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見知った地名が出ているのはうれしい。犯人は薄々感じていたが、なぜ犯行に至ったかは、驚き‼️
昭和だね。
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戦後名古屋が舞台のミステリ。悲惨な記憶や制度の混乱といったドロドロも背景にしながら、筆致は軽くて、少年漫画のノリで爽やかに読める。犯人はなー、すぐわかるけどなー
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「深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説」に続く那珂一兵もの。正確に書くと那珂が登場する作品は他に「アリスの国の殺人」「残照」があるのだが、そちらは"ただ登場するだけ"なので、探偵・那珂一兵ものとしては第二作になる。
副題を見れば分かるように前作から12年経っている。その間に戦争が激化し敗戦し、終戦後4年経ってもまだあらゆるところで混乱している。
例えば主人公、推理小説家を目指す風早勝利は高校三年生だが、実は前年まで旧制中学の五年生で、六・三・三制に変わったために出来たばかりの高校に三年生として編入することになった。終戦直後の混乱期に一年だけ高校に行かせる余裕のある家庭は少ないと見えて、三年生だけ生徒数が極端に少ない。
また男女共学に変わったばかりのため異性と勉強や部活をすることに戸惑いもある。それまでの日本は『男女七歳にて席を同じくせず』だったのだから、その混乱は想像出来る。
一方で友人の大杉日出夫と薬師寺弥生のように公然と親しく出来る生徒も一定数いて、そんな彼らをやっかみなのか抵抗感からかあからさまに攻撃する天野のような卑屈なタイプもいる。勝利はどちらにも属さない、その他大勢と言ったところ。
また前作は副題が「探偵小説」だが今作は「推理小説」となっているのも時代の変化による名称の変化。
肝心の事件だが、推理小説研究会・映画研究会合同での修学旅行中に起きた密室殺人事件と、やはり両研究会合同での部活動中に起きたバラバラ殺人事件の二つ。
被害者は両名とも嫌われ者だが、勝利ら高校生始め研究会関係者や居合わせた人々に動機があるのは一人しか思い付かない。だがこんな凶行がその人物に出来たかは疑問。逆に凶行自体は出来そうだか動機が思い付かない人物もいて、共犯だろうか、などとあれこれ考える。
トリックについては、密室の方は放棄してしまったがバラバラの方は何となく思い付く。
密室の方はかなりアクロバティック。しかしわざわざ密室にしたりバラバラにしたその理由の方に驚かされた。もう一つ、タイトルである「たかが殺人じゃないか」の意味もそこに通じていた。
ここだけでもなるほど、と感心。
相変わらず映画や推理小説談義が続いて思わず斜め読み。
だがその中に那珂一兵が金田一耕助の助手をしていたという創作エピソードが入ってきて驚く。なるほど、そこで推理力を磨いてきたのか。
この時期、仕方ないこととは言え年端もいかない少女たちが身を売らねばならなかったことに心が痛む。この作品に登場する少女のように良いパートナーに出会えた人はごく少数派で、大多数は辛い境遇のまま人生をやり過ごしたり、またはある登場人物の姉のような悲劇も多くあったのだろう。
なのに多くの男や、同性である女までも彼女たちを蔑み弾き出す。
勝利の戸惑いも心のゆれもなかなかリアルで、同級生や教師の一部のようにはっきり嫌悪感を剥き出しにすることはない代わりに、何だか自分だけが置いてきぼりなような疎外感を抱いたりもする。そんな世界を知らずにいるのは幸せではないかとも思うが、そんな勝利も死体を見慣れ���いるという哀しさがある。
那珂一兵の探偵振りは淡々としている。事件を目撃したわけではないのにサラッと解明してしまう辺り、金田一の助手をしていただけのことはある。
しかしその心のうちを思うと切なくもなる。対して犯人の方が周囲を思いやっていて尚やりきれない。
様々な経験と思いを込めてついに書き上げた勝利の小説は。最後の最後に「そういうことだったか!」と、思わず最初から読み直す。
このシリーズでは一番印象深い作品となった。
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シリーズ2作目。
戦後、まだ始まったばかりの「共学」
お互いの存在に慣れない高校生たちが初々しい。
それに比べて大人たちはだめだね。
おもわくが汚すぎる。
鏡子の置かれた立場が悲しい。
それでも、操や一兵との再会は嬉しい。
一兵の観察、洞察力はあいかわらず冴えている。
導き出した答えは、、、
あの時代ゆえの悲しい事件だった。
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2021このミス一位
太平洋戦争終戦から、まだ左程経っていない昭和24年を舞台としたミステリ。
戦後男女共学となった高校において、密室殺人とバラバラ殺人が相次いで発生する。
ミステリ好きの主人公とその友人(女生徒は級長に貧乏華族に美貌の特殊職業)と顧問の女性教師が事件の解決に挑む。
トリックもなかなか面白い。犯行の現場設定を注意深く読んでいれば、なるほどなと感じさせられる。
しかしそれよりも、まだまだ戦後混乱期の様子を色濃く残した時代設定が魅力的だ。アメリカによる強制的な民主化の歪みというか、現在におけるこの国のゆがんだ民主主義の根本原因がこのスタートにあるのではないだろうか。
そして序章における強烈な伏線にやられたことにより、陰鬱になりがちなこの話を、最後に笑わせてもらえたことが嬉しかった。
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終戦直後の名古屋の新制高校周辺で起きた連続殺人事件。
時代の風景や群像の描写は手練のものだが、トリックに無理がある。
朝日ソノラマ文庫に書いた過去の作品を連想した。
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『たかが殺人じゃないか(昭和24年の推理小説)』(辻 真先著)を読了。
『このミステリーがすごい!2021年版』の国内編1位ということで、これは読むしかない!と思い購入しました。
戦後の日本が舞台のミステリー+青春小説としてとても面白かったです。時代背景などもわかりやすく、時代小説特有の読みづらさなど全くなく夢中で読んでしまいました。そしてラストの仕掛けにはやられました。
そして少年少女たちの部活や学園祭の風景、鏡子の境遇や生き方などミステリー以外の部分もとても印象的でした。
国内主要ミステリ部門3冠も納得の素晴らしい作品でした。
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このミス、国内の1位 おめでとうございます。出版されたときにはノーチェックでしたのでお詫びと敬意を込めて即、買いに走り、即読了。
たまたま、高校生が主人公の本を続けざまに読んでしまっていたので、若い(たとえ、昭和24年であっても)高校生の活力や魅力や向学心やちょっとアレな部分にも一種の憧れを持って読めたこと感謝の極みですね。
『読者への質問状』以降、雪崩れるように読み進められて前半の冗長さが一気に翻り伏線回収もおみごと!
「え、まさか…」の展開でやはりこれなら、大御所、1位ですわ!と快哉を叫んでいます。
好きか、嫌いかはまた違う話しになりますが。
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昭和24年、男女共学の新制高校3年生になった勝利少年が巻き込まれた、不可解な二つの殺人事件。
勝利は、那珂一兵の助けを借りながら、その謎に挑んでいきます。
終戦直後の日本の混乱期の中の、青春の日々を描きます。
『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編第1位の作品です。
面白かった!
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このミス2021国内編第1位3冠達成
終戦後まだまだ立ち直ってない昭和24年
名古屋の男女共学が始まったばかり新制高校が舞台。
当時の情景や文化が鮮やかに描かれてます。
作者の辻真先さんは1932年(昭和7年)
御年88才の最高齢受賞。
鉄腕アトム、ひみつのアッコちゃん、
名探コナンなどのアニメ脚本家でも
有名らしいです。
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このミスや早ミスで一位になっているのを見て読んでみた。戦後の時代背景が詳細にわかりやすく書かれていてその時代を経験していない私でも物語の世界に比較的容易に入り込むことができた。戦後の日本人の価値観や考え方は今とは全く違っていてそこも興味深かった。犯人はなぜ殺人を行なったのか…悲しかったー最初と最後の遊び心もマル。
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著者は、NHK勤務後、アニメや特撮の脚本家として活躍してきた愛知県生まれの88歳。本作は著書が経験した戦後の混乱期にある故郷を舞台にした推理小説である。
学生改革で633制になった昭和24年、名古屋市内の旧制中学を卒業後、たった一年だけの男女共学の高校生活を送ることになった風早勝利。彼はミステリー作家を目指し推理小説研究部の部長を務めていた。顧問の勧めで勝利たち推研部は映画研究部と合同で修学旅行代わりの小旅行に湯谷温泉へ出かけるが、そこで、密室殺人事件が起きる。さらに名古屋に帰った夏休み最終日の夜、彼らは、キティ台風が襲来する中で学園祭に向けた準備中、首切り解体殺人事件に巻き込まれる。警察もお手上げの難事件解決に向け、途中から探偵役が現れ、最後に犯人を含む全員を一堂に集めて、トリックをひとつひとつ解き明かしていく。この点は極めてオーソドックス、古典的であり新味はない。また、学生たちのあっけらかんとした軽い言動にいささか違和感も感じた。だが、犯行動機が明らかになる場面では、背景として、戦時下、人命認識についての悲しくも重い現実がひしひしと伝わり、重みのある作品であることを実感した。タイトルの意味するところも正しくここにあるといえる。
初めての男女共学、進駐軍と売春婦、闇市、皇国教育から突然の民主化への切り替え、学校での硬派と軟派など混乱の中で、新旧の価値観があちこちで衝突する当時の様子がよく描かれているのもさすがである。
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犯人はおまえだ!
この一言で全て解決。
戦後日本の時代の雰囲気に学生生活をトッピング。暗い話になりすぎず、最後までワクワク読ませてもらった。
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前作は戦前を舞台としていたが、こちらは終戦直後の名古屋を舞台とし、一部キャストが重なっている。
特に前作を読んでいなくても説明もあるので独立した作品として読める。
多分に筆者の自伝的要素が強いのかもしれないが、本筋には関係のない、戦後の風景や生活描写が濃密になっていてそこが評価の分かれ目になるような気がする。
青春ミステリとは言っても、我々との感覚とはあまりにも開いていてキャラに感情移入しにくいし、よく言えば描きこんであるが、散漫とも言えるストーリー進行も退屈。
謎解きや読書への挑戦、ラストの鮮やかさなど完成度は高いので、”探偵小説から本格小説”への移行期を上手く捉えた傑作とするのか、冗長でノスタルジックに流れた小説とするのかで好みが分かれるだろう。
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2020年のミステリ3冠ということで期待して読んだが、ハズレ。
88歳の作家に花を持たせる狙いか、最高齢者の受賞という話題作りか、選考者の懐古趣味なのか、戦後の名古屋の記録文学としての価値ありとの判断なのか謎だが、面白みに欠ける。
作者が自分の体験を元に、ミステリ小説という形を借りて、自らの記録として残しておきたかったのかもしれないが、いかんせん時代遅れも甚しい。戦後のどさくさを生きてきて、それはそれで大変だったと思うが、小説となると話は別。今年の選考員の見識を疑う。