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投稿者:うーよー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「半径5メートル以内に居る異性が自分の困りごとをひとつ解決してくれたら、恋に落ちてしまう」という自説があるのですが、まさにこの作品で具現化されていました。いや、逆か。瞬一君は敦美さんを好きになったけれど、敦美さんの気持ちの記述は無かったですね。でも小三の娘、彩美ちゃんは絶対に瞬一君に恋しましたね。「こういうのがいい」と思うのですよね(当該タイトルの作品には惹かれなかった)。因みに自説は、美人(イケメン)と付き合いたいという困りごとを自ら解決してくれる美人(イケメン)というケースにも勿論当てはまります(笑)
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
人を助けたり、助けられたりして、
少しずつ人との繋がりを深めていく様子に、
こちらまで心強くなりました。
おかずの田野倉がチラッと登場、
そーゆーの、ちょっと嬉しいですよね。
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前作『ひと』につらなる江戸川沿線に住む普通の人生を歩む「ひと」たちの物語。
なんだろうこの心にともる温かい灯は。
江戸川区平井に住む一人の青年。小学生の時に火事で両親を亡くしてから祖父のもとで育つ。祖父の仕事は歩荷。山に荷物を担いで上がる仕事。自分の身体を使って働く祖父の影響を強く受ける江藤瞬一23歳。高校卒業後祖父の「東京に出てよその世界を知れ。知って、人と交われ」という言葉によって高卒後東京へ。進学でもなく就職でもない。こんな形で東京に出したじいちゃんってすごいと思う。自分なら亡き息子夫婦への責任もあり、大学を出てフツーに就職せよ、と言ってしまいそうだ。
でも、この自分でどこかの町に住み、そこで人と交わって生きて行け、というじいちゃんの教えのおかげで瞬一はとても大きなものを乗り越え、とても大切なことを知ったわけだ。
一冊丸ごとじいちゃんの名言集だ。じいちゃん、かっこいい。かっこよくて大きい。人生の先輩として、祖父として、そしてなにより人として大きい存在。
瞬一は周りの人に恵まれている。バイト先の人たちも、アパートの住人も、みんないい人ばかりだ。優しくて温かくて、あぁ、こんな人たちと一緒に生きていけたら幸せだろうな、としみじみと。
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両親を亡くした青年の上京物語。
9歳の時に家事で両親を亡くし、祖父に育てられた江藤瞬一。
高校卒業後、祖父の勧めもあり、群馬県片品村から進学でもなく、就職でもなく、人との交わり、世間を求め上京し、引っ越し屋のバイトで生計を立て、もう23歳。
江戸川区平井の荒川のほとりに建つ筧ハイツで出会った隣人の君島親子と、心温まるお付き合いの末、自分が目指すものが見えてくる。
まちを愛し、ひとを愛し、過去は過去として、人の生きる川は流れていく。
「縁」や「ライフ」、「まち」にでてくるキャラクターも登場し、スピンオフのよう。でもこちらが先でも全然おかしくない。
みつばシリーズというなら、こちらは荒川シリーズか。
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本屋大賞候補作の「ひと」と似たような要素が満載でした。住む町や環境、そこでの人々とのふれ合いが、人生を決める印象があって、良い街に住んで良かったねと思ってしまいました。「ひと」よりも盛り上がりはない印象があり、のっぺりとしていましたが、内側の心情が繊細で、深く描かれているように感じました。
小野寺さんの作品は、会話の部分が長いのですが、リズミカルになって進行している印象があり、会話がいつまでも続いてほしいなという思いがあって、今回も発揮されていて、心地が良かったです。
やっぱ、人との繋がり、ふれ合いは大事だなと思いました。最初と最後の主人公を比較すると、見た目は変わっていないものの、心の成長が垣間見れて、ほっこりさせてくれました。後半の方に出てくる「コロッケ」には、なんとなく聞いたことがあるぞと思いましたが、やはりでした。ちょっとした遊び心があって、面白かったです。
たまたま住んだ町、たまたま出会った人たち、現実では、そううまくいくわけではありませんが、他とのつながりや温かみを再認識させられる作品でした。
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良い話です
前作『ライフ』の姉妹編の位置付けでしょうか、同じく筧ハイツを舞台にして、総菜屋の田野倉が顔を出したりします。
主要な登場人物は重なりませんが、全体の雰囲気もよく似ています。
アルバイトで生活する大人しく誠実な若者・瞬一が主人公で、彼を取り巻く人々との交流が描かれます。そういう意味では『ライフ』と同様に『横道世之介』に似た雰囲気が有ります(やっぱり『世之介』の存在感は強く、読んだ順では無く本作が『世之介』に似ていると言わざるを得ず。。)。ただ、この作品では両親を火事で亡くした瞬一を引き取り、尾瀬で歩荷をしながら育てた祖父の紀介の格好良さが特徴的です。
前作『ライフ』で描き切れなかったことをもう一度書き直したのかな。
そう思いたいですね、同じテイストの作品が続いてますので。
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江藤瞬一、家事で父母を亡くし祖父に育てられ、東京に出てきた。最初はコンビニ、次に引越しのバイトをしている。アパートの隣の虫嫌いの母娘と仲良くなったり、バイトの喧嘩を仲裁したり。平凡な生活から見えるものとは・・・
やっと気づいた。「ライフ」や「ひと」や「縁」とちょっとだけ繋がっているようで、別の作品に出たサッカーのコーチがちょっと出てきたりする。
そしてまた気づいた。小野寺文宜作品は基本的に同じ。構成や人物は同じ。その同じものがとても良いのだ。毎日ご飯を食べるけれど、飽きないようなものか。
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『ライフ』と同じ町での、別の人が主人公のお話。
歩荷をしていたおじいちゃんの懐が深くて、温かい人間性がとても魅力的だった。
主人公も体が大きくて、心も大きい。
都会に出てきて、様々な人と出会い、その出会いを大切にしている姿が、心地よかった。
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ああ、やっぱりこの作家さんの物語が好きだなぁ。瞬一は両親とは死別してしまうが、とても真っ直ぐだ。じいちゃんが偉大だ。最初から最後まで、読みながら鼻がツーンと泣きたくなる感覚で読んだ。他の作品の場所や人が何気なく登場するのが又いい。
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2018年本屋大賞第二位でした前作「ひと」も
そうでしたが、日常の人間同士のふれあいを
本当に上手く描いています。
皆、読んでいて優しい気持ちになり、幸せな
気分も味わうことができる小説です。
若者が置かれた境遇にメゲることなく、等身大
で成長していく。そんなストーリーです。
間違いなくこの作者の次の作品も読んでみたく
なる一冊です。
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高校を卒業し、群馬の片田舎から上京し一人暮らしをする瞬一は、両親を小学三年の時に亡くし、祖父に育てられた。…
東京下町に住む青年瞬一は、著者のいつもの作品同様、情緒の安定したとてもいい青年。
過去作と同じ舞台で、筧ハイツに暮らすため、懐かしい面々も登場します。
高卒で、見ず知らずの土地東京で引越し業のアルバイトをしていますが、安定した感情持つ瞬一に、不安を感じることはありませんでした。
私も近所に住む人のように、彼を応援している気分でいたのかも。
おじいちゃんが魅力的。
物静かなおじいちゃんの言葉が、今後の瞬一を支えていくと思います。
頑張れ!瞬一!
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この作家さんの物語は染みるな、もうすっかりファンです
まだ「ひと」と「まち」しか読んでないけども
作家さんの遊び心もあり、ストーリー以外でも楽しめました
譲るところは譲る、でも譲ってはいけないところは譲らない、そんな主人公いいですね_φ(・_・
★4.7 2019/12/24
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穏やかに描かれている日常の中に、すーっと入ってきて心に残る言葉がいくつもあった。
膵臓がんになり余命宣告を受けるが、瞬一には心配かけないように何も言わず、ふらっと東京に来たおじいちゃん。
アパートの人に挨拶に周り、大事な言葉をいくつも瞬一に残した。
「瞬一は頼る側じゃなく、頼られる側でいろ。お前を頼った人は、お前を助けてもくれるから。」
「人は大事にな。」
「じいちゃんな、知枝子さんと紀一は、やっぱりお前を助けに行ったんだと思うよ。瞬一は責任なんて感じるな。二人のことを、ただ誇れ。知枝子さんも紀一もお前を守れる人間だった。そういうことだからな。」
「人を守れ。人を守れる人間になれ。」
身内でも何でもない人の長所を素直に認め、自分ではなくその人のようになれと言えるじいちゃんのような人に、僕はなりたい。
おじいちゃんの教えはしっかりと瞬一のなかにある。
読後はとっても心があたたかくなった。
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どう見たって名作「ひと」を意識せざるを得ない表紙です。
基本いつも通りの小野寺君なので、こりゃワンパターンなんじゃないのと危惧しましたが、あえて一周回ってのワンパターン設定なのかなと思いました。
「ひと」「縁」の2作との緩やかな関係性が有って、同じ地平に他の彼らが生きているんだなあと思いました。
素性のいい若者が定職につかないながらも誠実に毎日を送っている。大きな事件は起きなくても淡々と日々を過ごす中にも小さな変化が起こり、自分を、そして人を変えて行く。今までの本と紹介殆ど同じになってしまうよなあ。それくらいいつもの小野寺君。
しかしこうやって淡々と描いているのにグイグイ読ませ、そしてやはり応援させてしまうのはとても上手いし、上手いと単純に言いたくない「いい人感」がダダ漏れしています。
今回の登場人物も皆いい味出しています。普通にその辺に居そうだけれどとても魅力的。言い換えれば皆、それぞれいい味出しているということなんでしょう。僕もあなたも舜一のお隣さんでもおかしくないわけです。
何も起きない系感動小説です。
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内容(「BOOK」データベースより)
尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷をしていた祖父に育てられた江藤瞬一。高校卒業とともに上京し、引越の日雇いバイトをしながら荒川沿いのアパートに住んで四年になる。かつて故郷で宿屋を営んでいた両親は小学三年生のときに火事で亡くなった。二人の死は、自分のせいではないかという思いがずっと消えずにいる。近頃は仕事終わりにバイト仲間と他愛のない話をしたり、お隣の母子に頼まれて虫退治をしたり、町の人々に馴染みつつあった。そんなある日、突然祖父が東京にやって来ると言い…。じいちゃんが、父が、母が、身をもって教えてくれたこと。