紙の本
なるほど
2019/10/08 07:53
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代のとくに江戸は人情が厚く清潔でリサイクル社会、武士も気骨のあるものが多かった…等というのはほとんどウソというのが本書の内容だ。その理由は簡潔でなるほどと首肯させられる。ヨーロッパなどとの比較で言えば、ましなだけ。現在と比べれば、とんでも社会であったと。
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江戸を粋で鯔背なエコロジー社会と持ち上げるのは、いかがかと思うが、一方でブラックと決めつけるのもどうだろう?
現代と比較すれば江戸時代はどこであろうとブラックになるだろう。
清潔さについても、昭和の頃にはシャンプーは週1回が当たり前だったし、現在でも山村では山の水をそのまま飲料水として使用している所もある。下水道も田舎にある実家では20年前は完備してなかった。
同時代であればヨーロッパでも庶民の子どもは10歳くらいから働いていたし、親が子にかける時間は今より圧倒的に少なくて当たり前だったろう。だって家事にかける時間が違うんだもん。
食事についてご飯の量の多さに言及している箇所があったが、肉体労働者なら1日1升飯は驚くことではないと思う。実際体育会系男子が「家では1食で3合食べますよ。俺の炊飯器一人暮らし用なんで3合までしか炊けないんですけど」と言っている。
まぁ、やたら理想化するのも何だが、時代を鑑みればブラックと言うほどでもあるまいと思う。
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江戸時代を理想化する風潮へのアンチテーゼとして書かれている。実は不潔で犯罪も多かった江戸時代の真実を描こうとする。
その上で思うのは、なぜこの時代が長く続き、独自の文化が育まれたのかということである。
決して理想郷ではなく、繰り返されてはならない時代であるが、その時代に醸成された生活の、あるいは社会の知恵とでもいうべきものは知りたい気がした。