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18巻と対になる19巻。こちらは不破の名を継いだ虎彦の物語。
今まで陸奥で語りきれなかった時代を、不破で語り継いでくれてもいいかなと思わないでもないけど、不破は虎彦だからこそ読み物として成立するのかな、という気もする。狛と虎のあの物語があってこそ、虎彦が強さを求めてしまう理由も理解できるし、誾千代と出会ったときの哀しい表情が心に染みてくるので。
そう思いながら読み出したけど、主人公は誾千代でありました。
ここでも、表舞台には立てないというのが不破の宿命か。
葉月に重ね合わせてしまうのは、結ばれるべき相手が不義の関係になってしまうからか。修羅の血をつなげるには、男女問わず強さが求められるもの。単純な力だけでなく。それは、葉月や誾千代だけでなく、雷電の奥さんや立花宗茂にもいえることか。
自分では叶えることのできなかったことを、嘆くでなく受けいれることができる強さ。
これが、一番のつよさではないだろうか。物語に関わった人の中で。
運命の糸は赤いというけれど、陸奥や不破を紡いでゆく糸の色は何色なのか。不破はいつのまにか黒くなっていった気がする。中継ぎのうっちゃんは突然変異だろうけど、黒さの残り香みたいなものは感じられるしね。
陸奥はどうだろうか。赤いけど、高まりすぎて白くなっていったのかなぁ。焼かれそうになったのが静流?
なんか、感傷的になってしまった。