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戦後間もない高校を舞台とする小説
読み始め、やや取っ付きにくさを感じましたが、学生のやりとりが軽妙でテンポが良く、面白そうな予感がします
これが、いざ事件が発生すると軽薄じゃないかと感じましたが、物語が進むと印象が変わっていきました
舞台をこの時代に設定したことにも、意味があるのですね
犯人は簡単に予想できます
殺人のトリックにも少し無理を感じましたが、そこに至る動機、絡み合う人物関係はとてもよく練られていると感じます
「たかが殺人じゃないか」、これを口にしたのは予想外の人物でした
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前作を読んでたからこその意外性と納得。
ただトリックはどうかと思うが青春ものの軽いミステリとしてはありか。オチはわりと好き。
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那珂一兵シリーズ2作目。
前作から12年経過し、戦後の復興初期の描写も含め、なかなか読みごたえがあった。
残念ながら犯人はこの人しかありえないというシチュエーションではあったが、動機やトリックは最後までなかなかわからず、面白かった。
最後の終わり方も味がある。
年齢でくくってはいけないが、88歳の作品とは恐れ入る。
3部作予定とのことであり、次作に期待。
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昭和24年、今年から男女共学になった高校の推理小説&映画研究部の男女5人が顧問主導の旅行に行った先で密室殺人に、学園祭のスチールドラマ撮影の最中に首切り殺人事件に立て続けに遭遇する。推理作家を目指す勝利視点で生き生きとしていながらも戦前の闇をまだ色濃く残している復興期の名古屋の様子が存分に描かれていてとても興味深く、当時の青春の謳歌振りと理不尽に屈服せざるを得ない絶望とのコントラストも絶妙。時代がかっている台詞回しでテンポがずれて若干読みにくい箇所が。しかし密室成立条件ちょっと、いや大分無茶じゃ?だけどあっと驚く基本に忠実な真相と最後の仕掛けも綺麗に決まっていて良かった。ただ1作目読んでないのは失敗だった…。
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始まりと最後がぐるっと一回りして,えっ!と最初を読み直す.戦後の男女共学のはしりのためのぎこちなさが初々しい.またさすがの映画と推理小説のクラブらしい蘊蓄があちこちに顔を出し面白かった.
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みな、エンディングで「あ~」と思って、最初のページを読み直すんだろうなあ、とそこはお約束。密室殺人やバラバラ遺体のトリック自体は古典的だけれど、それよりもなによりも、戦後の映画や芸能音楽が多く語られるのが面白い。ターキー(水之江瀧子)、デコちゃん(高峰秀子)って、ボクがテレビで見たのはもう晩年だったなあ。「蟻入りチョコ」なんていうものがあったとは!
レジェンドと評される辻真先さんの作品は初めて読みましたが、御年88歳にしてこのクオリティの作品を創作されていることに驚愕です。
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なんというか、死語がいっぱい。
それが昭和らしくて好きな人には、時代を感じられて良いかもしれないが。。
終戦直後、昭和24年の名古屋でおきた連続殺人事件の話。
男女共学になった高校の男女5人と部活顧問の先生。
密室殺人とてもバラバラ殺人。
被害者が殺された理由は、納得できる。
いちばんあやしい人がやっぱり犯人。
昭和満載。
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ミステリーとしての設定に目新しさはなかったが、それなりに楽しめた。読み終わった後やはり1ページを読み返してしまった。
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『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編第1位の作品(著者は御年90歳近い辻真先さん)。昭和24年、第二次世界大戦直後の名古屋において男女共学がスタートした高校が舞台の学園ミステリー(戦後のカオス感が存分に表現されており、この時代を生きた人じゃないと書けない内容)。登場人物にカツ丼、クーニャン、巴御前などあだ名がついており、古臭さは全く感じないし、みんな綺麗な日本語を使うので懐かしい感じも。冒頭とラストが繋がっているのが見事で、タイトルの『たかが殺人じゃないか』はすごく深い。
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ミステリーなの?終盤の謎解きまでは終戦直後の青春小説。90近い著者の青春時代と重なっているだけに時代の空気感がビンビン伝わってくる。「忘れっぽいのは日本人の特技だ。都合の悪い事実はなかったことにする。そんな人間ほど、堂々と生きていけるんだから」
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ミステリもさることながら、戦後の愛知県史を学ぶことができる素晴らしい本でした。地元が出てくると、途端に愛着も湧いてくるもんです。
また、戦前からの常識や価値観がまさに変わろうとしていく過程を、主人公の勝利たち思春期の学生を通して書かれているので、そのあたりもとても興味深く読めました。とてもオススメできます。面白かったです。
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ジュブナイルノベルの雰囲気がしていて、得意分野でないので登場人物のあだ名や文体に最初はなじめないまま読み進んだ。しかし第2の殺人が起こった辺りからはテンポの良さにほぼ一気読み。行動を見てれば犯人はわかるが、そうであって欲しくないと思う人物だった。そしてタイトルが台詞として出てきたとき、その意味の重さに愕然とした。作者が描きたかったのは、一つは戦争に纏わることだったろう。その戦争が殺害の理由にあまりにも大きな意味を与えているしかけに驚嘆と哀しみを覚えた。そして戦後を描きながら、どこかで変わらない、いや今諸々問題が顕在化している現代の日本の一部言動に通じるものも垣間見せている気がした。もう一つ作者が描きたかったのは戦後の名古屋(及び愛知県三河地方)の姿だったのだろう。学校や街の描写の細かさはそこに自分もいるかのような気になった。脚本家でもある作者の筆力のおかげか。登場人物たちが名古屋弁でなかったのは残念だったけど。
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戦後のリアルな様子と当時だからこそ起こってしまった事件、いろんな状況が何とも言えなかった。そしてとても面白かった。名古屋在住としては、名古屋、愛知の歴史について知れるのも楽しかった。
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読了 75点
感想
当時の時代考証やそこに生きる高校生である主人公たちの心理描写が読んでいて面白い。
敗戦を機に価値観が180度逆転した世相の中で、その世相に溶け込むことでしか生きられない人と自然と溶け込んだ人と溶け込むことを拒絶する人たちの葛藤、
また子供と大人の中間に位置する高校生という立ち位置に悩む主人公たちの葛藤も上手く描けている。
一方でそこを楽しめなければ読んでいても退屈な小説だろうというのが正直な印象。
20年度のミステリ3冠らしいけれどミステリ要素で見ると特別出来が良いとは思えなかったのが少し残念。
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前作なかなか読みづらい(前知識ほぼゼロの時代背景や描写をつねに想像させながらは疲れる)のを乗り越えての、今作。
読み易い、わかりやすくなってページが進む、進む。
しかし、前作苦労しただけあって、継続しているキャラクターは愛着もひとしおなのです。
それが、この結末はちょっと挫けそう…。
最後のオチは、なるほど、上手い!