歪んだ信仰心が生んだ悲劇
2019/11/24 00:23
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投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作品で個人的に最も印象に残ったのは、田舎独自の変化を遂げた信仰を崇拝する人々だ。
独自の信仰がもたらす風習や文化にどれほど倫理的な問題があろうと、自らの信仰を正当化し、その信仰を否定する者を容赦なく排除する狂信的な集団を、著者は上手く描いていた。
また、信仰の根幹となる現象を誰もが知る「生まれ変わり」という都市伝説に設定したのも良いと思った。誰もが知る都市伝説を根幹に据えることにより、すんなりと物語に入り込めるようにするだけでなく、その現象がどのような弊害を及ぼすかという点に読者の興味を引き付けることが可能である。
話のテンポも良く、途中でだれることなく読み切ることができた。
しかしその一方で、個人的に良いとは思えなかった部分が3点ある。
1つ目は、物語の展開を先読みできてしまうことだ。
登場人物が次にどのような行動をとるか、登場人物の関係性など予想できてしまう箇所が多々あった。
2つ目は、恐怖を抱くことがなかったことだ。
寄合衆の気持ち悪さや不快感を抱かせる描写は良かったが、物語全体を通して怖いと感じる場面は無かった。襲撃されるシーンも特に斬新な描写はなく、どこかで読んだことがあるような場面が多かった。
3つ目は、主人公の心理描写が冗長だったことだ。
様々な危機的状況に遭遇するたびに主人公の心理描写があったが、あまり効果的だとは思えなかった。
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投稿者:まかゆら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホラー好き
あらすじを読んで気になったので購入
予想通り面白かったです
同じ作者様の他の作品も是非よんでみたい
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あの津山事件とよく似た冒頭の事件記事の因縁に生まれ変わりの村という閉鎖された舞台、タイサイサマを信じる村人の狂信性、村が抱える後暗い秘密が上手く組み込まれ、気づけばこの作品の世界にすっかり没頭していた。
村の臨月の妊婦が臨む儀式も嫌悪感大だけど、何より自分の産んだ子が村の死んだ誰かの生まれ変わりとかホントにショックが大きいなぁ。母親の立場だとゾッとする。
次はどんな恐怖がくるのか楽しみな作家さん。
山羊原麻織という淡々とオカルトに対峙していく強く凛々しい謎めいた女性も気になるところ。
おもしろかった!
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強いていうなら生まれ変わり信仰と大量殺人事件の要素がいまいち噛み合ってないような気がしないでもないけれど、絶妙に気持ち悪く、田舎の因習が描かれたホラー。
山羊原さんは他の作品にも登場するのかな?と思えるような濃いキャラクターと、まだ何か隠されていそうな雰囲気がありますね。
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話の展開が早く、一気に読める物語。
物語というよりなぜかもっと近く、身近に感じてしまうような不気味さに、一瞬「ノンフィクションか?」と思ってしまう。
村の信仰、しきたり、この日本のどこかで本当に起こってることだと錯覚し、読む手が止まらない。
いや、もしかしたら錯覚ではなく、本当の出来事なのかも…
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結婚の挨拶のため婚約者の故郷を訪れてみると、そこには奇妙な儀式や因習が根付いていた。生まれ変わり伝説に拘る村の人々。夫婦に子供ができたことで否応なしに彼らは村に囚われていく…。横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞らしい雰囲気はしっかりと持っていますが、私はあまりおどろおどろしさは感じず、残虐シーンも含めさらさらっと読んでしまいました。よくできていると思うので、何かもう少しガツンとくるものを期待していたのかも。シタイの山羊原の過去に何かありそうなのでシリーズ化するなら是非読みたいです。今後の作品に期待します。
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津山三十人殺し事件を彷彿とさせるホラー。
輪廻転生が実際に起きていると言われる九州にある村。
言葉の感じからして宮崎あたりをモデルにしたのかな。
怖かったかどうかは置いておいて、
民俗的要素満載で私は好き。
これがデビュー作とは凄い。他の作品も楽しみ。
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横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞作。因縁深い閉ざされた村、謎めいた儀式、そして起こる惨劇。こういう要素が大好きなら一気に取り込まれてしまうこと間違いなしのホラーです。
冒頭からいきなり「津山三十人殺し」のような過去の事件が語られ、これだけでもうわくわく。そして期待にたがわず進む不穏すぎる物語。うわー、もうこういうの大好きとしか言いようがありません。ハイスピードでぐいぐい読まされました。「生まれ変わり」の伝説があることによる死生観の違いは、当事者にしてみれば穏やかにも思えるのかもしれませんが。部外者からしてみればとんでもなく不気味な部分もあって。主人公と村人たちとの温度差が実に切実に怖さを感じさせられます。
そして後半からのまさかと思えるほどにパワフルすぎる展開に絶句。だけど怖いばかりでもなく、しんみりとさせられる部分もあって、読後感は悪くありませんでした。
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彼女の実家へ結婚の挨拶に赴いた祐二。嫌がる乙瑠を不審に思いながらも、これからの未来に希望を抱いていた。挨拶も無事に済み、宴会で酷く酔った祐二は、ふと深夜に目を覚ます。そして、親族に誘われるがままに、異様な儀式に参加させられてしまった。
***
「おどろしの森」の作者の前作「お孵り」卵を抱いた虚ろな目の女性の表紙に惹かれて購入。あらすじは読まずに買ったが、閉鎖的な村、そこで脈々と受け継がれる信仰、そして過去に起こった悲惨な事件など大好物のオンパレードで読んで大興奮。さらに、その信仰に伴う狂気的な儀式やそれに支配されている村人など兎にも角にも素晴らしい。生まれ変わり信仰という超常現象部分もあったが、実際に起こった「津山三十人殺し」がモティーフとした事件が作中でおこったり、それが繰り返されたりとオカルトホラーよりサスペンスホラー色の強い作品だった。そのサスペンス部分が主人公の婚約者である乙瑠の生まれ育った「富茄子村」で脈々と受け継がれている土着信仰とマッチしておりよかった。どっちの設定が抜けても多分面白くなかったと思う。愛した者と結婚し、子供をもうけ、幸せな家族像を想像していた主人公と乙瑠。その幸せが村の身勝手な信仰によって壊されていく様は読んでいてつらかった。村のなかで生まれ育ち、信仰を何の疑いもなく続けている人ばかりなのが原因なのだろうか。私たちが持ち合わせている価値観や倫理観に反する理屈ばかりをこねる人間ばっかり出てきてげんなり。乙瑠の親族ですら、乙瑠の幸せを積極的に壊してきてびっくりした。普通ならこんな風習に巻き込まれた娘が可哀そうとか、孫が可哀そうとか問ういう事になりそうなのに……。これが、集団心理というのだろうと思う。昔から大多数がやっていたことだからか、やっている本人たちは悪いことをしているという気配はかけらも見せない。そういう所も嫌悪感がすごい。 村人や乙瑠の親族によって完膚なきまでに叩きのめされた主人公が、これからどうなるのか、救われるのかとそればかり気になって読み進めていった。途中でオカルト専門の公安に勤める女性が出てきた時は、「あれ? 特殊部隊とかそういう方向に行くのか?」と思っていたがこの女性が主人公を的確に助け、導く役を担っていたので非常に良かった。というかこの女性がいなかったら多分主人公ではどうにもできなかったし、何も知ることができなかっただろう。村に二人で乗り込んだ際も、この女性なしではことがまったく進まなかったに違いない。 そして、村に乗り込んだ後の物語の展開はすさまじいものだった。読み進めていくと、昔この村で惨劇を起こした男の転生先が誰であるかは何となく察していたが、いざ現実を突きつけられるとかなりショックだった。そうだろうけど、そうじゃないほうが良かったなぁ。 ラストも衝撃的で、この事実は喜んでいいのか悪いのかがわからなかった。
この小説の怖い所は、信仰している人間が狂気的なところ。こういう宗教が絡むオカルト話は、信仰されている対象が自分のために村人を使役したりしそうなものだが、この話はそうではなく、信仰している側が「生まれ変わるためにはこうするしかな���!」という思い込みの元行動している。別に神様が「こうしないといけない!」とお告げでいっているわけではないにも関わらずである。人間を生まれ変わらせる”だけ”の神様を信仰する側が、欲のために歪んでしまった結果がこの話だろうが、案外現代にもありそうで怖い。
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かなり面白かった。面白すぎた。グロかったりえげつなかったりするけれど、主人公が素朴にいいやつなところが読んでて安心感あるし、結末も好き…
山羊原さんシリーズとしてさらに読み続けたい〜
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そういう展開かな?と途中から勘付いてしまったけど、独特の風習はやはりぐっときます。
ハッピーエンドでよかった。
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第39回 横溝正史ミステリー&ホラー大賞・読者賞受賞
帯に、ジェットコースター・ホラーと書いてあるとおりに、
読み始めたら止まらなくて一気読みでした。
橘佑二は、結婚の挨拶のために婚約者・乙瑠の故郷の村を訪れて、
そこで行われていた異様な儀式に言いしれぬ恐怖を覚える。
村には生まれ変わりの伝承があり、
村人が崇拝する神もまた、誰かの身体を器として生まれ変わるというのだ。
その後、出産は、この村でしなければならないという決まりに従って、
男の子を出産したが、そのまま母子とも囚われてしまう。
果たして、佑二は家族を取り戻せるのか?!
横溝正史の「八墓村」を思い起こさせる、
一晩で33人も殺されたという
猟奇殺人事件の新聞記事から始まる、この物語は、
怖い!恐ろしい!。。。でも読みたい!
と、夢中にさせてくれて、面白かった!
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ホラー大賞読者賞だそうな。
読者賞を取る作品は、エンタメ要素満載で読みやすい作品が多いけど、これもそんな感じ。
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主人公の佑二は、結婚の挨拶のために婚約者・乙瑠の故郷の村を訪れ、そこで異様な儀式を目撃する。その村は、生まれ変わりの伝承があり、独自の神を信仰している閉鎖的な場所だった。
以降村からは距離を置いていた2人だったが、乙瑠の出産の為やむを得ず村を再訪。だが、生まれた子供は村の神、「タイタイ様」として囚われてしまう……。
生まれ変わりの伝承と独自の神を信じる閉鎖的な小村を舞台に、その伝承にとらわれた妻と妻子を守りたい夫の悲哀と惨劇を描くホラー小説。
民俗学×信仰×ホラーと個人的に好きな要素が詰め込まれており、楽しんで読めました。
作中の村では、生まれ変わりを信じているが故、死というものがかなり軽く扱われています。身内が死んでも、信仰が厚ければまた生まれ変わってくるから、と。そんな死生観の違いが狂信という域にまで達し、己の身に降りかかってくるとなると、とても恐ろしく感じます。
けれど、それでも愛した人や家族にまた会えるなら、再度生まれなおす事が出来るなら。誰しもそんな神を望んでしまう、そんな閉鎖的な体制の維持を望んでしまう可能性があるのかもしれません。
また、主人公がきちんと良い夫であり、父であったところも好感が持てました。普通の人なので、何か荒事とかがあると全く対処できないというかむしろ足を引っ張っていたりはするんですが、そこが逆に巻き込まれた一般人ぽくて良く、どんなにつらい思いをしても妻と子供を守りたい! という気持ちだけは一貫していて、応援したくなります。
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大変読みやすく、サクサク読める本です。
オカルトものですので、ツッコミどころもあるとは思いますが、頭を使わずに本を楽しむことができました。
残酷な表現はありますが、それを上回る面白さがあるので、軽く読みたい時におすすめです。