人気作家、山崎ナオコーラ氏の興味深く、面白い出産・子育てエッセイです!
2020/05/13 09:11
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、2004年『人のセックスを笑うな』のデビュー作で文藝賞を受賞し、数々のエッセイや小説で読者を常に楽しませてくれる山崎ナオコーラ氏の作品です。同書では、37歳で初めて第一子を出産され、その後の一年間の子育てを、面白く、また興味深く綴られた出産・子育てエッセイです。同書の中で、著者は、「母というイメージの重圧を捨て、親になって、日々を眺めると、また違った意味での日々が見えてくる」と言っています。ぜひ、同書を読まれて、感動してみてください。同書は、「人に会うとはどういうことか」、「同じ経験をしていない人とも喋りたい」、「社会を信じる」、「妊娠生活は大したことなかった」、「お産ではなく手術ということで」、「点数なんて失礼じゃないか」、「新生児」、「似ているところは探さない」、「一ヵ月の赤ん坊」、「眠り」といったテーマで話が展開されます。
()内がじわりとくる
2021/11/22 22:34
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投稿者:オムラ椅子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつも文章がスッキリした印象でしたが、
今回は()での補記がたくさんあり、
そこにじわりじわりと来る文章がありました。
()だから、と飛ばして読めません。
育児エッセイは、母親以外はときどき置いてけぼりを食らうのですが、
そうならないように、
「親」になったエッセイだったので、
置いていかれませんでした。
遠くの読者を信用しよう、と本文中にありましたが、
いち遠くの読者として、いつも応援してるよ、わたしのことも置いてけぼりにせず、認めてくれてありがとう、
という気持ちになりました。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
母ではなく親になるというのが新しい視点で面白かったですし、気づかされることも多くて、自分自身も参考になりました。
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2020.5.20
本屋で見かけて買おうか迷ったけど図書館で予約して借りた本。
表紙がほのぼの系だったからもっとクスッとするような微笑ましい育児エッセイかと思いきや作者のめんどくさい子供観や夫婦観が章ごとにクドクドと書いてあって期待していたエッセイとはだいぶ趣が違っていた。読んでいて疲れてしまった。子育ては楽しいと書かれていたけれど子育てに関する記述は少なく、子供が生まれた喜びや楽しさが全く伝わってこなかった。買わなくてよかった。ほんとにこれ、子育てエッセイ?ジャンル違うんじゃ?
男女関係なくフラットに生きたい気持ちがあるんだと思うけど、『夫が薄給』ということが頻繁に出てきて、そういうことは気にせずに結婚したと書いているけれど心の底では本当はもっと稼いで欲しいって気にしてるのかなあと思いました。フリーランスで大黒柱だから将来のことが心配なのかな。
子供の性別は完全プライベートなので公表する気はないとか言いつつ、夫の許可を得ているのかもしれないけれど夫についてはプライベートなこと(収入も仕事内容も)がたくさん書かれていてそれは良いのかよと思ったり。
とにかく読んでいて『あーもうめんどくさい!クドクドうるさい!もっと子供との何気ない日常と幸せな生活に焦点をあてて書いてくれよ!』って思うエッセイでした。
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【いちぶん】
私自身、自分の親とのことを考えると、この「好きなときも嫌いなときもある」というのがものすごくしっくりくる。これが親子というものだ。
(p.166)
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真面目な人だなー
そんなに深く考えなくても、、と
思ってしまったりするけど、
結婚、出産、育児、仕事、色んな形があるな。
悩みも尽きない。
けど深呼吸して笑ってたいなー
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子育てエッセイだと思って読むと、期待を裏切られる。特に、子育ての大変さや子どものしぐさ、成長などに共感したい場合は注意(私もそうだった)。
まず、子育てが辛いと思わないということが何度も書かれていて凹む。寝かしつけや後追いなどに苦労しているような描写も少しだけあるけど、それも辛くはないらしい。
子どもの性別は子ども本人に聞かないと分からないから書かない、「男の子(女の子)らしい」服は着せないなど、固定観念に囚われたくないという考えがかなり伝わってくる。タイトルからして、世間が求めるイメージ化された「母親」ではなく、単に「親」になるのだという意思表明だ。
でも、「夫の稼ぎが少ない」「夫を養っている」「私が稼いだお金だから使い道は私が決める」等々、逆亭主関白のようなことが繰り返し書かれるのにうんざりした。(本人は稼ぎの多少は職業の貴賤には関係ないと書いている)
あとは、同時期にデビューした作家さんはどんどん評価が高まっている、賞をとっている、なのに私は…という焦りや僻みみたいなのも繰り返される。
子どもが産まれて、自分が大黒柱で、安定しない職業となると不安なのは当然だと思うが、それを作品として読ませるのなら、もう少し昇華してほしい。愚痴をそのまま読まされているみたい。
ところどころ共感できる部分もあったけど、読んでいて疲れてしまった。
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2年ぶりに再読したが、最高に面白い。
自分が妊娠して興味が向いていることと、同じように妊娠・育児エッセイをいくつか並行して読んだことで良さがより際立った。
まず、ナオコーラさんは徹底して「自分のところにいる赤ん坊」の話をしている点が素晴らしい。自分の経験を一般化せず、あくまでも自分の場合はと、ことあるごとに言及している。そして、正しい情報を調べた上で自分の考えも述べているので、非常にニュートラルで誰も傷つけないやさしさがある。べたべたしないカラリとしたやさしさが。
フジモトマサルさんのお別れ会に、産後子どもを夫に預けて参加した際のエピソードが印象的だった。会自体はとてもよかったが、出産後の自分が行ったことでみなに「おめでとう」を言わせてしまったことを自分のエゴだったのでは、と振り返っているところからも、他者への気遣いが感じられる。妊娠・出産・産後特有の、女性の自分しか見えてない幸せオーラを無駄に振りまく感を、淡々と静かに蹴散らす文章が小気味良い。
産休や育休だったり、出産を期に仕事を退職すると、どうしても育児や家事に自分の時間を費やす自分をネガティブに考えてしまうことも多い。だから私は、ナオコーラさんの「結局のところ、家事をしながらも、自分の目で世界を見て、自分の考え事をしているので、家事の時間も自分の時間だ」ということばにとても救われた。
私は自分の意思で育児も家事も仕事もしていけばいい。
何に引け目を感じたり、我慢や犠牲をする必要もない。それは、決してナオコーラさんのように一家の大黒柱としてお金を稼いでいなくたって一緒だ。
「母ではなくて、親になる」
「母はこうあるべき像」の型に自らを当てはめて苦しんでいる世の母たちに是非読んでもらいたい本。
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『母ではなくて、親になる』というタイトルからまず考えたのは、ジェンダーについての問題を含んでいそうだということ。母になるということはつまり世間一般にいう「お母さん」になるということ。「お母さんにはならない、私は親になるのだ」というこのタイトルには、性別的な役割の違いを限定せずに、ときには父親的に、ときには母親的に振る舞うことの意思表示だと思う。
ボクが子育てをしていてよく思うのは、母親はこうあるべきとか父親はこうあるべき、なんて時代はひと昔前に終わってるよなぁということ。
父親が子どもたちの面倒を見つつ晩御飯をつくる。その間に、母親はゆっくり友人とお酒を楽しむ時間にしたっていい。どっちがどっちなんて、正直、家庭がうまく回ってればどうだっていいことだ。
男女の役割を固定化せずに済む時代に本気でしたいと思うなら、まず家庭からそうした方がいいと思う。多くの家庭がそうなれば、きっと社会もそう変わる。社会が変わるのを黙って待つより、自分の身の回りから、もっといえば自分自身から変えていく態度が必要に思える。これは、男性だけでなくもちろん女性も(もちろんすべての性にある人を含んで)そうあるべきだ。
サクッと読める本ではあるけれど、読むのは余裕ができてからでも遅くない。子育てが大変なら、まだ読まない方がいい。理由は、著者の主張が少し毒に感じる人だっていそうだから。
少なくともボクは非常に共感できた。著者と同じように、聞いていたよりもはるかに子育ては楽しい。
ボクのようなタイプの男性がいることは、女性がメインで子育てをする方がいいとは限らないことを示していると思う。
子育てが楽しい人は、ぜひ一度読んで、思う存分共感してほしい。
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日常の些細な部分に疑問を持ち、作者の考えが書かれています。おもに親として、働き方や家事についても書かれていて自分もそうだったなぁと思い出し、面白かった。
改めて意識するとそうだなと共感できる部分もあり何気に深い話かなと思います。
他の方も書かれていますが、作者の気遣いや優しさが伝わる本だと思います。作者の他の本も読んでみたい。
著者が、見聞きした言葉や話も多数あり、為になりました。
・「○○の為に〜」は、どんな時も美しくない。
・「批判に対して規則正しく生活をすると良い」
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タイトルで選んでみた。
子育てのことが面白おかしく書いてるのかと思ったら、すごく真面目に考えてた文章で、新鮮。
子育てを楽しまなきゃな〜
今が大事なんだよな〜と。
写真を撮る時も、カメラの画面じゃなく、
本人を見ようと思った。
一瞬の煌めきって、本当大事
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こういう本はどうしても女性、
なんなら妊娠中の女性しか手に取らないだろうけど
全日本人にオススメしたい!
赤ちゃん自体の記述より
赤ちゃんという特殊な人間を通して見る
世界が描かれている。
今ある世界も、見せたい、あると信じたい世界も。
次世代へのバトン的なことではなく、
著者がいま向かい合ってる世界をよくするため、
温かいものにするため
きょうどういう行動を取るのか描いていた。
あと赤ちゃんの笑顔が卑しいなど、
ちょっと笑える場面もありスルスルと読めました。
私はもうすぐ出産を迎えるので
自分みたいな子を育ててしまうんじゃないか
何かを押し付けちゃうんじゃないかと不安。
そういうモヤモヤをふわっと軽くしてくれた
いい読書でした!
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ナオコーラさんの考え方が好きだ。
まさにタイトル通りで、父親とか母親とか男とか女とかそういうことで物事を述べないところが特に好感を持てるし、ハッとさせられることも多い。
私も普段から本やSNSとかの影響もあって、そのような感覚が身についてきたなーと感じてはいたけど、ナオコーラさんは「夫に子どもを預けてきた」とか「夫が育児に協力的」とか当たり前のように言ってしまいそうなこの言葉にもきちんと疑問を持ち、さらには子どもの性別についても、本に書かないのはもちろんのこと、相手に聞かれない以上自分からは言わないなど、本当に考え方が徹底していて、この本を通してさらにわたしの感覚に影響を与えてくれたように思う。
あと、子どもが眠いのに寝れず泣き止まないのは、眠るのが怖いからだという話。納得。あの寝落ちする時の感覚って怖いかもしれないよな。
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良いなあって思う考え方がたくさんあった。なんていうか、プライドとか意地とかそういうのから離れて、純粋に人間としてこうありたい、みたいな、そういう考え方。実際にそうなるのは難しくても、そうありたいと思って過ごすことだけで大分素敵だと思う。山崎ナオコーラさんの本をもっと読んでみたい。私もいつか自分の赤ちゃんがほしい。そして、親になりたい。
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ヨシタケシンスケさんのエッセイかと勝手に思い込み、間違ったまま借りた。山﨑ナオコーラさんは名前しか知らなかったけど、他の作品も読みたくなった。
私も子育て中で、共感する部分も多かったが、山﨑さんの視点がおもしろく、気づきが多かった。
特に家事や育児を平等にするより、みんなが健康にいるべきで、だから自分が大変な時は相手に負担をかけるという下りがとても興味深かった。つい平等に!!と言いたくなる性分なので、この視点は取り入れたいと思った。
相手に恩着せがましくなるような無理をしないという点も自戒になった。