紙の本
阿部昭氏の代表作14篇を収録した、阿部ワールドを十分に堪能できる一冊です!
2020/08/28 10:07
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、、『千年』(毎日出版文化賞)、『人生の一日』(芸術選奨文部大臣新人賞)などの傑作をはじめ、『大いなる日』、『司令の休暇』、『短編小説礼讃』といった作品で知られた阿部昭氏の作品です。同書には、病死した母親の後を追う少年の姿を端正な文体で描いた表題作「天使が見たもの」のほか、デビュー作「子供部屋」、教科書の定番作品「あこがれ」や「自転車」など全14編を収録した阿部氏の代表作を十分に味わえる一冊となっています。同書の内容構成は、「子供部屋」、「幼年詩篇」、「子供の墓」、「自転車」、「言葉」、「天使が見たもの」、「海の子」、「家族の一員」、「三月の風」、「みぞれふる空」、「水にうつる雲」、「あの夏あの海」となっています。
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『少年』をテーマにした短編集。
教科書にも掲載されていることがあるらしいが、私の時は載っていなかったように思う(本書を買ったのは純然たるタイトル買いで、前情報などは無い)。いつごろの教科書に載っていたのだろうか。
本書のテーマは『少年』だが、『父と子の関係』も非常に大きい。登場する『父』は、当然ながら、今ではアナクロな『昭和の頑固親父』なのだが、現代にあっては逆に新鮮な感覚がある(当たり前だが、今時、こんな父親はいないだろう)。
また、本書に登場する『少年』は、同時に『少女性』も併せ持っているんじゃないだろうか。ちょっと不思議な感じ。
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短篇の名手による〈少年〉を主題としたオリジナル・アンソロジー。表題作ほか教科書の定番「あこがれ」「自転車」など全十四編。〈巻末エッセイ〉沢木耕太郎
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短編集。小川洋子さんのメロディアスライブラリーで表題作の「天使が見たもの」が紹介されていた。主人公の少年がある日学校から帰ると、病気がちな母が亡くなっていた。「このまま病院へ運ばずに、地図の家に運んでください。家には母も死んでいます」というメモを残し、少年は投身自殺したという、実際の事件が題材。地図に書き込まれていた「やく二百五十メートル」。
沢木耕太郎さんの、実際は母親は自殺であったにかかわらず病死に設定した点は、阿部昭の、少年に対するやさしさではないかという解説に胸を打たれた。
他にも父として、息子としての阿部昭ワールドがあった。
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短編というより詩的であった。少年から見た世界(戦争に負けて帰ってくる父親像)、父親から見た少年。全体を通して暗い印象はなく爽やか。
星マークが好きだったもの。
⭐️「子供部屋」
「幼年詩篇 1 馬糞ひろい 2 父の考え 3 あこがれ」
「子供の墓」
⭐️「自転車」
「言葉」
「天使が見たもの」
「海の子」
⭐️「家族の一員」
「三月の風」
「みぞれふる空」
「水にうつる雲」
「あの夏あの海」