『クローバー』や『波打ち際の蛍』などの話題作で知られる島本理生氏の傑作です!
2020/07/27 09:26
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『クローバー』、『波打ち際の蛍』、『シルエット』、『リトル・バイ・リトル』、『生まれる森』などの話題作を次々に発表されている島本理生氏の傑作です。中公文庫からは上下2巻で刊行されおり、同書はその下巻です。同書は上巻に引き続き、故郷でのおぞましい体験から逃れるように、黒江は憧れのカメラマンが住む東京へ向かいます。師匠の家に住み込みながらアシスタントとして一歩を踏み出すのですが、不意によみがえる過去の記憶が、再び心を通わせはじめた初恋の相手・彌生との関係にも暗い影を落としていきます。一体、黒江はどうなっていくのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
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下巻は高校中退して、東京のカメラマンの家に転がり込んでからの話。
カメラアシスタントとして、少しずつ腕を上げる一方で、昔の恋人との再開や、父との再開、母の事件で大きく揺れ動く。最後は海外留学へ旅立つけど、過去のトラウマを乗り越え、また一回り強くなって戻ってきて欲しいと思った。
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久しぶりに島本作品に☆5つけてしまった(笑)
主人公の心の闇の部分というか、理解不能な行動にはなんかイライラしたけど、ラストでちょっと理解できて仕方ないのかな、とか考えたり。
ハッピーエンドが好きなんで、彼と戻ること期待したけど…。
まあ、久々によかったです。
読後感すっきりな作品ではないけど、またいつか読み直そうかな、と思える作品でした。
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どんなに理解して欲しても、決して男の人に言葉で伝えられないし、わかってもらえない事。それが書かれています。
他の人が何を考えているのか、全然わからなくて、何を信じたらいいのかもわからなくて、でも、あれの間だけは、確実に自分が必要とされているのがわかるから、そして、嫌われるのが怖いから、余程無理じゃなければ、人形になっているしかないとか、決して、男の人には理解出来ない、と思います。
でも、大した事じゃない、という事にしたいからするだけで、本当は、ただ一人の人に愛されて、とても大切にされたいだけなのにね。
そのくせ、本当は、酷い事を言いたくなんて無いのに、大切な人を傷つけずにはいられなかったり。
自分だけの神様が欲しかった、黒江と聖良が、すごくよくわかります。
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藤枝黒江という主人公の半生、中学生から20代前半までを描いた物語。
上下巻の長編。
あらすじを見て、もっと健全な青春モノかと思ってたのに大違い。
これは読む人を選ぶ作品だろうなー。
そして、わたしには全く合わなかったです。
主人公も、その母親も、関わってくる男たちも到底理解できない人ばかり。
感情移入なんて全然出来なかったよ。
このレビューで間違えないで欲しいのは、
わたしはこの物語を貶してるわけではないということ。
読む人にとっては傑作かもしれないとも思う。
ひょっとしたら似たような境遇の人もいるかもしれないし。
ただ、わたしには水が合わなかっただけ。
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黒江ばかじゃないの、って正直思いながら上巻読んでたけど、
下巻での彼女の成長に、向き合い方にすうっとした。
自分が弱って傷付いてるからって人を傷つけていい理由にはならないから。
何もかも失った黒江が、それでもひとつずつ
大切なものを拾い集めてはまた壊していく様が痛々しすぎたけれど、
そうしないと生きていけない時が誰にでもあると思う。
そうして拾い集めた人生だからこそ、
積み上げた今がどれだけのものかわかるときがくる。
それだけは必ずくると思う。思いたい。
痛みの数だけやさしくなれると信じたい。私が。
今までの島本さんのお話は暗いのをずっと引きずって、
そういうものから逃れられずに終わる印象だったけど
このお話は少しでも晴れ間が射してよかった。
生きることはすばらしいことだと思い込まされて、
だから、そう感じないのは変で、
いつかすばらしくなるから生きるべきだと信じていた。
でも本当は、生きることなんて、つらいのが大前提じゃないだろうか。
アンダスタンド・メイビー
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黒江、その選択はダメだよ!と、なんど声に出しそうになっただろう。読み飛ばしたくなるくらい痛々しい。
主人公の少女・黒江の気持ちのありようも、物事のやり方も、出てくる言葉も、背伸びしようとしてつまずいたような危うさが常にある。幼さ・・・とでもいうのかな。偽成熟、という言葉が出てきたとき、ああその通りだな、と思った。(黒江をそういうふうに表現して書いてきたんだから当然だけど。)その危うさにハラハラしどおしだった。
男女の間をとりもつのは気持ちなのか、行為なのか。必要にされたいと願うとき、求められたことを鵜呑みするのが正しいのか。救われる人がいるなら、どんな行為も許されるのか。
いろいろな問題提起が含まれているように感じる。作者なりの答えが出ている問いもあれば、そうでないものもある。登場人物が皆、周りにいないような人ばかりだったので、登場人物よりも書き手の考えに寄り添いながら読んでいたような、と後から思った。
仁さんと黒江の写真、どんなんだろうな。それを想像するのも、また読み味。
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上巻からの勢いで、一気に読破!
って、きっと読む人を選ぶだろうな、この著者の作品は。
主人公はどんどん大変なことに巻き込まれていくし、
作品全体も、どこか思い雰囲気が漂っている。。。
のに、なぜか物語の中に引き込まれていき、
自分自身も、色々と考えさせられる不思議な世界。
読者に拡げさせる、それでいて投げっぱなしでない、
このさじ加減が素敵だと感じた。
けどクライマックスのところはちょいと展開のテンポについていけない気がしてしまったのが、残念。
女心、特に多感な年ごろの女心に興味がある方、必読です。
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この人の作品は何と言えばいいのかわからない気持ちにいつもさせられる.
まだ上手に言葉にできないので、いつか書く.
他人を自分の神様にすることはできない.
自分で自分のことを100%理解する/しているなんてきっと思い込みだろうし、他人に理解してもらうなんて到底無理な話で.だからこそ理解しようとしないといけないし、傷ついても傷つけられてもその過程を一生懸命やるしかないというのを作者は描きたいのかなと思った.
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下巻の展開はスピーディで、これまでの出来事が、綺麗に収まっていく様子は読んでいて気持ちが良かった。
まぁ、ストーリーの流れというか、『恐らくこの登場人物はこう動く』というのは大体予想がつくんだけども。
下巻まで読めば解るかと思ったが、『読者を選ぶ』という感覚はやっぱりよく解らない……そんなに選ぶかなぁ?
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読むひとを選ぶ、という選評は的を射てて、どうやら、わたしは選ばれなかったようです。
島本さんは昔から性的なトラウマや虐待のようなものに固執するエピソードを描くので、今回の作品の主軸もすごく『らしい』チョイス。
とにかく、読んでるあいだじゅうの不快感がとんでもなかった。
主人公が嫌いすぎた。
過去痛みを覚えたからといって何をしていいわけでもないんだぞ、と。
羽場先輩と付き合ってるときの黒江は唯一、可愛かったんだけどな。
南Q太のクールパインみたいで。
羽場先輩の回想をする一文だけがこの作品の救いでした。
下巻は流し読みしてしまいました。
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上巻を読んだとき、なぜこれが直木賞候補になったのか、正直わからなかった。携帯小説のような展開にがっかりしていましたが、下巻を読んで、思い改めました。何と言えば良いのかわからないくらい、面白かったです。
参考文献もたくさんあって、作者がちゃんと勉強して丁寧に描いていたのにも好感が持てました。
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黒江が主人公で、黒江を通して物語は進むのに、
ずっと黒江という人物像が見えてこない。
そこが不思議だった。
でもたぶんそこは意図されたことなのかも。
黒江は、奪われて奪われて、空っぽに
なってしまったんだと思うから。
女の子と仲良くできない。
同性だからってわかり合えるわけじゃない。
わかるわ。
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上巻に比べ、重さ控えめ。下巻は喪失と再生。黒江にとって彼が神様として崇める気持ちは私自身もよくわかる。恋愛をして付き合うという事が全てではなく、離れていても大切に思うという気持ちも大切だろう。宗教団体が絡むと人間と言うのはどうしてあんなにも破滅をしてしまうのか。黒江は彌生君という存在が居たから生きてこれたのだろう。そして、仁さんの存在も大きかった。『どうか私だけの神様になって。私を許して。』という言葉に込められた思いがグッとくる。超無糖な恋愛小説だが自分と重なる恋愛観で客観的に自分自身を見た気もする。
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少女が茨城から出て行く話。
と言ってしまうのはなんか違う気がするけど
ひとことではまとめられない本だった。
解説のとおり読む人を選ぶとは思うけれども
苦しい思い辛い経験をしてきた人の方が満足できるっていうのは
すごい1冊なんだろうな。
20歳の私だったらわからなかっただろう。