虚構と現実入り乱れて
2017/04/24 04:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドキュメンタリー風に物語が進むところが面白かった。実在の人物が架空のキャラクターと絡み合うところも良かった。
投稿元:
レビューを見る
何が本当で何が嘘なのかわからなくなる、虚実入り混じったストーリーがテンポよく展開されて最後まで飽きさせない。日本現代史に登場する有名人たちが、民宿雪国を訪れては自身の身の上を語っていく手法は山田風太郎っぽいなと思った。著者はオマージュマニアを公言しており、作中にはその手のパスティーシュが多数ちりばめられている。そういう意味での謎解きも楽しめるエンタメ作品。
投稿元:
レビューを見る
第一部を読み終えた時点では、「いいねいいね、もっと足元すくってくれよ」と思っていただけに第二部では「はぁ?」となって、第三部では元ネタがわからず、これは喜劇なのかなぁ? と思いながらあれよあれよという間に最終部。そしたらまた「??」となって、いやこれは作者は大真面目なのかもしれんぞと思いつつ腑に落ちず、巻末の対談にてやっと安心。本を閉じてからは、なぜかニヤニヤ。さっぱりわかりませんね(笑)。
正直、読んでいる時点ですでに、どう感想を書けばいいのだろう、と思っていた。ギャグなのかシリアスなのか、B級なのか社会派(?)なのか。判断に困ったのである。
おそらく、巻末の対談がなければ「??」のまま終わっていたことだろうと思う(頭が固いもので……)。
はっきり言って、物語自体はそんなに面白いと思わなかった。しかし、なんか好きだな、と思った。全力投球の格好良さとカッコ悪さとでも言えばいいだろうか。その気概というか、書きたいこと書く勇気に惚れたというか、著者のある意味まっすぐすぎる真面目さを応援したくなった、というのが一番近いかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
嘘と真実が入り混じり読み解いていくのが大変だったが、諦めの早いわたしが一瞬たりとも読み進めることを悩まなかった不思議な一冊。どちらかと言えば本を手に取ってページを開くまでが一番の難関だった。
内容はすごく面白いかと言えば答えはNO。でも筆者を小一時間問い詰めたい気持ちになった、あなたは一体どこまで本気なんですかと。それほど真剣に読んでおいて損はないと思う。
投稿元:
レビューを見る
「さらば雑司ヶ谷」ではがっかりしけれども、本作は読んで驚いた。同じ作者が書いたものとは思えなかった。構成だけでも驚きだけれども、詐欺の本質を描きつくしたかのような内容は秀逸だと思う。かなりこの人引出が広そうなので、多ジャンル作家になりそうに思う。それにしても、さらば雑司ヶ谷はいったいなんなのだ、と云いたい。
投稿元:
レビューを見る
これはあの話のこと?と何度も戻って確認した。こんなこと書いて大丈夫なのかな。真実と嘘。嘘が人に力を与えていく。
投稿元:
レビューを見る
『いつだって流れる血は美しい。それが悪人のものなら、尚更のことだ。』
「車椅子だからといって足が不自由だとは限らない。車椅子を見て人々は思う。『お気の毒に…』。しかし本当にお気の毒なのは、見たものをそのまま信じ込む、頭の悪い奴のほうだ」
『思春期の女の子はこの世で最悪の生き物です。グループ内では常に嫉妬と競争が渦巻いていて、それを作り笑いで装っています。』
「私は生きることが尊いとは思わない。人命は地球より重いと、胸を張る人たちにはわからないだろう。血で血を洗う戦争を経験した私にはそんなお題目など、現代という束の間の平和でしか通用しないことを知っている。」
「よく死ぬとはよく生きることであり、生きるとは何かと問われたら、死ぬことを考えることなのだと。」
「真剣に生きているあなただから言おう。真剣に生きなさい、これからも」
「お戻りなさい、東京に。もう一度、闘いなさい、自分の運命と」
『では、丹生先生の絵から生きる勇気をもらっている人たちに向けてメッセージで終わりましょう。
「別にありません」
ー (笑い)。きょうは本当にありがとうございました。』
「ヒトラーも言うとるやないか。小さなウソをつくからバレるんや。大きなウソなら大衆は喜んで騙されたがる」
「私にもこれから先、ただ一度だけ幸福な日が来ます。それは、寝て、再び覚めぬ日です」
『人生は素晴らしい。それは闘った者だけが口にする資格がある。
海辺にはパトカーが待機して、いくつものサイレンが木霊していた。それが私にはファンファーレに聞こえた。これからは、本当に生きよう。そう思った。』
投稿元:
レビューを見る
本の帯の最高傑作、とか小説界を震撼させた大問題作、というフレーズに惹かれて購入。短編小説なのかと思いきや、いろいろ繋がっていて伏線などがいろいろあったりもしたのですが、正直、後味の悪さだけが残って、内容的にもなんだかよく分からないまま終わってしまった感が強い。言いたいこと自体は大きな問題提起をはらんでいるのだが、やはり読みにくさ、わかりにくさ、後味の悪さから、個人的には面白く読めた作品ではなかった。
投稿元:
レビューを見る
この人の小説は好き。小説という既成概念をぶち怖そうとする姿勢が手に取るように見える。賛否両論はそのせい。そういう姿勢を持つというメンタリティーはリスペクトされるべき。
投稿元:
レビューを見る
久々に書店のPOPに惹かれて文庫を購入。
この作家、もちろん初。
日本画壇の大家にして北陸の鄙びた民宿の主人だった男。
生涯表舞台に現れず、謎に包まれた数奇な人生を送る画家の実像を、
あるジャーナリストが追う。高名な画家に隠された秘密とは・・・。
・・・という要約内容で果たして正解なのかどうかも解らない。
最初の章を読んでいる時からなんとなく感じる違和感が、ラストで
より大きなものになる。そして、読中いたるところでこう思う。
「なんじゃこりゃ?本当に小説か?」と。
あからさまに実在する(ないしは、した)人物や団体、メディア等
が多々登場してくる。それも一部は意味深なイニシャルで。文体も
地味な私小説風かと思えばとんでもなく突飛。細やかで美しい言葉
で描写されるのは、徹底した差別と猟奇。読んでいてアタマがクラッ
とする作品は、本当に久々に読んだ気がする。
コレ、ちょっと言葉で説明しきれないかも。
しかし間違い無く映像化出来ない世界だし、万人受けする作品でも
無い。読んでもらうしか方法が・・・。
思わず絶句してしまう程の問題作。コレを読んだ日の夢は、相当な
悪夢だった。覚悟の上、ぜひ!
投稿元:
レビューを見る
2014.01.13 読了
ヴィレバンでの出会い。
正月に島根、鳥取という日本海側に行くこともあって手に取った。タイトルから。
非常におもしろかった。
もう一度読み返してみようと思っている。自分の基準として、そう思わされる作品はそう多くない。
ボーナストラック扱いの梁石日との対談。この方の作品も必ず読もうと思った。
投稿元:
レビューを見る
第一章の、あっと驚く殺戮シーン。
樋口作品の、ベスト場面です!
丹生雄武郎の、虚実についての展開は
よかった。雑司ヶ谷シリーズより、こっちのほうがよいでしょう。
投稿元:
レビューを見る
元ネタ的なものが全然わからないし、その手の面白さは感じられなかった。夏目漱石の時代と違って、サブカルの多様化とかそういう問題なのかな?
投稿元:
レビューを見る
雑司が谷2冊を読んで、もう一作と思い手に取りました。相変わらずのハチャメチャストーリーですが、サンプリングのような作風、かなり好きです。2014/3 読了
投稿元:
レビューを見る
樋口毅宏は入り口とクライマックスがまったく違う。
コマーシャリズムで入って、実は純文学。
エロで入って、愛。
バイオレンスで入って、日本。
『民宿雪国』
この題名にまず騙されるなと言いたい。
川端康成はではない。
トンネルを抜けると日本の戦中・戦後がある。