紙の本
少し怖い
2020/08/16 11:50
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
そんな気もするが、死者の想い、無念などにも寄りそいとむらう感じが良い。悲しいだけでなく、なんか生き方の参考にもなりそうです!
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
弔い段取りの颯太、 棺桶職人、死化粧人、 坊主、雑用の訳あり人が揃って営む“葬儀屋”の江戸を舞台にした連作短編集。周囲には敬遠され孤立してしまうが絶対的に不可欠な仕事である“弔い”を通して、過去に負った傷をもとに死者と生者の双方に寄り添う一見クールな主人公の思慮が酷く切なかった。
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梶よう子さんのファンなれど、さすがに弔い話がこうも並ぶと気が沈む。いずれも死に目があまりに悲しい。江戸期にこうした葬祭業があったものやら分からんが、少なくとも葬儀屋傘下に医者と坊主がいるってのはないだろう。棺桶職人を含めて、それぞれが独自の死生観を秘めて颯太のもとで職分を果たす。一人ひとり好きなんだけれど、やはり弔い続きは辛い。
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初出2017年「読楽」の6章
残された者のために弔いはあるのだと、あの世は信じない若い弔い屋(葬具貸し)の颯太は言う。
最初の若い女の水死体のときは謎解きが中心で、原因を作った男を追い詰める。ミステリーなのかと思いきや、次は別々に続けて死んだ3人が幼なじみだったことがわかっていく話。謎解きには違いないが。
3話目からは弔い屋の雇い人や仲間たちの過去に関わる話で人情話っぽくなる。
棺桶職人の勝蔵が腹違いの妹のお産のために作った産湯のたらいが、死産の子供の棺桶になる。寺に属さない僧の道俊の親代わりだった長屋の儒者角松が死に、世話になったかつての長屋の住人達が長い弔問の列を作るのを見た大名お抱えの儒者が、かつてのライバルに罪を告白する。
寛次郎は紙問屋の父を後妻と番頭に殺され、係累と店を失いぐれていたところを颯太に拾われた。その颯太は隠れ淫売の居酒屋に売られ、3人の女たちと蔵に閉じ込められた時に火事にあい、颯太だけが助かって、助けた鳶の世話で弔い屋になっていた。弔い屋はのそ跡地にあり、地面の下には3人の骨壺がある。
この話は続くのだろうか。
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連作短編6編
とむらい屋として生きる颯太,周りの医者,坊主,棺桶職人などの関わりと弔いに関わる厄介ごとなどを,さばさばと描いて奥にしみじみといった感情がのぞく.生きる死ぬという事に揺るがない信念を持つ颯太の姿が清々しい.
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3.8
とむらい道具を貸し出す装具屋であり、弔いの一切を取り仕切る「とむらい屋」を生業とする主人公・颯太と、彼と共に生きる個性豊かな、そして深い悲しみを湛えた者達の物語。
第一章
死んだ妓の願いの為、舟で亀戸へ向かう途中、船頭の櫓に入水死体が掛かる。
一見心中に見えるのだが…
やがて手首を縛ったしごきから娘の身元と奉公先の君津屋が浮かび上がる。
第二章
浅草寺で行き倒れた遺体には衣服も荷物もなく、唯一身に付けていた守り袋の巾着からは、古びた独楽の紐と住所の書かれた紙片が出てくる。
やがて遺体の主は上訴の為に江戸を訪れた老人で、江戸の生まれである事がわかる。
程なくして依頼された老母の弔いの最中、遺体の首からやはり巾着に収められた独楽が見つかる。
第三章
勝蔵の腹違いの妹・おこうがおめでたになるが、嫁ぎ先の姑に酷使され流れてしまう。
兄であることを隠し幾度も様子を見に行っていた勝蔵は、子供の為に盥を造る約束をしていのだが…
第四章
道俊の師とも仰ぐ恩人の儒学者・角松の死期が迫るが、道俊に読経も引導も一切の関わりを拒みこの世を去る。
葬具も棺桶も樒もない葬儀に、延々と連なる弔問の列。 在りし日、極貧の長屋で読み書きから四書五経までを授けられた人々だった。
蔑みにやって来た同門の出世頭・上田はその列を見て…
皆に内緒で、そっと覗きに行く颯太が優しい。
第5章
寛次郎の両親の死の真相は、
実の母が密通の発覚から父を殺し、母自身も死罪となった悲惨なものだった。
それ以降、寛次郎を育ててくれた恩人・おたまの訃報がもたらされ、誰も身内のいない弔いに駆けつけた寛次郎のみたものは…
第六章
颯太らの店の近所・瑞泉寺から出火し大火事となり、皆で避難する中で呼び覚まされた過去の記憶。
颯太がまだ惣吉と名乗っていた頃、居酒屋を騙る遊女屋で小僧をしていた頃の記憶だった。
突然の恩人との邂逅…そして別れ
◯おちえ・・母の弔いを颯太にしてもらって以来居座り続ける十六歳の娘。
◯道俊・・寺に属さない一匹狼の坊主。読経の声がすこぶる良い。
◯巧重三郎・・とむらい屋に入り浸る医師。実は南町奉行の縁戚。
◯勝蔵・・棺桶作りの職人。元は腕の良い桶職人だったが妻の死に際し最初の棺桶を造る。
◯小平・・勝蔵の弟子。
◯寛次郎・・とむらい屋の雑用係。
◯韮崎宗十郎・・南町奉行所の同心。
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ギブアップした。
※追記
題材が題材なだけに、自分が落ちている時には読まない方がいい。
ただ再読はしたい。
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江戸時代版「葬儀屋」の物語。
『とむらい屋』の人達が心を込めて死者を送り出す姿が描かれていて、1話1話なんだか心地よく感じました。
『とむらい屋』を営んでいる主人公の颯太は「弔いは残された者のためにある」と話しています。これまで深く考えたことはなかったけれど、亡くなった人との別れの儀式であるので、この颯太のセリフに共感しました。また颯太がとむらい屋になるきっかけとなる出来事が書かれていて、そう思う理由が更にわかります。
人には様々な人生があり、その数だけ死があって、そのさまを江戸時代の葬儀屋として非常に興味深く描かれている作品で、文章も分かりやすく、面白かったです。
続編がでたとのことなので、是非読みたいです!
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L
葬儀屋の話。人の死あっての葬儀のわけでちょいちょい泣かせる。葬儀屋の面々それぞれの成り立ちの話。よくある構図だけど題材に沿ってるから軽くない。のかな?なにげにご都合話も多かったけど、ご都合ないと盛り上がらないもんなぁ。
メモ
颯太
おちえ
重三郎 医者
道俊 僧
勝蔵 正平 桶職人
韮崎 南町同心
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今で言う葬儀屋の話。
タイトルにある颯太がリーダー、化粧や湯灌、お供えの団子作り担当のおちえ、棺桶作り職人の勝蔵とその弟子正平、雑用係の寛次郎、医師の重三郎に僧侶の道俊というチーム。
それぞれが家族や大切な人を失っている。
一見蓮っ葉なように見えて世話を焼く颯太が、同心の韮崎に無理やり引き込まれて死人の謎を解く話あり、それぞれの死人や残された人々の思いを汲み取る話あり、メンバーに関わる人々の話あり。
葬式もそれぞれ。
慎ましくも多くの人々が列を成すほど慕われたことが分かる葬儀。
本人の弔いではなくて店の宣伝のための葬儀。
生まれたばかりで逝ってしまった赤子のためのしめやかな葬儀。
テンポよく読めたが、葬儀の話なので仕方ない部分はあるが暗い。暗い割には印象は薄い。
宮木あや子さんの「セレモニー黒真珠」くらいぶっ飛んで欲しいとは思わないまでも、もう少しキャラクターに深みと魅力が欲しかった。
もしかしてシリーズものとして考えているのだろうか。
好きな作家さんだけに期待値が高かった分、ちょっと残念。
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梶よう子さんの「とむらい屋颯太」
先にこのシリーズ2冊目の「漣のゆくえ」を読んだので、一冊目を読みたくなって読んだもの。
亡くなった時にはこのようなとむらい屋さんに送って貰いたいとつくづく思う。
今日は、現役最後の職場での私の前任者の通夜が行われる…。
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タイトル通り“弔い”を生業とする颯太と、彼の仲間たちを中心とした六編の連作ものです。
個人的な事で恐縮ですが、昨年身内を亡くした時、心身共に疲弊しているのに、やらなあかん事は多いという状況で、慣れない(そら、慣れないわ)葬儀をテキパキ仕切って頂いた葬儀社の方には大変お世話になりました。
このように、必要とされている職業ではあるのですが、本書では江戸時代という事もあってか、世間から“不浄”呼ばわりされてしまっている部分があります。
颯太がどこかクールで淡々としているのも、その辺からなのかな、とつい考察してしまいます。
各話、様々な背景の死に様や送り方があり、豪商で故人の遺志関係なく宣伝を兼ねたド派手な葬式もあれば、第四章「儒者ふたり」の手習いの先生のように、貧しさ故きちんとした式はできなくても、皆に慕われて行列のできる“別れの式”があったりと、まさに十人十色です。
そして、ある意味“死体のプロ”ともいえる颯太は、定町廻り同心の韮崎さんにも何気に頼られて、不審死の謎解きを手伝うはめになる場面も・・。
そんな颯太の壮絶な幼少期が描かれている第六章「火屋の華」は胸にせまるものがありました。
颯太だけでなく、“とむらい屋”のメンバーは其々“抱えているもの”があり、本書でも紹介がてら、彼らの事情にさらっと触れています。
続編も出ているようなので、そちらも読んでみたいですね。