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戦後数年経った時代背景を思わせないような、登場人物の活き活きとした様を感じた。爪跡は至る所に残ってはいるが、確実に前を向いて生きている。そんな中での殺人事件。タイトルの「たかが殺人じゃないか」が、思わぬところで出てきて、感服した。読み進めていると、何となく犯人もわかってきたが、動機やトリックもしっかり納得できるものだった。そして、冒頭のセリフと文末のセリフ。無限にループにして読めるな、と思った。こんな終わり方、初めて出会って感動。
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小生、13年生まれ、終戦記念日8月15日の時は小学校一年生、懐かしい映画俳優や映画の題名、本の題名や歌手の名前が、そして、当時の世相で語られるミステリー小説超一級のミステリー小説だった!
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年またぎはさておき、今年の1冊目はこれと決めていた。昨年、国内主要ミステリ部門3冠達成の本作品。作者はレジェンド、辻真先先生である。
単体でも読めるが、シリーズ2作目なので1作目を読んでおくと、より深く楽しめる。前作から引き続き登場するのは、探偵役の那珂一兵。他の辻作品でも活躍するキャラクターだが、前作から12年後の本作では大人になった姿を見せてくれる。さらに、別宮操も再登場。お騒がせキャラだった前作から、彼女もまた大人になり、なんと教職に就いている。そして、今回は彼女の教え子たちが事件に巻き込まれてしまう。愛知県警からは犬飼も再登場し、文字通り、咬ませ犬役を演じている。
舞台は昭和24年の高校。GHQの学制改革により義務教育が9年、高校が3年の六・三・三制となり、新制度下で1年だけ高校に通うこととなった風早勝利ら推理研究部、映画研究部の高3メンバーが主人公である。男女共学制度も同時に始まり、当時の大混乱ぶりが伝わってくる。この時代の、この学生たちにスポットを当てた辻先生、すごい。
本シリーズの特徴は戦前・戦後の昭和を描いていることであり、その時代を御歳88歳の辻先生は実際に経験しているということ。これは他の追随を許さない辻作品の強みだろう。ボーイミーツガールなジュブナイルものは先生の得意とするところだが、他の辻作品同様、本作も甘い結末とはならないのである。
第一の殺人は密室もの、第二の殺人はバラバラものと、まさにミステリの王道。何気なく散りばめられた小道具が伏線となり、それらが解決に結びつく様は見事。実現可能かと言われれば正直「?」だか、ミステリという様式美に則った傑作である。そして、最後の一行で読者は思わず声を上げるだろう(だから間違ってもパラパラと開かないように)。
よいミステリが一冊でも多く読める年となりますように!
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新年一冊目。第二次世界大戦後に男女共学がスタートした直後の話。当時を知る作者ならではのリアリティがいい。それだけでも一読の価値あり。
上記のリアリティと対極的にトリックや密室を作った理由が荒唐無稽なところが好き嫌いの分かれるところだと思う。(特にトリックは二つとも実行不可能と思われる要素が含まれていたように思う)大がかりなトリックは好きだが「本陣殺人事件」のように、恐ろしさの中に美しさ雅さが漂うものであれば星五つだった。
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この作品がミステリー3冠達成って言うのはどうだろう。そんなにミステリーを読んでいないから何とも言えないけど、悪くはないけどこの作品でいいのだろうか?
辻真先さん88歳、私の父親と同年代の方がその青春時代を描いた作品で、外国映画や推理小説が好きだった父親が生きていたら、その話題がいっぱいのこの作品を喜んで読んだだろう。推理小説としてのトリックなど、なんとなく突っ込みどころ満載のような気もするけど、88歳の方が昭和24年という時代を描いた風俗小説としては、光が当たってもいい作品かも。
最後まで読み終えると、「たかが殺人」の意味を知ると共に、もう1度最初の1ページを読みたくなりますね。
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男女共学、学制、戦争の後が色濃くのこる土地や場所、人々の変わりよう、時代を余すことなく書いた作品でした。トリックもたかが殺人じゃないかというタイトルもとてもいいなと思いました。次回作も楽しみです^^
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昨年のミステリランキング3冠達成。
那珂一兵シリーズ第2弾だが単独で読んでも大丈夫。
終戦直後、男女共学になった高校で推理研と映研が合同で一泊旅行へ出かける。しかしそこで密室殺人事件に巻き込まれ、さらに首切り殺人まで‥
なにより終戦による混乱と価値観の変遷、それに翻弄される人々が描かれた風俗小説として素晴らしい。タイトルや犯人が不可能犯罪を企てた動機もこの時代ならではのもので、なるほどと思ったが、トリックはちょっと浮いている気はする。
個人的には3冠というほど高評価ではないが、当時のリアルを知っている著者にはこのシリーズをどんどん書いてほしい。
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事件発生、探偵の登場、関係者が一同に介しての推理ショーとまさに王道すぎる推理小説。戦後の名古屋の空気感がとてもリアル。小説書くのに年齢は関係ないと思うけど、それでもやはり88歳の作品というのはそれだけで滲み出る成熟感がある。
私的にはタイトルの「たかが殺人じゃないか」という台詞を誰が吐くのかを楽しみに読んでいました。なのでこの台詞がちゃんと出てきたときは一安心してみたり。
そして最後の終わり方が遊び心があって良かった!
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2020.1.18
読了
時は戦後、昭和の名古屋。
時代のギャップがあるものの、
読み進めるにつれて引き込まれる。
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2つの殺人事件と青春小説って感じです。
途中で答えを考えさせるところがあってそこまでで解ける感じなのかな。
ちなみに分かった部分と分からなかった部分がありました。
面白かったし読みやすいのですが、時代が時代だからなので仕方が無いのですが口調などが昔の小説っぽかったり、説明が不足しているのか殺人現場の立体構造がイマイチ分かりにくかったです。あと、名前がニックネームと名字と名前がごっちゃで出てくるので誰が誰だったかなと悩みながら読んでました。
昭和12年の方は読んでなかったのですが、一応続編だったんですね。まぁ、そういうことがあったよ、とさらっと出てきただけなのでネタバレはありませんでしたが。
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昔の描写は素晴らしいんやろうけど
それが入り込めない要因だった、、、
ミステリーに関係ないであろうところを
飛ばし読みしてしまい、
ああ合わんのやなと実感
でもラストと伏線の回収は見事
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最後で声出た。
最高齢でのこのミス1位。タイトルも好きだなぁと思ったので早速読んでみました。
いやほんと、最後の最後で、「ああ!」ってめっちゃ声出たわ。そこはミステリ的なトリックというより、話の作りとしての仕掛けだったんだけど、いやほんと、うまい。きれい。好きです。最後の一行というわけではなかったけど、最後の部分を読むために代金を払った小説だった。理想的なパターン。
途中に読者への挑戦状じゃなくて質問状が入ってたけど、まあどうせ分からないので真面目に考えませんでした。ミステリとしてのトリックは、密室殺人のほうはけっこう好きですね。大掛かりで。家のつくりが全然想像できてなかったから思いもつかなかったけど。死体を上から転がすってのは好き。
解体殺人のほうはね、最初の生首が生首じゃあない可能性に気づけたら、提示されてない第三者が入り込まない限り犯人がしぼられるじゃん、たったひとりに。時間的にできたのがひとりだから。だからまあ、このひとだろうなってのは分かるんですよね。ただ、首以外をばらした理由がよく分からんなぁって。首だけをばらしたら気づかれるから?
あと、犯人が最後自分で探偵呼んで犯行を暴かせた理由もよく分からん。自白で十分じゃん? 凶器の位置まで告げればいいじゃん。いや、自白じゃだめだ、みたいなことは言ってたけどさ。探偵兼犯人だっていいじゃん。説得力に欠けるなって。
まあそれはそれとして、ほんとおもしろかったので、シリーズ一作目のほうも買って読んでみようと思います。
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昔、この著者はアニメの脚本やノベライズの方と思っていました。
その方が本格ミステリ。全然イケてます。
昭和24年という舞台設定も、この物語を構成するうえで必然ですね。
ひとつ、ドリアンって昭和24年にもう一般的だったのだろうか。
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『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』に続くシリーズ第2弾。
第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編
第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 国内部門
第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内
定価2200円+税というちょっと高めでしたので、躊躇していたのですが、中古を発見したので、購入。
シリーズ途中参加でしたが、色んな意味で予想外なことだらけでした。
まず、ストーリーの構成でした。てっきり殺人事件発生→解決→別の殺人事件発生→解決という形なのかと思いきや、解決編は最後に一気に披露していました。その前には、読者への挑戦状のような提示もしていて、推理小説ならではの醍醐味を感じました。
また、てっきり学生達が推理していくのかと思いきや、那珂一兵というチョイ脇役だと思っていた人が、名推理を発揮していくので、予想外でした。
ストーリーとしても犯人が予想外なことや殺人のトリックも実現できるかはさておき、予想外な発想があり、面白かったです。80歳以上の作家さんですが、まだまだ元気だということを見せつけられました。
一応、学生達をメインにしているので、青春ミステリー小説でしたが、爽やかさとは違い、硬派な文章で、昔(昭和)の空気感を感じさせました。作者自身が生きてきた激動の昭和を参考にその時代について、詳細に描かれていて、印象深かったです。
殺人を含め、題名の意味に込められた背景として、昭和の時代に起きた戦争が含まれています。今とは異なった思想や激動の時代に生きた人々の姿を読んでみて、より物語に深みが増していました。
冒頭と最後の文章では、ある仕掛けもされていて、読み終わった後も最初に戻りたくなる気持ちにさせてくれました。
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昭和24年、戦争が終わり男女共学が施行された時代。その中で起こる事件を描いた青春ミステリ。
今の時代に生きる人にとっては遠くなってしまったこの時代の雰囲気が余すところなく描かれている印象です。今なら当たり前に思えることがそうでなかったり、その逆もあったり。それでも好きなものに関して嬉々としてしまう学生たちの姿はいつの時代でも変わらないのかな。彼らの姿は見ていて微笑ましくなります。巴先生も実にカッコいい!
事件の謎、様々に仕込まれたトリックも印象的だけれど。それ以上に動機の部分が深いなあ。タイトルの意味もずんと重くのしかかりました。なるほど、これはこの時代のこのタイミングであったからこそ起こりえた事件なのですね。そして悲しい事件ではあったのだけれど、結末部分のあの遊び心溢れる部分にはほっとさせられました。あの趣向は実に素敵。