紙の本
生き方に敬服
2021/03/17 09:38
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投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ツタの生涯は、沖縄だけではなく、日本社会の底辺で生きた人たち全部に共通するものではないかと思った。現代よりもっと様々な権利意識が薄かった時代これだけ自分を通せたことに拍手を送りたい。
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自分を見つめること。今の自分は本当の自分?これは私か私でないものか……
短慮でも熟慮でも決めたことは決めたこと。瞬間の反発か流された結果か、そこにいるのはそれを選んできた自分。
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直木賞受賞で一躍話題になったが92年デビューのベテラン作家さんだと知った。少し前に「ピエタ」がヒットしたのが私の記憶に新しく、それでポプラ社のイメージがあったので直木賞作や今作のような時代ものを書いていると知りちょっと意外。
ほとんど「ツタは」といって主人公の行動、考えを神の視点で描く地の文で、視点が定まっている分ぐいぐいと読み進められた。ツタの激動の半生そのもののような勢い。
沖縄からやって来た女性であるということは、もちろんツタの芯であり事態が動く要因なんだけど、嵐のような内面、魂を抱えてさまようツタは"沖縄の人"である前に"ツタ"なんだなと思う。仕事に悩み、結婚に悩み、愛におぼれ、書くことに心の行き場を見出し・・・かと思えばそれを捨てて家族を慈しみ。一人の人間が、選ぶ間もなく懸命に生きた道筋。"沖縄"の部分と"人間"の部分がそれぞれによく見える。
キヨ子の存在が最後までとても良くて、こんな友を持ちたいものだと思う。
印象的だったのはやはりツタがなぜ文を書くに至ったのか、につながるところ。
「そこにある虚構に触れることが、ツタには必要らしかった。――娯楽というにはあまりに切実な、ツタの活動館通いなのだった。」
「ささくれた気持ちを抱えて暮らすのはもうたくさんだった。ちゃんと考えたい。」
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せっかく良い素材なのに、あらすじのような浅い小説にしてしまい、本当にもったいない。沖縄について作者の思索が圧倒的に欠けているので、ツタが描いた沖縄出身者の物語やその独特の視点とやらがまったくこちらに伝わってこない。
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ツタさんと同じように、この本はちっとも「おとなしくない」小説だった。ページをめくるたびに、ぶわっと風が吹いたり、一面に光が、そして闇が広がったりした。
小さな人間の生きざまが、雑に切り捨てられたり、良いところだけ大げさに取り立てられたりすることなく、熱をはらんだ獣のように飛びこんでくる。