紙の本
女の人に対する不自由な言説
2022/03/29 16:41
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
2009年に発覚した首都圏連続不審死事件(木嶋佳苗事件)がモチーフになっている。
彼女がなぜこんな事件を起こすに至ったのか。別に容疑者をかばうわけではなく、裁判などでは結局、語られなかった、見えなかった部分を、筆者の豊かな想像力で補いながら、社会の問題をえぐっていく。
何かを声高に訴えるわけではないのに、女性へのステレオタイプの見方や男性目線のイメージなど「女の人に対する不自由な言説」を浮かび上がらせていて、いろいろ考えさせる。なかなかの作品だ。
紙の本
有名事件を題材にした小説
2021/08/14 08:39
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
木嶋佳苗の事件と思われる事件を取材する雑誌記者が主人公。料理をきっかけにして彼女に近づき、拘置所で彼女に面会して話を聴き、彼女に勧められる料理を作り、彼女に勧められるレストランで食事をしているうちに彼女に魅了されていき、記事を書かせてもらえることになったもの・・・というストーリー。実際の事件を単になぞるだけでなく、主人公とその親友が自らを見つめ直して復活していくストーリーが織り込まれていて、読み応えがありました。
事件の被害者たちについて、一人で生活を楽しむ力があればそんなことにならなかったのにという指摘は的を射ていると思いました。家事を女性にしてもらおうと思わず、自分で一人分の食事を楽しく用意できていれば事件は起きなかったかもなぁ。
紙の本
バターのようなくどさがある容疑者の話
2021/01/21 16:10
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投稿者:あっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこまでが事実なのか…実際に起きた事件を元に構成されていると思ったら参考文献を見て「あぁやっぱり」。実際に起きた事件の方も見かけが似ているので、ついついノンフィクションかと思って私も引き込まれて太りそうだったりする。
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バターの概念を覆す
2020/11/05 18:21
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投稿者:どらやき - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みかけですが、バターに対する評価がとても変わりそうです。
マーガリンで満足していましたが、梶井や、里佳の表現するような、舌に絡みつく、深い味わいを試してみたいと思い、バタークリームのウエストのケーキが、とても気になっています。
梶井と出会い、里佳が変化し始めているので、最後まで目が離せません。
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序盤はとにかくバターの美味しそうな食べ方に魅了される。(実際作って食べた物も有り)
そして気づかぬうちにカジマナの手中にはまる…里佳をなぞるように。
後半にかけてカジマナを客観的に見れるようになってからの、里佳自身の気づき、カジマナの本質については、理解が追い付かないところもあった。
自身の適量を知る、という言葉は生活に取り入れていきたい。
柚木さんの著書は、ランチのアッコちゃんしか読んだことがなかったので、本作でイメージが変わった。私はこちらの方が好み。
時間をかけて読んだので、所々繋がらない箇所があった。また時間のある時に再読したい。
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終始、バターが潤(ほと)びています。
潤びる、この読み方初めて知った!
終始、バター。
こんなにタイトルにある単語が最初から最後まで出てくる小説初めて読んだ。
消費される人生は嫌だ。消費してやる!という気持ち。
考えすぎだし、自分を消費しすぎなんだよな〜、きっと。
最近頑張って楽観的な考え方をするようにしているから、共感はなかなかできなかったけど、非常に興味深い。
人と人って色んな角度から色々と影響し合うんだな、と。
カジマナとの面会で話を聞いて大きな影響を受けて思考や行動が変わっていく里佳。一対一の人間関係って本当に閉鎖的で危ういものなんだなとも気付かされた。
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約600ページに渡る骨太の作品。頁を繰る手を休められなかった。
所々に描写される食べ物が、生命の勢いに溢れている。
他方、虚飾と虚言に塗り固められた女はかつての豊穣さを枯らせていく。
彼女を取材する記者は彼女から生きていくことのエッセンスを得る。
濃いバターの風味が漂う作品だった。
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文庫化待ってた。
じわじわと核心に迫る系ミステリだと思ってたけど、中盤以降、生き辛さ抱え系社会派小説なんだと気づく。
何が正しいか間違ってるか、ましてや人が何を思い何に傷つくかなんて、わかるはずないのに、私達はみんな、本当は自分の中にしかない“社会"の檻に囚われて傷ついて、その範疇を超えた存在を畏怖している。でも、わけがわからない怪物のように見えるカジマナもきっと別の檻に囚われているに過ぎないのだろうと思う。
人生には救いなんかないけど、でも唯一希望があるならば、自分だけでなく恐らく全ての人にとって人生ってそういうものであるという事と、それを知っていれば、助ける事も助けられる事も出来るって事かも知れない。
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カジマナこと梶井真奈子は世間を騒がせた首都圏連続不審死事件の被告人である。
美しくないどころか、食欲に正直に生き、肥満した体を持つ彼女がなぜ男たちを虜にしたのか。
週刊誌記者の里佳は、拘置所にいる梶井の独占記事を書くため、梶井の気を惹こうとその嗜好をなぞり始める‥。
食材や料理の描写がとにかく多い。
私のように食に興味がない読者にとっては退屈で、肝心の登場人物たちの心理の変化に集中できなかった。
やっと読み終えた、という感じ。
食べ物の描写と心理とが密接に関わっているため、そしてそれがこの作品の秀逸な部分のため、飛ばして読むということもできず、なかなか苦しかった。
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バター醤油ご飯は食べたくなった。
でもこの本は好みではない。
様々なタイプの、特に多くの女性が登場するので、ゴシップが好きな人にはたまらなく面白いのかも。実際の事件をベースにしていて、主人公も週刊誌の記者という設定だし。読み応えはある。
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数年前から気になっていて、ようやく読めました。
女として生きること
容姿を整えること、適正体重であること、仕事をすること、家庭を持ち 子を産み育てること …
登場人物が皆個性豊かで、楽しい。仕事に没頭する里佳、家庭に入りながらも類い稀なる個性を発揮してしまう伶子、そして真奈子。その他にも篠井さんや北村など、性格やタイプはバラバラな者たちが里佳を介して繋がりを持ちはじめる。人は自分が持ちえないものに憧れてたり嫉妬したりする。それを持つものに近付く人や、忌み嫌う人。人間は無意識に支え合い、無いものを与えられたり借りたりして生きていくのだと思った。その描写が丁寧かつ細かく、そしてとてもリアルに描かれていた。
料理教室での梶井の葛藤や、仕事が忙しくてもお菓子を焼いたり料理を作ること、そして最後の七面鳥のシーン。上手く言葉に出来ないが、とても深みを感じた。
取り止めのない感想になってしまいましたが、いつかもう一度読んで感想を書きたい作品。
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殺人事件を扱った話だが、グルメ小説でもある。
とにかくバターを使った料理が食べたくなる!
これを読みながら、塩バターラーメンが食べたくて食べたくて
少し遠出して食べに行ったぐらい(笑)
バター醤油ごはんも試してみよう✌︎
私も料理上手になりたい。。。
七面鳥を料理する元気は無いなぁ。。。笑
2020年読了、7冊目
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実際におこった2007年から2009年に起こった「首都圏連続不審死事件」をモチーフにしている。
学生でしたが、失礼だけれど犯人の女性の容姿と婚活で知り合った高齢の男性が次々に亡くなっている事件とのことで衝撃が大きかったので、読んでみた。
冒頭は、主人公が通った高級料理教室や高級料理の描写がおいしそうでもあり、胸やけしてきそうで 読んでは止まりを繰り返してしまった。
しかし、週刊誌の記者が犯人に重ね合うように生活をし、犯人の心情が同化していく様は はらはらさせられ、描写がすごくうまかった。
やっぱり、柚木さんの小説は女心が見透かされているようでまた読み返したい1冊です。
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事件がメインテーマかと思ったが、女性に対しての世間の見方とか生きづらさなどが伝わってきた。
高級バターを買ってバター醤油ご飯を食べてみたい。
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長い。別に長い小説は嫌いなわけではないけど…最初から最後まで、ブレみたいなものをたくさん感じて入り込みきれなかった。元ネタも深い題材だし終始続きは気になる。けど、主人公の葛藤、挫折、再生、と色々あるなかで主人公の気持ちの変化などがいつも唐突で、一本の筋のようなものが通っていないように感じた。梶井と主人公の関係性にしても。この出来事で気持ちこうなるかー、の連続という感じ。