに寄りそって描くこの小説は社会派YAの代表格であろうし、アメリカを知るうえでも、また日本の若者が差別や正義を自分の問題として引きつけて考えるうえでもいい本だろう。
声をあげるか口をつぐむか
2018/06/13 13:33
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
黒人カリルが武器も持たず何もしていないにも関わらず、白人警官によって射殺される。1番側で一部始終を見た黒人の女子高生は声をあげるか口をつぐむか…彼女の周囲を見てもやはり問題は依然としてあるんだなと思えた。少しずつでも声をあげる人が増えていき、世の中は変わっていくのかな。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
大切な人が、白人警官に射殺されてしまい、さらには、そのニュースが全く真実とは違う形で報道されてしまう。
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アメリカの諸都市で頻発した白人警官による黒人の職質→殺害事件を題材にしたYA。幼なじみのカリルがまったく無抵抗だったにもかかわらず警官に射殺されるという衝撃的な事件現場に居合わせたスター。マスコミはカリルがドラッグのディーラーだったことを書きたて、射殺されたのは仕方がないことだという論調を作りあげる。そんななか、スターは、恐怖とためらいをふりはらい、地方検事と大陪審の前で証言をするが……。
スターとその家族の前に立ちはだかるのは今も根深く残る人種間の溝だけではない。カリルがドラッグのディーラーをせざるをなかったのは、ドラッグ中毒の母親がギャングのボスからおどされていたせい。それを世間に向けて明らかにすれば、こんどはギャングたちを敵に回すことになってしまうのだ。
二重、三重のしがらみや、身近な友人たちの無理解をつきやぶり、スターは真に声をあげることができるのか。
……と、かなり重たい題材であるのはまちがいないんだけど、その実、ちょいちょいシットコムのような家族のかけあいや、ボーイフレンドとの泣いたり笑ったりもあったりして、ぐんぐん読ませる。
このボーイフレンドのクリスが、豪邸に住んでる白人の男の子なんだけど、なぜか根性もあってブラックカルチャーに理解のあるいい子なんだよね。ここらへんの設定がなんかちょっとできすぎのような気もしてしまうんだけど、ご愛敬なのかな。
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スターは、荒れた黒人街に住む少女。父親は犯罪歴があるものの、今は堅実に雑貨屋を営んでいる。スターの将来を心配する両親は、白人が多く住む地域の学校に通わせている。
地元のパーティーで、幼なじみのカリルと出会い車で送ってもらう途中、警官に車を止められなんの抵抗もしていないのに白人警官に撃ち殺されてしまう。唯一の目撃者であるスターは、カリルが極悪人に仕立て上げられていくことに怒り、法廷での証言を決心する。
現代の米国でも、やはり肌の色の違いは直感的なところで偏見をぬぐい切れていないのだという事を感じさせる。
確かにTVニュースでも、白人警官が一方的に黒人を叩きのめすようなシーンを流している。深い深いところで、ぬぐえないものがあるのだろう。
スターのような若い世代の勇気とこれからに拍手を!
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日本人は差別問題に鈍い。この社会にも絶望したくなるほどの差別がある。でも、多くの人がそれを知らない。
この本は、差別がどういうものか、どんな風に人生をめちゃくちゃにするか、どうやって戦ったらいいかを教えてくれる。
現代の私たちの武器は、剣ではない。
私たち自身の人生に裏打ちされた言葉だ。
Kendrick Lamar - Alright
https://www.youtube.com/watch?v=Z-48u_uWMHY
Ice Cube
https://www.youtube.com/watch?v=bvRc7pwnt0U
Bloodhound Gang - The Bad Touch
https://www.youtube.com/watch?v=xat1GVnl8-k
Marvin Gaye - What's Going On
https://www.youtube.com/watch?v=H-kA3UtBj4M
Prince - Purple Rain
https://www.youtube.com/watch?v=TvnYmWpD_T8
https://www.youtube.com/results?search_query=the+hate+u+give
マジョリティが人権侵害をしたとき、話を捻じ曲げて、自分が被害者に納まろうとすることがままある。
ソルト・ン・ペパー プッシュ・イット
ジュヴィナイル バック・ザット・サング・アップ
スティーヴィー・ワンダー ハッピー・バースデー
エメット・ティル
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アメリカはこのごろこういう小説増えてるな。
数年前アカデミー賞受賞者が白人ばかりと批判されてから、ハリウッドはかなり有色人種を意識して作っているので、これも映画化されそうだな、と思ったら、やはり。
主人公が黒人、恋人は白人、親友は中国人、テーマは「差別と闘う」。ハリウッドが飛びつくでしょ。「Everything Everything」も「サイモンVS人類平等化計画」も白人と黒人のカップルだったからこそ映画化されたと思う。
これは白人警官が無実の黒人を射殺する(あるいは暴行する)という、今まで数えきれないくらい起こってきた事件を題材に、現代でも当然のように存在する差別と、それに立ち向かう人々を描く。特に黒人がいかに「まともな」人生から遠ざけられているか(きちんと勉強できる学校に行けない、高収入や地位の高い職に就けない、挙句ドラッグの使用者か売人であるギャングになってしまう)がよく描かれている。主人公はゲットーに住みながらも、母の希望で白人がほとんどの進学校に通っているが、学校では本当の自分を隠し、学校に合わせた態度をとっている。だから幼馴染が目の前で射殺されても、すぐに立ち上がって闘うのではなく、どうすればいいのか葛藤する。そこが、なかなか良かった。はじめから勇気ある行動がとれる人は少数派だ。
事件のせいで暴動が起き、関係のない商店の商品が略奪されたり、批判した人が暴行されたりという負の面もきちんと描いている。
読み応えのある作品であることは間違いない。でも、小説は映像化できない部分があるから面白いので、この作品は映像化可能というか、映像化されるために作られた感じがして、そこが個人的にはつまらなかった。
映画の主役は「Everything」の主役と同じアマンドラ・ステンバーグで、この若くて秘めた力のある主人公にぴったりだなと思う。映画も見てみたい。
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声を上げることが大事だ。
私の武器はこの声だ。
たとえ上手くいかないことがあっても、いい行いをし続けるんだ。
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2018やまねこ翻訳賞2位。
地の文が全編ティーンエイジャーのため口調でとても物語世界に入り込めず、断念。
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アメリカの人種差別を題材にしているのに、そのまま日本のスクールカーストにも置き換えられる物語。
”なぜかいつも決めるのはヘイリーで、マヤとわたしがそれに従うはめになる。別に好きでこうなったわけじゃない。そういうのって、たいてい自然に決まってしまう”―――そうなんだよ、自分が望んでるわけでもないのにそうしてしまうんだよ、止められないんだよ、止め方がわからないんだよ……共感することばかりで、揺さぶられる。上っ面じゃなくて心の動きにシンクロするから、自分がどんな人間でいたいのか腹の底から考える。
読んでよかった。
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黒人のコミュニティで起きたある悲劇がこの物語の主題である。日本に住んでいると実感が湧かないが、アメリカの人種間は一言でいえば「断絶」している。奴隷時代から続く怒りや憎しみももちろんあるだろうが、もうお互いに理解することはないといったある種の諦めがアメリカ全体を覆っているのだろう。本書もその例外ではなく、黒人=善、白人=悪のような単純な二元論では説明のつかない、アメリカの「宿痾」が垣間見える。黒人の主人公・スターとその家族や友人たちは皆魅力的で、何気ないやり取りの中に垣間見える愛の深さに、強い憧れを持った。『正しい行いをしていても、うまくいかないときはあるわ。大切なのは、それでも決して正しい行いをやめないことよ』。スターはその言葉通り、勇気を奮い立たせて行動する。その姿に、魂を揺さぶられるような感動を覚え、何度も涙しそうになる。彼女はアメリカの暗闇をも照らす一筋の光、まさに「スター」と言っていいだろう。この物語の示唆するところはとてつもなく深く、そして重い課題ではあるのだが、流行に敏感なティーンであるスターと、そのボーイフレンド・クリスとの等身大のラブコメディとして読んでも面白い、出色の一冊である。
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正しく評価されるわけではないところがキツいけれどもこれがYAというか、実感の伴った現実なんだろうなと感じた。
友情関係も続くものと続かないものがある。相手が変わらないであろうことを示して、ちゃんと手を切る描写ができるの、感心した。今後もしかしたら仲直りすることもあるのかもしれないけれど、とりあえずこうなって当然のことをされたと思う。
文化的な部分に、よくわからないところが多々あった。音楽も聴いてみたかった。映画になっているというので、見てみたい。
もう少し版型が小さくて、持ち運びや片手読みに便利だとよかった。
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高校生の黒人女子・スター。ギャングの町に住む。スターと一緒にいるときに幼馴染カリルは白人警官に射殺される。無抵抗であったカリル。警察はこの行為を正当化しようとする。カリルには悪い噂があったが、スターは真実を語り、カリルの汚名返上のため声を上げる。ボストングローブ・ホーンブック賞受賞作であり、日本では2019年高校生向けの課題図書。アメリカの社会問題を映しだす。
人種差別と戦う黒人少女の物語、ヤングアダルトのジャンルで、言い回しとか文化とかよく訳されていると思いました。スターの恋人、白人であるが勇気を持って行動しているし、若さ感じる内容だし、しっかりと登場人物たちが描かれていたのが良かったです。そう、何よりも若い目線で、暗くならずに社会問題に取り組んでいたのです。
日本にいるとこの物語のような人種差別などあまり見えてこない(少なくとも私の住むところでは)、しかし、海外に行けば肌で感じるかもしれない、でも現実に起きてる事、自分でもありえること読み進め、正しいことを続ける、やめないということの大事さの力をスターに伝えられ、得るものは少なくなかったです。
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私は、立ち上がる。
パーティの帰り道、一緒にいた幼馴染のカリルが警官に射殺された。元ギャングの父、看護師の母、異母兄のセブンといった主人公スターの住んでいるガーデン・ハイツのコミュニティと、伯父カルロスやウィリアムソン校に通うボーイフレンドのクリス、同級生のマヤやヘイリーのコミュニティ。事件の目撃者となり、また二つのコミュニティで異なる事件への反応の間で葛藤するスター。ドラッグや銃、差別が身近な中で、スターは大人たちから、友人から、自分を何によって立たせ、守っていくのかを学んでいく。
読書感想文の課題図書であり、人種差別に焦点を当てた物語である。主人公スターの身近な存在の白人として、ボーイフレンドのクリスと、同級生のヘイリーの態度の違いから、差別について書くことができそう。
スターは、親しい人を亡くしたという共通点から、ヘイリーに近さを感じ、また、共通するものを愛する友人としてヘイリーを見ていて、もう一人の同級生マヤと三人で仲良くしていた。母親から見れば、ヘイリーに合わせていた部分があったようだが、友情は上手くいっていた。しかし、スターにはヘイリーに引っかかりを覚える部分もあった。SNSで差別に関する主張をした後、ヘイリーがフォローを外したことだ。カリルの事件を機に、差別について、自分を取り巻く環境について、意識を新たにしたスターと、マイノリティへの無理解を改めないヘイリーの考えは歩み寄れないまま、スターはヘイリーとの決別を選ぶ。
一方、ボーイフレンドのクリスに対して、スターはなかなか自分のアイデンティティや深い考えを表現出来ずにいた。ウィリアムソン校の中で多かれ少なかれ、自分を演じていたスターだが、クリスの前ではより自然な自分を出せると感じていた。それでも、演じている部分はあったと気付く。事件をきっかけに大きく揺らぐ日々の中で、クリスに対して、「いつもどおりの日常」の象徴を求めていたスターだが、彼女が感情を乱されている大きな問題について、クリスは無視をせずに踏み込んだ。
クリスの良かった点は、変な同情や独りよがりの解釈をせず、わからないがスターと共にいたいので知りたい、と主張したところだ。スターがどうしても感じずにいられなかった黒人であること、事件の目撃者であると知られることで態度を変えられてしまう恐怖に対して、クリスは受け止めると言い、また態度でも示した。人種は障害になるかもしれないが、それ以前にスターを大事にする姿勢が見えて、スターにはボーイフレンドを見る目があると思った。
どうしても、白人と黒人の問題というと、上手く身近に落とし込むことができない。そこまで露骨なヘイトを感じたことがない、感じられていないから。それは鈍感かもしれない。ヘイリーのように、触れたくないのかもしれない。しかし、大切な人の問題なのだと知った時、クリスのように自分ごととして、等身大で真摯に受け止められたらと思う。想像するだけで、相手の気持ちはわからない。だったら、問うことを、思いやることを、それだけだけど、心がけたい。そして、一緒に怒りたい。変えるために立ちあがりたい。当事者に���ろうと、当事者になれなかろうと。
親の愛情という視点でも書けそう。父マーべリックに焦点を当てて、親の愛情であったり、自分のアイデンティティの守り方であったり、誇りについてであったりを書いても面白いかなと思う。
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なかなか厳しい話だったけど、ちゃんとやっていこうと、おかしいことはおかしいと言っていこうと思う人はちゃんといて、物事は変わることができるんだと勇気を持てる話。