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犯人はおまえだ!
この一言で全て解決。
戦後日本の時代の雰囲気に学生生活をトッピング。暗い話になりすぎず、最後までワクワク読ませてもらった。
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前作は戦前を舞台としていたが、こちらは終戦直後の名古屋を舞台とし、一部キャストが重なっている。
特に前作を読んでいなくても説明もあるので独立した作品として読める。
多分に筆者の自伝的要素が強いのかもしれないが、本筋には関係のない、戦後の風景や生活描写が濃密になっていてそこが評価の分かれ目になるような気がする。
青春ミステリとは言っても、我々との感覚とはあまりにも開いていてキャラに感情移入しにくいし、よく言えば描きこんであるが、散漫とも言えるストーリー進行も退屈。
謎解きや読書への挑戦、ラストの鮮やかさなど完成度は高いので、”探偵小説から本格小説”への移行期を上手く捉えた傑作とするのか、冗長でノスタルジックに流れた小説とするのかで好みが分かれるだろう。
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2020年のミステリ3冠ということで期待して読んだが、ハズレ。
88歳の作家に花を持たせる狙いか、最高齢者の受賞という話題作りか、選考者の懐古趣味なのか、戦後の名古屋の記録文学としての価値ありとの判断なのか謎だが、面白みに欠ける。
作者が自分の体験を元に、ミステリ小説という形を借りて、自らの記録として残しておきたかったのかもしれないが、いかんせん時代遅れも甚しい。戦後のどさくさを生きてきて、それはそれで大変だったと思うが、小説となると話は別。今年の選考員の見識を疑う。
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戦後まもない日本がどんな感じだったのが分かる。
最後にそういう事だったのか!と序章に戻って少し読み返しました。
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終戦後4年の昭和24年。学制改革により突然男女共学の高校三年生となり出会った推理研究部、映画研究部の男女5名は、共同で合宿にでかけ、殺人事件に巻き込まれる。ミステリとしての細やかな伏線のはりかたや回収の鮮やかさは辻さんらしいと思えるもので、時代を反映していても読みやすく楽しめる。読者への質問状や思わず最初に戻る終章、推研映研というメンバーから繰り出される多くの知識は純粋に楽しかった。一方でこの時代の過渡期の人々の、特に少年少女の心の揺れと葛藤がリアルで重く切ない。途中に現れた題名の意味と背景に息をのんだ。
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アニメ名探偵コナンの脚本を書いている大ベテランの方だと初めて知った。
どんでん返しがあるとか、あっと驚くトリックがあるというよりも超王道派のミステリー。
学生、青春、ミステリー。
戦後の日本のことも合わせて書かれていて、そうなんだ・・・と思うことも。
探偵小説が推理小説になっていく時代というのは名言だと思った。
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昭和二十四年の名古屋が舞台。敗戦に伴い旧制中学が新制高校になり、一年だけ共学の高校三年生になった5人の男女。突然「共学」なんて環境に置かれた彼らの戸惑いや、それにすぐになじめる人となじめない人のバランス。生きるための悲しい選択…そんなあれこれが丁寧にけれど過度にあおらずに描かれていてさらりと物語に同化していく。
個人的に好きなのは元華族の通称姫のしゃべり方。いいねぇ、上品で。
修学旅行代わりの旅先で起こった密室殺人事件、文化祭で披露するための撮影現場で起こったバラバラ殺人事件。二つの事件に遭遇した高校生たちと、部活の顧問の先生。
二つの殺人事件の犯人、その理由。タイトルが効く、静かに怒りがわく。
そしてラスト。思わず「ひゅっ」と息をのむ。
いやぁ、これミステリランキング三冠も納得。納得以外の何物でもない。
書いたのが八十八歳の辻御大。あの戦争を、そして戦後を経験したからこそ、の一冊。
昭和二十四年の物語だけど、いやこれ今でも起こりうるよね、と。いろんなことが頭によぎる。
ネタバレ怖くて何も書けないけど、
面白い本を探してるって?そりゃこれを読むしかないでしょ。
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最初は淡い青春物かと思うストーリー。なかなかトリックが明かされず最後に一気に。ミステリーというか戦後の混乱期の雰囲気も感じられるお話でした。
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息をもつかせぬ、という感じではないが隙のないストーリー展開、謎解き、そして最後3行の意表を突いた伏線回収。
このミス一位も納得。
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ミステリランキング3冠ということで、つい購入。
タイトル通り、戦後間もない昭和24年に起きた2
つの殺人事件を描く。できたばかりの共学。その推理研究会と映画研究会のメンバー5人と顧問の先生が遭遇したのは、1つは密室殺人、もう1つはバラバラ殺人。どちらも不可能犯罪に見えたのだが…。
しかし思わせぶりなところが随所にあるなと思ったら、これシリーズの第2弾なのね。本筋に関係ないところで翻弄された。笑
ラスト1ページを読んだときは思わず顔がニヤけた。これだよなー、ミステリのすてきなところは!
3冠をとるほど大好きかと言えばそこまでではないけど、でもシリーズ前作も買う!
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昭和24年、戦後間もない名古屋。去年までの旧制中学5年生の生活から、試験的に導入された男女共学の新制高校3年生に通う、勝利少年。
女子に内心ドギマギし、実家の老舗料亭は区画整理で取り壊しの予定、憧れて始めた推理小説の執筆も進まず、悶々と過ごす。
そんな彼の前に殺人事件が。
男女共学に生徒も教師も戸惑う空気。
上海帰りの女生徒の艶かしさ。
友人の西洋映画かぶれ。
軍国のカケラの残る警察に地方名士たち。
真夏の茹でる息苦しさ、嵐の夜の悪夢。
こういう戦争の描き方、読ませ方もあるんだなー。
犯人は割とすぐにわかってしまうし、トリックも強引な気もするけど、少年少女の鬱々とした、やるせなさ、ささやかな楽しさが伝わってきて、切なくも爽やかな余韻。
タイトルの台詞、いつでるのかとハラハラしてたけど、出て欲しくないところで、やっぱり出てしまった。
そして、ラストシーンに思わずニヤリとして、一頁目を開いてみる。
「憲法で戦争を放棄しても、戦争は日本を放棄してくれないのか」
前作は明智くん色が強かったけど、今回は金田一っぽいかな。
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本格ミステリーとはこういう話なんだと、最後のページに書かれています。読み終わってから最初のページに戻ってまた読み始める…なんて今までありませんでした。
しかしながら、今まで人気のある読みやすいミステリーばかり読んできたので、最後の謎解きまでは読み進めるのになかなか時間がかかりました。笑
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戦後数年経った時代背景を思わせないような、登場人物の活き活きとした様を感じた。爪跡は至る所に残ってはいるが、確実に前を向いて生きている。そんな中での殺人事件。タイトルの「たかが殺人じゃないか」が、思わぬところで出てきて、感服した。読み進めていると、何となく犯人もわかってきたが、動機やトリックもしっかり納得できるものだった。そして、冒頭のセリフと文末のセリフ。無限にループにして読めるな、と思った。こんな終わり方、初めて出会って感動。
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小生、13年生まれ、終戦記念日8月15日の時は小学校一年生、懐かしい映画俳優や映画の題名、本の題名や歌手の名前が、そして、当時の世相で語られるミステリー小説超一級のミステリー小説だった!
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年またぎはさておき、今年の1冊目はこれと決めていた。昨年、国内主要ミステリ部門3冠達成の本作品。作者はレジェンド、辻真先先生である。
単体でも読めるが、シリーズ2作目なので1作目を読んでおくと、より深く楽しめる。前作から引き続き登場するのは、探偵役の那珂一兵。他の辻作品でも活躍するキャラクターだが、前作から12年後の本作では大人になった姿を見せてくれる。さらに、別宮操も再登場。お騒がせキャラだった前作から、彼女もまた大人になり、なんと教職に就いている。そして、今回は彼女の教え子たちが事件に巻き込まれてしまう。愛知県警からは犬飼も再登場し、文字通り、咬ませ犬役を演じている。
舞台は昭和24年の高校。GHQの学制改革により義務教育が9年、高校が3年の六・三・三制となり、新制度下で1年だけ高校に通うこととなった風早勝利ら推理研究部、映画研究部の高3メンバーが主人公である。男女共学制度も同時に始まり、当時の大混乱ぶりが伝わってくる。この時代の、この学生たちにスポットを当てた辻先生、すごい。
本シリーズの特徴は戦前・戦後の昭和を描いていることであり、その時代を御歳88歳の辻先生は実際に経験しているということ。これは他の追随を許さない辻作品の強みだろう。ボーイミーツガールなジュブナイルものは先生の得意とするところだが、他の辻作品同様、本作も甘い結末とはならないのである。
第一の殺人は密室もの、第二の殺人はバラバラものと、まさにミステリの王道。何気なく散りばめられた小道具が伏線となり、それらが解決に結びつく様は見事。実現可能かと言われれば正直「?」だか、ミステリという様式美に則った傑作である。そして、最後の一行で読者は思わず声を上げるだろう(だから間違ってもパラパラと開かないように)。
よいミステリが一冊でも多く読める年となりますように!