紙の本
からころも
2020/10/25 19:50
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
令和の出典となった万葉集の一節も載っていますがやはり美しい文章で嬉しくなりました。万葉集には詳しくありませんが、助松が健気で可愛らしく楽しく読みました。続きが気になります。
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子供の頃、小学〇年生の付録についてた百人一首でよく遊んだ。遊びながら自然に頭に入ったのか、百人一首で授業の時は知ってる!感いっぱいだった。
さてこちらは万葉集(四千五百首ほど !! 「令和」はここからでしたっけ?)今は使わない言葉-言の葉と言うべきか-が、しづ子さんの解説で目の前で動き出す。
そして事件は……助松君頑張ったね。万能に見える葛木さんの弱点はなんだろう
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この作家「篠綾子」さんの本との初めての出会いは、
何年か前に一度読んだ『代筆屋おいちシリーズ』の1巻と2巻。
ところがその時はさほど面白さがわからなかったので
感銘を受けるまではいかなかった。
ところが最近『江戸菓舗照月堂シリーズ』を全巻読んでから
というもの、普通の物語に、和歌が混じる文章も
違和感なく読むことに慣れると、
再び『代筆屋おいちシリーズ』を1巻から4巻全巻を再読。
江戸菓子舗シリーズのホッとするような優しい物語に
癒されたせいか、今回はストンと胸に落ちた。
そして新シリーズ!
『万葉集歌解き譚シリーズ第1巻からころも』を読む。
今回の新シリーズは、物語の中の和歌も実にしっくり馴染んでいて、違和感がないどころか、素敵な雰囲気を醸し出している。
その上、スリリングなミステリーも含まれていて、
登場人物にも好感が持てる。
第1巻から、何やら良い予感がする。
1971年生まれ。東京学芸大卒
『春の夜の夢の如く〜新平家公達草子』で、デビュー
『月蝕 有原業平歌解き譚』
『青山に在り』
『更紗屋おりん雛形帖シリーズ』
『江戸菓子舗照月堂シリーズ』
『絵草紙屋万葉堂シリーズ』
『代筆屋おいちシリーズ』など
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薬種問屋・伊勢屋の小僧・助松が、残された日記を元に、失踪した父の謎を追う。
…と言ってもまだ12歳だから、大人の手助けが必要。
手がかりは、父の日記の中に記されている、万葉集の歌。
伊勢屋のお嬢さんのしづ子や、謎の美形陰陽師・葛木多陽人(かつらぎたびと)に、歌の意味を教えてもらいながら、助松は次第に万葉集に興味を持っていく。
しかし、父は意外な事件に絡んでいて…
もはや万葉集オタクみたいなしづ子お嬢様。
万葉集を語ると急に早口になるとか、ある古書店主を思い出す。
そして、真面目な歌はつまらない、と言い放ってはしづ子の不興を買い、政治批判の狂歌を作ってふざけてみせる、葛木多陽人。
だが、意外に頼りになる人物であり、助松も慕っている。
万葉集の歌が暗号に使われているのが面白い。
私の好きな、有間皇子の歌も出てきて、しみじみ思いを馳せた。
そして事件は終わっているようで終わっていない?
父にはまだ秘密があるのか?
助松の成長も楽しみで、シリーズとして長く続いてほしい。
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可愛らしい表紙と『万葉集謎解き譚』という副題からして日常系のノンビリした話かと思いきや、意外にもサスペンスタッチな話だった。
主人公は薬種問屋<伊勢屋>の小僧・助松、十歳。
彼は一年半前に富山へ仕事で出かけたきり行方不明となってしまった父・大五郎を探すため、父の日記について調べている。
大五郎が富山へ出かける前、誰にも見せてはいけないと言い残し助松に託したその日記には、万葉集の和歌が六首書かれていた。和歌について全く知らない助松は<伊勢屋>の娘・しづ子と<伊勢屋>の客で陰陽師の葛木多陽人(たびと)にそれとなく和歌の意味を聞くのだが、父の行方や失踪の理由にはなかなか辿り着かない。
そんなある日、たまたま出会った大友主税という武士とともにしづ子が行方不明になってしまう…。
助松が健気で可愛らしい。最低限の読み書き算盤は出来るものの、和歌の世界などまるで分からない彼が父親を探すために懸命に勉強しようとしている。しかも父親に誰にも見せるなと言われているため、色々取り繕いながら教えてもらっているのだが、葛木にはバレバレ。
嫌味で高飛車なところもある葛木だが、助松の深い事情を無理に突っ込むことなく和歌を教えてくれるところは好感が持てる。
ところがしづ子が拐かされてから、話がきな臭くなってくる。しづ子視点の話を読むと、単なる拐かしではなく大五郎の行方不明と繋がっていること、しづ子もまた真実を知りたいと願っていることが分かる。同時に助松が置かれている状況にも不穏なものを感じる。
しづ子もまたちょっと勝ち気なお嬢様なのだが、基本的には優しさと誠実さを持っていて、助松のこともとても気にかけている。同時についツンケンしてしまう葛木のことも。
副題通り和歌が謎解きの手掛かりになっているのが楽しい。しかし4500首もある和歌の中から手掛かりとなる和歌を提示する大五郎に感心する。生半可な知識では出来ないことだけに大五郎についてますますさらなる疑問や興味が湧く。
大五郎が行方不明になった理由、大友主税の役割など、なかなか面白かった。同時に助松が父親に再会出来るのか、その後はどうなるのかも気になりながら読んだ。
4500首もあるという万葉集の和歌を記憶したり書類をあっという間に覚えたり、陰陽師として様々な術を知っていたりという、葛木の頭脳の部分ばかりが描かれてあった中盤から一転、終盤の山場では武闘派の一面も見られる。なんだかスーパーマンのよう。
全てが片付いた後、どうなるのかと心配していた助松の生活だが一応落ち着きを取り戻している。
一応というのは、まだ父・大五郎には秘密がありそうなのだ。しづ子も一抹の不安を抱えている。そして<伊勢屋>の商売も今後どうなるのだろうという心配もある。
調べたら続編があるようなので、そちらも読んでみることにしよう。
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父の失踪後、帰りを待ちわびる助松の賢さと素直さが好もしい。父が残した万葉集の歌にこめた意図を知るため、和歌を学ぼうとする姿勢もいじらしい。一方で、父親は一癖も二癖もありそうで、まだ謎が残されている感じもする。
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薬種問屋伊勢屋の手代の大五郎は、富山に出かけたきり行方不明になってしまった。残された息子の助松は、伊勢屋の小僧をしながら、父が残した日記の中にある万葉集の歌の秘密を探ろうとする。歌について教えてくれる伊勢屋の娘のしず子と占い師葛木多陽人との交流は面白いと言えば面白いのだが、万葉集の扱いの唐突さが何かねえ。いくら富山が大伴家持にゆかりの地で歌が盛んといってもなあ。事件も取ってつけた感がある。
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日本橋薬種問屋・伊勢屋の手代、大五郎は、店の手代二人と、薬の産地として有名な富山へ、仕入れ先の薬種問屋・丹波屋を訪ねて、旅立った。
ところが、大五郎は、行方不明となってしまった。
一人残された息子・助松は、伊勢屋の小僧となって、1年半の年月が過ぎた。
父・大五郎から、富山に立つ時に「誰にも見せてはいけない」と言われ預かった日記に、万葉集の和歌が綴られていた。
助松は、父親の行方を調べる為に、和歌の意味を、伊勢屋の娘・しづ子に教えてもらった。
ところが、今度は、しづ子が家を出て行ってしまった。
占い師であり、陰陽師であり、不思議な技や術も使う・葛木多陽人の助けを借りて、十年前の富山での出来事を、解決する。
幸にも、二人は無事に、戻って来たが、大五郎には、まだ、何か、秘密があるらしい。
次作品に続く。
隠形の術
「常に日、前を行き、日、彼を見ず。人のよく見る無く、人のよくとらえる無し。
オン、アニチャ、マリシエイソワカ」
これ試してみたい。