投稿元:
レビューを見る
以前読んだ村上春樹の短編『眠り』。あれ、ちょっとがっかりしてたんだよね。途中まですごく面白かったのに、最後のオチが、え?とね。村上春樹はよくわかんないのが面白さとは思うんだけど、わかんねーよ、だった。眠らないことによっていろんなことから解放された主人公といっしょに、世界の広がりを感じ始めたと思ったら、最後にひどく怖い目にあうという・・・。閉そく感の中に叩き落された、イヤな気分になったと思う。
本書を読んで、その印象が一変した。
加藤氏のハリウッド的妄想といってたか、によれば、最後に出てきた男たち。その顔は・・・というところでね。あぁ、そういうことだったのか、と妙に納得したのだ。
そして、そうであるなら、俺が主人公の女性といっしょに感じていた解放感は、必ずしも解放ではなかったことになる。変化ではあったとしても。
もう一度、あの話読み返してみようと思った。
文芸批評って、謎解きなんだなぁ。
面白かった。
小説を読むとは、著者の言う通り、世界を感じ味わう見方を豊かにしてくれるんだね。