2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:学士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルー神話の傑作選。何から読めば良いのか迷ったとき、最初に手に取る一冊になりそう。これまであったラヴクラフトの翻訳にあった、読むだけで感じる異臭はやや薄まっている印象ですが、それは言い換えれば読みやすい訳になっているということなのかも。
面白くはないが教養の一環として読むには良さそう
2021/08/22 07:19
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球外生命がアメリカの山奥に住んでいて人間を攻撃する、地球外生命が人間と混血して街にのさばっているといった内容の短編集。新潮文庫100冊に入っていたので読んでみましたが、楽しい話ではなかったです。表題になっている「インスマスの影」が一番ぞーっとしました。
生前、著者は著作が売れなくて不遇だったということですが、納得。ただ、作品の世界や登場する生命体は他の作家の作品に用いられていて有名だということなので、教養の一環として知っておいてもいいかな。
投稿元:
レビューを見る
小説家・翻訳家の南條竹則=編、新訳ラヴクラフト選集、全7編。
旧約と比べて遙かに文章がこなれていて読みやすいが、
そこはやはりラヴクラフト、
少しページを捲ると眠気を催すことに変わりはなかった(笑)。
しかし、ゆっくり時間をかけて満喫。
■異次元の色彩【既読】
「宇宙からの色」の邦題で知られる
"The Colour out of Space"(1927年)。
語り手はボストンの測量士。
派遣先の荒廃ぶりに驚き、地元の老人から話を聞き出すと、
事件は1882年に起こったとの答え。
農夫ガードナー家の井戸の傍に隕石が落下したのが発端で……。
我々が知っている「神」の叡智が及ばない
外宇宙から飛来した物体によって水が汚染され、
それを吸い上げた植物・農作物も、
その水を飲んだ人間も
本来の姿とは違う存在になっていくというホラー。
後年の部外者による聞き書きという体裁のため、
冷静かつ淡々とした筆致で、
それが却って読者の恐怖感を煽る。
■ダンウィッチの怪 "The Dunwich Horror"(1929年)【既読】
マサチューセッツ州の農村部、
ダンウィッチ村に生まれたウィルバー・ウェイトリーは
異様に成長が速く、一族秘蔵の魔術書を耽読したため、
周囲から気味悪がられていた。
彼はミスカトニック大学図書館の蔵書である
『ネクロノミコン』ラテン語版に執心し……。
ウィルバーの日記を読んだ大学教授らが、
ウェイトリー家の屋根裏で育った彼の「弟」の正体を暴く。
最初にこのストーリーに触れたのは、
ダニエル・ホラー監督の同タイトルの映画でだった。
映画ではウィルバーが原作とは大違いのイケメンで(笑)
彼と交際することになった女子大生が頼まれて
『ネクロノミコン』を持ち出すという流れになっていた。
面白かったが、かなり違う話(ぐぬぬ)。
https://booklog.jp/item/1/B073Q5BQGQ
2017年にDVD化されたので喜び勇んで購入したが、
まだ鑑賞していない(ぐぬぬぬ)。
品川亮監督の画ニメ
『H.P.ラヴクラフトのダニッチ・ホラーその他の物語』
もシブい。
https://booklog.jp/item/1/B000SKNPSG
ちなみに、水木しげる大先生も舞台を鳥取県に移した
翻案マンガ「地底の足音」を描かれた。
https://booklog.jp/item/1/4834274586
こちらも一種の「珍品」として愛読している。
■クトゥルーの呼び声 "The Call of Cthulhu"(1928年)【既読】
故人の手記が開陳されるという体裁の短編。
フランシス・ウェイランド・サーストンは
大伯父である故ジョージ・ギャマル・エインジェル教授の
遺品の謎を解くべく、関係先を飛び回った。
若き彫刻家ヘンリー・アンソニー・ウィルコックスが、
さながらオートマティスム(自動書記)のような調子で
彫り上げた粘土板と、
ジョン・レイモンド・ルグラース警部が
捜査の過程で押収した石像の共通点、
遭難した船から救出された
グスタフ・ヨハンセンが書き残した、未確認の島の話――
それらを突き合わせたフランシスは、
太古の邪神の秘密を知ってしまい……。
■ニャルラトホテプ "Nyarlathotep"(1920年)【既読】
またの名を「ナイアルラトホテップ」。
幻想的な掌編。
エジプトからやって来たという
ニャルラトホテプの科学的な見世物に魅了される人々。
旧約よりも滑らかな文章で、幻惑的。
■闇にささやくもの "The Whisperer in Darkness"(1931年)
【既読】
ウィルマース教授はバーモント州の怪物伝説を蒐集していて、
現地在住の老民俗学者エイクリーと文通することに。
エイクリーは、
バーモントの深山には宇宙から来訪した生物の
拠点があると述べ、また、物的証拠を得た自分は
何ものかにつけ狙われていると伝えてきた。
郵便物の不配や偽の電報など、不審な出来事を経て、
事態が好転したから来てくれと告げるエイクリーだったが……。
クライド・トンボーが冥王星を発見した翌年に、
それをモチーフ(の一つ)として書かれた作品で、
謎めいた天体に、地球人と接触しようとする
外宇宙生命体の前線基地のイメージを付与。
周囲の怪事に怯え、必死で身を守ろうとしていた人物が、
ある日不意に「もう大丈夫」と、
それまでの肉筆の手紙とは違う
タイプライターの文書を送付してきて、しかも、
自身のサインの綴りを誤っている――という、
別人格に肉体を乗っ取られたかと受け取れる条(くだり)が、
個人的に最も怖い。
ずっと後に出た作品だが、先に読んだブラッドベリ
「ぼくの地下室へおいで」を連想してしまう。
■暗闇の出没者 "The Haunter of the Dark"(1936年)【初】
ロードアイランド州プロヴィデンスに部屋を借り、
由緒ある大学街の風情を楽しんでいた
小説家兼画家のロバート・ブレイクは、
フェデラル・ヒルの廃教会の威容に惹かれ、
足を踏み入れたが……。
ラヴクラフトの生涯で最後に発表された作品で、
旧来「闇の跳梁者」あるいは「闇をさまようもの」の
邦題で知られてきた小説。
年少の友人ロバート・ブロックに
作中で自分を殺すことについて許可を与えたラヴクラフトが、
お返しに彼になぞらえたキャラクターを登場させたが、
ブレイクの人物造形はラヴクラフトの自画像に近いらしい。
古代に地球を訪れた異星生命体によってもたらされた、
暗黒神を召喚する力を持つ物質
「輝くトラペゾヘドロン(Shining Trapezohedron)」が登場。
■インスマスの影 "The Shadow Over Innsmouth"
(1936年)【既読】
一人旅を楽しむ語り手の青年は、
興味本位で退廃した港町インスマスへ。
漂う腐臭、陰鬱な雰囲気、敵意の籠もった住民の視線を受け、
早々に立ち去るつもりだったが、
泥酔した老人に街の来歴を聞く。
バスの故障でその日のうちに出発できなくなった青年は、
やむなく見すぼらしいホテルに宿泊。
深夜、��故か自分を襲おうとする者たちの気配を察して
脱出したが……。
ラヴクラフト創作活動末期の一編で、
読者によって好みの違いはあるだろうが、
他の作品と比べて明らかに、数をこなし、書き慣れて、
技術が向上したかに見える佳品。
サスペンスフル、かつ、読みやすくて面白い。
旧訳で二度読んでいたが、今回の新訳読了で、
この作品の舞台を日本に移したドラマ、
佐野史郎主演『インスマスを覆う影』を、
また鑑賞したくなった。
長い時間をかけてシェアワールド化し、
二次創作、三次創作(?)の人気も高いクトゥルー神話だが、
それらに夢中な人たちの原典既読率が低い印象を受ける。
大体どういう話かわかっているし、
全体のムードや邪神のキャラクターが
好きなだけだから別に構わない――という言い分も
もっともだけれども、
せっかくどこかで取っ掛かりを掴んだのなら、
ラヴクラフト本体も読まなければもったいないよ、
面白いんだから、と言ってあげたい。
その際は是非、取っつきやすい翻訳になった
このニューバージョンで……と、お勧めしておく。
投稿元:
レビューを見る
単純に趣味嗜好の部分で、自分はSFホラー的な物語は苦手なのだと思う。
夜、寝る前にリラックスするための読書としては特にお勧めできない。
とても夢見が悪かった。
創作されて約100年しか経っていないにもかかわらず神話として人気があるのは、この物語の世界観がまるで本当に起こった事のように詳細に描かれ、すぐそこに臭いや恐怖を感じることが出来るから。
暗闇に感じる気配は常に自らの隣に潜んでいる。
投稿元:
レビューを見る
南條竹則編訳のラヴクラフト選集。
創元版の全集は持っているのだが、ラヴクラフトと書かれているとつい買ってしまう……。収録作も名作と言われているものばかりで、入門編としても再読編としてもお買い得な1冊だろう。南條竹則訳でもう1組、全集出して欲しいぐらいだ。
投稿元:
レビューを見る
ラヴクラフトの傑作ばかりを集めた贅沢な1冊。しかも新訳なので、再読勢も楽しめます。
収録作は、異次元の色彩、ダンウィッチの怪、クトゥルーの呼び声、ニャルラトホテプ、闇にささやくもの、暗闇の出没者、インスマスの影、の7篇。ね、どれも傑作揃い。
一通り読んでみて「やはり何度読んでもインスマスの影は名作だ……」と再認識しました。
巻末の解説も丁寧で、他社のラヴクラフト関係の全集などについても触れていますので、とりあえずなにかクトゥルー神話を読んでみたい、全集は冊数が多すぎてちょっと…という入門者にもオススメできる1冊です。
投稿元:
レビューを見る
宇宙的恐怖(コズミックホラー)の始祖
売れ出したのは死後らしいですが、
他の作家たちが、話を広げていったエピソードが、ファンが2次創作で広がっていったスターウォーズの流れにも似てます。
そんな、作家の入門編
表現しづらい見えない怪物(蟹、鳥、烏賊蛸、菌、山のキメラっぽいやつなど様々)、怪奇現象に気づいてしまった、巻き込まれてしまった人々の恐怖を様々なパターンで描きます。
暗躍する怪物の名から「クトゥルフ神話」と呼ばれているシリーズ
キングやクーンツなどのモダンホラー(古!)を読んでる私としては、どの話も真面目に「ボブは自分の体が、首の無い状態で倒れかかってくるのを見る羽目になった。何故なら、首から上は地面に転げ落ちて自分の体を見上げていたからだ…」みたいなふざげた描写は皆無
で、ビシビシ恐怖が描かれていく感じが新鮮でした。そしてやや退屈でもある。
何篇かありますが「ダンウィッチの怪」なんか、これを映像化するとやはりどうしても恐怖感よりB級ホラー感が強くなるんだろうな…という印象
よくある映画の流れなんだけど面白かったです。
上記のはラヴクラフト作品としては珍しいほうで…基本的にX-ファイルの様に、うやむやか最悪の結末で終わる話が多かった,
恐怖から生き延びれない限りは語ることもできず物語にもならない。形に残って語り継がれることがない。
または語ったとしても狂人の扱いを受けて消えてしまう。
なので、本当は記録には残らないもっと多くの犠牲者が歴史上に悍ましい量いたのではないか?などど妄想してしまう。おすすめ。
たぶんこのラヴクラフトの築いた
真面目なコズミックホラーに、どんどん下品な要素を足してエンタメにしてったのが今のホラーモノなんだろうなぁ…それにしても哲学的な言い回しや、難しい表現も多く、真面目に話してんだけど度が過ぎてて「狂ってる?」って聞きたくなるくらい。
追記:脳が何者かに支配されているのか読書中、無意識に昼食に「げそ天そば」を頼んでしまい
神話に出てくる怪物達が頭をよぎり
なんか後悔…
投稿元:
レビューを見る
掘り出し物。
ラブクラフトは読んでみたかった作家だった。
すべてクトゥルーに関する恐怖小説。
怖い、すごい、忘れられない。
この本を読む時は、グーグルで航空地図を見ながら読むことを進める。
特に「インスマスの影」はマサチューセッツの地図でグロテスクな海岸沿いを見ながら読むと恐怖が倍増する。
投稿元:
レビューを見る
最近ではTRPGなどサブカル界隈でよく知られている〈クトゥルフ神話〉。ラヴクラフトの作品群は、その原典だ。あの奇怪な架空の神話体系は、ひとりの男のパラノイア的妄想に端を発しているのである。
…人類の誕生よりはるか昔、宇宙の彼方から地球に降り立った異形のモノたち。その存在は謎に包まれており、彼らの正体を暴こうとする者には死が待ち受けている。〈Cthulhu〉ーークトゥルフ或いはクトゥルーと仮称される、〈それ〉は人外の秘境に身をひそめ、復活の時を待っている。〈大いなるクトゥルー〉が目覚める時、地上には災いが満ち人類は滅亡するという…
…こう書くとB級SFホラー感満載だが、実際に読んでみるとSFというよりは、ポーやドイルの怪奇小説の雰囲気に近く、もっと言えば聖書に出てくる黙示録のようでもある。太古から存在する人智を超えた絶対者と、それに翻弄され滅ぼされる宿命の人類ーー。評論家の諏訪哲史先生が、書評集『偏愛蔵書室』の中で、CTHULHU(クトゥルフ)とYHWH(ヤハウェ)の類似性について言及していたのを思い出す。
舞台設定や登場人物は作品ごとに異なるが、全編を通して執拗に描かれるのは、未知なる絶対者への畏怖と、人間という存在の寄る辺なさだ。主人公は絶対者に抗うものの、最終的には抹殺されるか、彼らに取り込まれてしまう。この絶対的な無力感、〈存在すること〉に対する根源的な恐怖。或いはそれは、あらゆる神話や宗教に伏流する通奏低音であるのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
クトゥルーの神々、おぞましさがうまく想像できないけれど、おぞましさが文章の端々から滲み出ていました。面白かったです。
神話というのが良いです。
「異次元の色彩」「ダンウィッチの怪」「クトゥルーの呼び声」「インスマスの影」が特に好きでした。
みんなして「私も……」「実は私も……」と冒涜的な何かについて話始めるの良かった。
「インスマス面」とは一体……怖いけど見てみたいです。
投稿元:
レビューを見る
大半の作品が創元推理文庫版の全集いらい数十年ぶりの再読だったが、内容をほぼ(覚悟していたもののそれ以上に)憶えていなかったことに驚く。特に「インスマスの影」こんな逃走アクション場面あったっけ⁈ 私、TVドラマ版とだいぶ混同してたかも。
投稿元:
レビューを見る
クトゥルー神話傑作集。一応「ラヴクラフト全集」はひととおり読んでいるので、有名どころを再読でおさらい、という印象。たしかにこれを一冊読めば、重要なキーワードと枠組みはだいたいわかるのでは。
やっぱり「インスマスの影」が一番好き……というよりは、嫌ですね。あの町の陰鬱とした雰囲気といい、不気味な住人といい、主人公に襲い来る恐ろしい真実といい。どこをとっても嫌としか言いようがない! そして宇宙からやってくるものよりは、海からやってくるもののほうが距離感が近い分恐怖を感じるような気もします。
投稿元:
レビューを見る
「異次元の色彩」「ニャルラトホテプ」が読書会の課題図書でした。以下、そのときのメモです。
ちゃわん:
本屋でたまたまみつけた。読書会用に購入。最近出版されている。作家としてはかなり昔の人。ニャルラトホテプ、ニャル子の元ネタ。異次元の色彩は、初読では頭に入ってこなかった。一度入ったら、頭に残る。これと、短いからという理由でニャル。
小谷:
ニャルラトホテプ――悪夢。実像がつかめない。
異次元の色彩――SCP読んでたから一応入り込めた。代表作を集めたのがある。
水無月:
エンタメあんまり読まない。ホラーは怖いから読まない。しかし、異次元の色彩は案外読めた。ニャルラトホテプは意味分からん。
アミ老人から聞いて、という体裁。想像させる余地があるから怖い。不気味だった。灰色になった死体。不思議な色彩。オーロラのびらびら。植物が動きその先に燐光が光る。映画の様な直接的な怖さはない。井戸がある。次なる被害者。水を介して広がる。ニャルラトホテプは散文詩。意味はもう放棄して読んだ方が良いと思う。エジプトから来た神様。悲鳴だの絶叫だのさせながら、宇宙人の植民地的な。世界観が広いな。形が知りたい。
三上:
ほんとに初心者で……。価格の割には長い。異次元の色彩は入るのがしんどかった。匂いという言葉がすごい出ていたが、どんな匂いだったのか。興味はある。よっぽどすごい匂いなんだな、と。かいだことのない匂い……ゆえに、自分がかいだなかで一番ひどい匂いを想像する。そこを喚起させたのがすごいな、と。救いはない。理屈もない。意味を追い求めてはいけない作品なんだな、と思った。ニャルラトホテプ、主人公はどうなったんだろう。お話的にはどうでもいいんだろうけど。次の闇に囁くものの方が分かりやすかった。
早高:
半年くらい前に買って読んでいた。ちゃわんさんとの組み合わせは意外。
異次元の色彩:最初は入りにくかった。すごいゆっくり始まる。ゴシック感のある、古き良きホラー。得体の知れないものに対する恐怖。読んでるうちから、どんどん汚染されていく、というのが、放射能のようなものをイメージした。深刻故に、お話として面白く読めなくなった。恐怖は去ってなくて、これからじわじわと広がっていくかも……というのも、典型的だが怖い終わらせ方。
ニャルラトホテプ:かわいいのか怖いのか分からない。世界が広がった。ニャがつくだけで猫を想定してしまう。読み方はどうなのか。散文詩として書かれた、と読んだら読みやすい。純文学的。頭のおかしい人の世界観が美しく描かれている。P211電灯が消え始めると~路面電車が~場面の印象が急に変わる。異世界にいっちゃったのか。得体のしれない恐怖感。どこにつれていかれるのか分からない、という暗い終わり方も好きだ。面白い夢。そこから想像力を広げていけるのは、羨ましい。
全体読んだら、後半の方が読みやすい。分かりやすい。インスマスの影が一番好き。未読の方はこれだけでも。
黒田:
文化的なバックボーンが作者と我々で違いすぎる。ので、あまり恐怖感���覚えなかった。当時のアメリカの農村となれば、金銭的な意味で移動などできないし、警察や行政の助けも期待できない。全部自分でやらなければならない、という状況下の、得体のしれない理不尽さは、たいそう恐ろしいものだとは思う。とはいえ、同時期に読んでいたホットゾーン(エボラ出血熱を描いたノンフィクション)のほうが自分にとってはずっと恐ろしく、放射能を連想した人にとっても同様だろう。現実に劣るなら、恐怖感を期待するのであれば、このような不可解だがリアリティのある設定は不要な気はする。真価は恐怖感じゃないんだろうけど、そのところがいまいちわからず、良い読者になれたとはいえない。
ニャルラトホテプは初読では意味不明だったが、意味を理解することを放棄して語感を楽しむのなら、表現の端々が素晴らしくて楽しめた。リズム感があり、なんとなくいい、という感じだ。
津木林:
クトゥルフは全然知らなかった。ゲームとかアニメとか知らないから。
課題作だけ読んだ。
異次元の色彩:怪奇小説だけど、あんまり怖いという感じはしなかった。原発のことを感じた。 実際、放射能が元ネタなんじゃないかと思う。石牟礼道子の『苦海浄土』を彷彿とさせた。もっと怖がらせよう、ということを外した方が良かったと思う。すっと読めた。
ニャルラトホテプ:読みにくいが、カフカの『家父の気がかり』のオドラデクという奇妙な生物を思い出した。ニャルラトホテプのやってることは、ニコラ・テスラのことを考えた。
投稿元:
レビューを見る
装丁がふと目に留まり、ラヴ・クラフトのクトゥルー神話に手を出しました。
翻訳モノは苦手意識があるので、最初の方は読み進みが遅かったけど、クトゥルフの概念・展開が分かってきてから中盤~後半の話は、不穏に付きまとう影を追いたくて、ページをめくり続けてしまいました。
同シリーズ「狂気の山脈にて」も読んでみようかと。
投稿元:
レビューを見る
はじめてのクトゥルー。傑作選。めっちゃ怖いと思ってたらそうでもなかった。
何かが木をゆらしたり、匂いを発生させたりしつつも姿が見えない、というのは面白かった。作中の「冒涜的な」「這い寄る混沌」「名状しがたい」などの言葉が中二心をくすぐるというか…いいですね…