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紙の本
池波版との違いがはっきりしてくる
2020/04/11 18:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
池波正太郎作の鬼平犯科帳での登場人物を借り受けて、本シリーズも4作目となった。とはいうものの、池波版同様、短編のエピソードが6編収められているので、本書のタイトルには何も依存していない。しかし、最初の「平蔵の母」は冒頭の短編のタイトルをそのまま借用している。
登場人物を借り受けているのは主人公の長谷川平蔵のみで、それ以外の火付盗賊改の与力や同心、元盗人の密偵は借り受けていない自前の登場人物である。シリーズもここまで数を重ねると、与力、同心、密偵について読者も記憶していく頃である。池波版とは異なり、本書では与力が複数人出てくる。
池波版では佐嶋、天野など数えるほどである。一方で同心は筆頭同心を含めて多彩である。特徴的なのは池波版の平蔵は部下との接触が多く、捕り物でも自らの刀でけりを付ける場合が多いように見受ける。一方、本書では平蔵がいつの間にか部下の与力に代っていたりで、読者をも直接欺く。
その基本になっているのが、平蔵が顔を容易に晒さないという点であろう。平蔵は顔を晒したものは極刑に処するときに限られるという件がある。したがって、現在娑婆にいる罪人には平蔵の顔を見た者はいないということである。そこで読者は今まで平蔵だと思っていた長官がいつの間にか与力に代っていたことに気付かないのである。
ミステリー作家逢坂剛らしさがよく出ている鬼の平蔵である。今回の白眉は平蔵だけではなく、盗賊の頭が殺されたと思わせる「せせりの辨介」であろう。短編の中の長編でかなり練りこまれた作品である。
逢坂版鬼平の特徴の一つは、女の密偵がよく登場することであろう。美於、りんの他に今回は可久という密偵が2作品に登場している。いずれも元盗賊なので、個性は豊かであるが、今後の活躍が楽しみである。
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